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ザ☆旅行記Ⅱ 混沌の勢力  作者: 小宮登志子
第2章 会戦
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緒戦から大ピンチ

 その夜、ミーの街からやってきた軍団と、既に戦場で敵と対峙していた軍団が合流した。軍団は、ゴールドマン騎士団長が指揮する左翼軍、「皇帝の騎士」カニング氏が指揮する右翼軍、ウェルシー伯が直接指揮する中央軍へと再編成され、それぞれ持ち場についた。

 一方、敵の軍勢にも増援があり、数としてはこちらと同程度と見込まれるとのこと。ちなみに、混沌の軍団の構成は、半分がゴブリン、3分の1がホブゴブリン、6分の1がオークという。混沌の軍団の布陣もオーソドックスで、軍を右翼軍、中央軍、左翼軍の三つに分け、横一線に並べていた。そしてそれぞれの軍の中では、最前列がゴブリン、真ん中にホブゴブリン、最後部がオークと、より弱い種族が前線に立たせられていた。

 一般論として、ヒューマンの身体能力は、知性を含めてオークと同程度、ゴブリンやホブゴブリンよりも優秀である。また、装備はこちら側が優秀であり、混沌の軍団は騎兵(騎士を含む)のような機動部隊を保有していなかった。

 兵の数は同程度で能力・装備で勝っているとすれば、理論上はこちらが優勢のはず。もっと言えば、誰が指揮しても負けるはずがない戦いとなるが……


 実際には、ふたを開けてみれば、誤算続きだった。早朝、ゴールドマン騎士団長の左翼軍が予定の時刻よりも大幅に早く、混沌の軍団への攻撃を開始した。予定では、左翼軍と右翼軍が同時に攻撃を開始するはずだったのに、少しでもいいところを見せようと抜け駆けしたのだろう。

 左翼軍は夜も明けきらないうちに、重装備の騎士たちを先頭に、敵の右翼軍に向けて進撃した。騎士団は敵の最前列のゴブリンたちを突き殺し、なぎ倒し、踏みつけ、戦果を拡大しながら縦深の奥深くに突進した。しかし、調子に乗って突入していくうちに、後方の(騎士の従者などの)歩兵との距離が大きく開いてしまった。敵軍が騎兵と歩兵の隙間に入り込み、歩兵は敵軍に行く手を遮られ、騎士団は敵の真っ只中で孤立し包囲されてしまった。

 騎士団は敵の包囲の中で機動力を殺され、脱出するために血みどろの死闘を演じなければならなくなり、歩兵は騎士団の救出に専念せざるを得なくなってしまった。すなわち、かなりまずい状況。


 わたしが目を覚ましたときは、本営にも左翼軍のピンチが伝えられていた。寝ぼけ眼をこすりながら本営に行ってみると、伯爵を中心に対応が協議されていた。

「中央軍の一部を左翼軍の救援に向かわせるんだ」

 伯爵が苦々しい表情で言った。元々伯爵自らが立案した作戦だ。勝手な行動をとられ、しかもピンチに陥ったので、相当、頭にきていると思う。

「しかし、中央軍の守りが手薄になります」

 幕僚の一人が言った。

「このまま見殺しにするわけにもいかんじゃないか」

 結局、伯爵の命により、中央軍の一部が左翼軍の救援に向かうこととなった。

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