エルフ女の想い
「もう、本当にバーンったら、せっかちなんだから」
エルフ女が腰に手を当てて言った。
「大変ですね」
「そうなのよ。ただ、今はそれほどじゃないけどね。前はもっとすごかったんだから」
エルフ女はカニング氏がいかに「すごい」かを語り始めた。話をきいていると、確かにすごい。カニング氏は思い込んだら歯止めがかからないタイプらしい。でも、わたしの目から見ると、このエルフ女もすごいと思う……
「わたしがこんなにバーンのことを想っているのに、バーンったら、自分のことばっかり。そりゃ、世間に認められたいのは分かるけどさ……」
エルフ女はため息をついた。このエルフ女、男に何もかも貢いで最後には捨てられる気の毒なタイプかもしれない。うまく乗せれば使えそうだ。わたしは何食わぬ顔で言った。
「さきほど、カニングさんは『侵攻作戦』と……」
「そうなのよ。バーンは『すぐに混沌の軍隊を壊滅させてやる』って、張り切ってたの。でも、兵隊もお金もないんじゃ、侵攻作戦は難しいかもね。」
「お金をかけずに兵隊を集める方法は、全くないわけではないけど……」
「それって、どんな方法? バーンが聞いたら喜ぶかな」
エルフ女は目を輝かせて言った。わたしは、内心、「ラッキー!」みたいな……
わたしは志願兵募集・義勇軍編成の方法を説明した。傭兵を雇うお金がなければ、タダで兵隊を集めれば、すなわち、給与が支払われない志願兵を集めて義勇軍を編成すれば、問題点はクリアできる。自分が音頭をとってもダメだろうけど、「皇帝の騎士」バーン・カニングが先頭に立って志願兵募集のキャンペーンを行えば、この前の戦いの勝利でHOTになっている領民は、喜んで志願するのではないか。特に、「混沌の勢力に占領されている地域を奪回するため」と言えば、占領地から避難してきた連中は、自分の家や土地を取り返すため、喜び勇んで志願するだろうし、士気も高まるだろう。
エルフ女はわたしの説明を聴き終わると、わたしの手を握り、
「ありがとう。いい考えだわ。バーンが帰ってきたら話してみるわ。でも、あなたはいいの?」
「いいって?」
「あなたが考えた作戦でしょう。バーンが提案すれば、バーンに手柄を譲ることになるわ」
「発言の重みが違うでしょ。わたしよりも、『皇帝の騎士』が言う方が、断然、説得力があるわ」
「そうなの。ありがとう。あなた、いい人ね」
エルフ女は走り去った。わたしは、内心ほくそ笑みながら、プチドラを抱き上げ、
「あの女、きっと、カニングさんに今の話をするわ。あたかも自分が思いついたかのようにね」
プチドラはあきれたような顔で、
「そうだろうね。目がハートになってたし……」




