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08話 三分クッキン●もびっくりだ

「使っていいの? 貴重な食材じゃない?」

「また狩ればいいですよ。簡単に殺せますから」

「お願いします!」

 もう何も言うまい。

「はい。ちょっと待っててくださいね」


 食材保管庫に入ったと思うとすぐに戻って来るキリノムくん。

 手には深型のトレーを持っていて、その中には程良い大きさにカットされた冷凍お肉が並んでいる。

「あれ? なんかタレがかかっててるね」

「下味に漬けてあります」

 すでに準備万端だった。


「では焼いていきましょうか」

 加熱台(コンロのような魔道具)には移動せず、キリノムくんは調理台の上にフライパンを用意し、お肉を並べていく。

 ふむふむ。コールドスタートだっけ? あらかじめ並べてから火を点ける調理法。

 確か中までいい感じにちゃんと焼けるやつ。


「危ないので動かないでくださいね」

 ゴオオオオオオオオオッ!!

「はい、ステーキの完成です」

 わお。中はピンクでいい感じ。

「ってええええ!? 早ッ!!」

 返事をする前に灼熱の炎がフライパンを包み、一瞬で焼き上がった。

 解凍時間も何もかもをフッとばして。

 ……時短って何だっけ?


「火魔法だとこんなものですよ」

 いやそんなわけない!

 大体なんであの火力で丸焦げにならないの!? 魔法の操作レベルおかしくない!?


「リリシア様、味見をお願いします」

 口を開けて呆然としていたら、あーん状態で優しくステーキを入れられる。

 臭みが全くなく脂が溶けるように柔らかい。塩加減も丁度いい。果実っぽい仄かな甘みも感じる。漬け込んでいたタレだろうか。

「美味しい!」

「ふふっ。よかった。ではパンと一緒に挟む魔草はこれを」

 瞬間技で香ばしく焼いたパンと、シャキッとした歯ごたえがレタスに似た魔草が用意される。どれもカット済み。


 差し替えがパない。


「は、挟むのは私が!」

 このままでは見てるだけで完成してしまう!

「はい。お願いします」

 ニコニコ笑顔のキリノムくんに浄化魔法を両手にかけてもらい、用意された具材を挟んでいく。

「真ん中に具材を多めにすると美味しそうに見えますよ」

「あ、確かに」


 コンビニとかで売られていた商品を思い出す。よくお世話になったなぁ。

 感慨にひたりながら小さな手で少しでも美しく仕上がるように作る。

 挟むだけなのですぐに完成。四角いバスケットに詰めて終了だ。


「完成ですね。お上手です」

 キリノムくんの終了宣言に、パチパチと手を叩き祝福ムードの調理場一同。

 ありがとう! お邪魔してごめんよ。父さまにお給料弾むようお願いしとくね。

 ていうかさ。


 これ、作ったって言えなくない……?


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