表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の娘ですがマイペースに暮らしてます  作者: キイチシハ
第三章 獣人の国とウェンサ帝国編
102/174

100話 驚かない人に出会ったことがない

「入ってもよいぞ」


 部屋の外で着替え終わるまで待機していた私とソラに、金獅子青年は中から声を掛けてくる。

「なんだアイツ偉そうに。リリの部屋だぞ」

「まあまあ」

「……リリはああいうのが好みなのか?」

「モフモフは漏れなく大好きです」

「そうじゃなくて――」

「何をしておるのだ」

 なかなか入って来ない私とソラを不審に思ったのか、金獅子青年がガチャッと扉を開けた。


「おぉ……! 似合いますね」

 漆黒のシャツとズボン、軍服に似たデザインのダークグレーの上着が引き締まった体躯にフィットしていて格好良い。モノトーンだから金髪がよく映える。

 尻尾もちゃんと出てユラユラ揺れているから、窮屈ではなさそうだ。

 メルローありがとう! サイズがバッチリすぎて怖いくらいだよ!

 本当、短時間でどうやって調達したの。


「そうか? なかなか上質な生地であるな。着心地が良い」

「気に入って貰えたならよかったです」

「何から何まですまぬ。礼を言う」

 金獅子青年は私の左手を取ると、童話の中の王子様のように口付けを落とした。

 すごい絵になる。なんだこの人。


「リリに何するんだ」

 感心していたらソラが不機嫌MAXで私の手を強奪し、着ていた服の袖でゴシゴシと手の甲を拭ってくる。

「ソラ、そんな邪険にしなくても。女性全般にする挨拶みたいなもので深い意味はないと思うよ?」

 獣人もそうなのかは分からないけど、一般的な慣習として。

「それでもダメだ」

「いや、誰にでもするわけではない。好意があると勘違いされると困るからな」

 えっ。そんな気軽にしない感じなの?


「私が勘違いしたらどうするんですか……」

「してもよいぞ?」

 フッと色っぽく笑う金獅子青年。

 プレイボーイ! さすが肉食獣。嫌な感じに聞こえないのがまた凄い。

「リリ、コイツは危険だ。今すぐ魔の森に帰そう」

「私に恥をかかさない為の方便だよ。それより自己紹介もしてないし、一旦部屋に入ろう?」

 図書館へはその後に行こうと思う。

 喋れるようになった相手に挨拶もせず放置はよくないので、調べものは後回しにした。


「方便ではないが」

「……何だと?」

「そ、ソラ! いいから入ろう!」

 今にも噛み付かんばかりのソラの背中を押し、半ば強引にソファーに座らせる。

 金獅子青年も後に続いてくれ、向かいの席を勧めた。

 ……まだ睨み合うの。

 私は間に入るようにして、ローテーブルにさっきメルローから預かっておいた紅茶入りのティーセット一式を空間魔法で取り出し、カップに注いで金獅子青年とソラの前に出した。

 空間魔法で仕舞っておいたものは時間経過がないので、冷めることがなく便利だなとつくづく思う。


「あ。紅茶は飲めますか?」

「うむ、構わずともよい。が、少々熱そうだな……」

 ね、猫舌……! やばいニヤけちゃ失礼だ。頑張れ私の表情筋!

「では少し冷まします」

 氷魔法で少しだけカップを冷却する。うん、こんなものかな。

「森でも思ったが、そなたは随分と魔法が得意であるな。高度な転移魔法も自在に操るし」

「そうですね。魔人なので得意な方かと」

「魔人か。どうりで」

 ふむ、と納得する金獅子青年。


 獣人も魔族の内なので、おおよその特徴は知っているのだろう。

 こっちが知っている獣人の情報と言えば、魔法があまり得意ではないということ。

 獣の特徴を引き継いだ高い身体能力による、物理攻撃に特化した種族なのだということだ。

 身に宿る魔力は主に身体強化と、人型から獣化する際に使われるとか。

 だから魔の森でも魔法を使わず自分の足で逃げていたんだと思う。


「リリ。こっち」

 給仕が終わったタイミングで、ソラがポンポンとソファーの横を叩き座れとアピールしてきた。

 どのみちそこに座るつもりだったので素直に従うと、グイッと腰を引き寄せられる。途端に尻尾がご機嫌に揺れた。

 金獅子青年が秀麗な眉を寄せ怪訝な顔をし始めたので、話を進めるべく私から自己紹介することにした。


「では改めまして。私はリリシアと言います」

 そしてこれも伝えておくべきだろう。

 転移魔法で一気に城の中に飛んだから、ここがどこだか分かっていないはず。

「魔王の娘です」

「なっ……魔王の娘だと!?」

 ガタンッとテーブルを揺らし立ち上がる金獅子青年。


 まあそうなりますよね……。

 自分で言って中二病かとツッコみたくなる肩書きだよ。

気付けば100話に……!

ここまで読んでくださっている皆様ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ