武装蜂起
「この町を守るべき騎士団は、今や壊滅寸前、これまで支配者の地位を許されていた伯爵は、天の怒りに触れ、逃亡の途中で命を落とした。これは、天が古い秩序を捨て、新しい秩序を求めているという証でもある。わたしたちのとるべき道は一つ!」
子分たちから、「おお」と、どよめきが上がった。わたしはプチドラを促し、
「プチドラ、頼むわ」
「OK、マスター」
プチドラは、むくむくと象のように大きくなり、巨大なコウモリの翼を左右に広げた。闇夜のように真っ黒の体色に、左目だけが爛々と光っている。
わたしはプチドラの背中によじ登り、
「これより、伯爵の館を攻撃する」
ウォー!!!
歓声が上がった。子分たちは拳を天に突き上げ、必勝の決意を示した。
わたしたちは伯爵の館を急襲した。抵抗はまったくなかった。騎士団は混沌の軍団と交戦中で、この日、伯爵の館に残っていたのは、ほとんど使い物にならない老兵ばかりだった。ものの数分で、こちらからは損害を出すことなく、伯爵の館を完全に制圧することができた。
わたしはドーンや幹部を連れ、ポット大臣を探した。子分たちを館の中庭に整列させ、隻眼の黒龍を彼らの監視につけた。略奪なんかされたら、面倒なことになるから。
ポット大臣は、今日も二日酔いだろう、部屋にこもってぼんやりとしていた。わたしたちがドアを開けると、うつろな目を向け、
「カトリーナさんですか、何か御用ですか」
ものに動じないのか、覚悟を決めているのか、フラフラになって状況が理解できないのか知らないが、ともあれ、
「用があるから来たのよ。伯爵領は、たった今、わたしの支配下に置かれたの」
「はあ、そうですか……、う……オエップ……」
大臣は、やはり二日酔いで意識がハッキリしないようだ。わたしは大臣を何度かひっぱたき、バケツ一杯の水をぶっかけた。すると、大臣は、ようやく目をパッチリと開け、
「あら? これは一体……」
ようやく大臣は正気に返ったようだ。わたしは大臣に、事の顛末を説明し、協力を求めた。
「私があなたにですか?」
「そうよ。まだ大臣のゲームは終わってないわ。わたしの配下になって行政手腕を活かしなさい。それ以外、あなたに生きる道はないわ」
「でも……」
大臣は逡巡していたが、中庭に連れて行き、隻眼の黒龍と子分たちを見せると、大臣は「ひぃ!」と悲鳴を上げて態度をコロっと変え、わたしにひれ伏して忠誠を誓った。




