悲劇の始まり
僕は世の中は光と影で出来ていると思う。
例えば、神様を光とするならば
閻魔大王は、影になるだろう。
天と地、両方があるから成り立つ。
ただそれは、人間でいったらどうなるのか?
僕は、光と影どちらになるのか?
誰も知らないし、誰もわからない。
一生分からないのかもしれない。
そんな、僕の物語。。。
2420年12月12日午前10時
川崎工場付近
「お父さ〜ん。今日どこ行くの?」
「お前が行きたがってた遊園地へ行こうか?」
「ほんと!?やった〜!」
「良かったわね?龍」
「うん!めっちゃ楽しみ!」
すると、向かい側から2人の男がこちらに向かって歩いてくる。
そして、僕たちの目の前に止まり
「沢登さ〜ん。ここに居たんですか?」
「お前ら…ここまで来るのか…!」
「来るの何も、沢登さんが僕らの要求にすぐ答えればいい、問題ですよ?」
「あんな要求に、答えられると思うか!!」
「奥さんは、分かりすよね?」
「私も、1人の母親です。あんな要求に答える必要もありません!」
「そぉ〜ですか〜。それなら、仕方ありませんね〜」
ガチャ…
「力ずくは嫌いなのですが、こっちも商売なんですよ。」
子供なりに手に持ってるものはわかった。
「撃つなら俺を撃て…
こいつらに手を出したら、ただじゃ置かねぇぞ!」
「最初からそのつもりですよ?」
バーン!!
バタッ…
「おとう……さん?」
目の前で血を流して倒れているお父さんがいる。
「龍!!逃げなさい!!」
「でも…」
怖くて足が動かない…
逃げなきゃ…と思うのに動かない…
すると、容赦なく男は、お母さんに近づき
「いいから!!にげ…」
バーン!!
「……て……」
「お母さん!!」
お母さんまでも、目の前で血を流して倒れた。
どうしよう…
僕はただ一心不乱に走り出した…
「坊や〜逃げるなんて考えるなよ…」
「……!!」
若い方の男が僕の逃げ道を塞ぐ
すると、後ろからお父さんとお母さんを、撃った男が近づいてきた。
「坊や。お前のお父さんとお母さんはな、約束を…守らなかったんや…
だから、あんな目にあったんや…
俺らの目的はただ一つ…
それは、お前自身や…」
「ぼ、僕?」
「そ〜や〜。まぁ、まだ話が分かんと思うから、
お前が大きくなってから、俺らが探しやすいように
印をつけとくな…だから、それまでおやすみ…」
ボカッ
「うっ…」
バタッ…
僕は腹を殴られて気絶した。
「おい…言われた通りにしとけ」
「うっす…」
数時間後
「坊主…坊主…!」
「ん?…痛っ……!!」
起きたらそこには刑事がいた。
お腹に痛みが走るが、特に痛かったのは左目と右頬だった…
「痛いだろう…そりゃあ、そうだ…
左目と右頬はナイフで切られてる…」
「え?」
顔を触ると、カーゼの感触があった…
すると、刑事が暗い顔をして話し出した。
「実は、坊主…これから話すことはだな…」
言われなくても、分かった。
お父さんとお母さんの事だ…
やっぱり、助からなかったんだ…
「お父さんとお母さん、殺されたんでしょ?」
「………!!」
その時の僕は感情というものが無くなっていたのかもしれない。
「悲しく…ないのか?」
「わからない…」
多分疲れてるんだろうと、刑事は医者を呼び、僕は病室に連れていかれた。
「源さん…彼はまだ、10歳ですよね?」
「あぁ、驚いたよ。泣きわめくかと思ったら、自分から言うんだもんな…」
「僕はそれよりも、あの表情を忘れられません。」
「ありゃあ…感情を無くした人形の目だった…
ただ、一点を見つめて。」
「皮肉なものですね…」
それから10年の月日が経った。
2430年12月12日午前10時
川崎工場付近
一人花を添え手を合わせている青年がいた。
沢登 龍 20歳
10年前日本を震撼させた事件の被害者の一人
「お父さん、お母さん。
もう10年経ったよ。
僕も20歳になったよ。」
ピピッ…
携帯が鳴る音が響く
「もしもし… 龍です。」
(龍か、休日なのに悪いな…
緊急要請だ…すぐ来れるか?)
「わかりました。今から向かいます。」
ピッ…
僕は携帯をきると、花を背に歩き出した。
雲一つない青い空
ただ、一人の青年の心はいつも雨空