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ザ☆旅行記Ⅱ 混沌の勢力  作者: 小宮登志子
第1章 ミーの町
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再会

「何か御用? あら、あなたたちは……」

 振り向くと、先ほど絡んできた肩幅の広いリーダーとその仲間たちが立っていた。リーダーは、チッと舌打ちして天を仰ぎ、

「またか! 今日はついてない日だ」

 暗くなってきたので、わたしだと分からなかったのだろう。ともあれ、人に遇えたのは運がよかった。

「あなたたち、丁度よかったわ。お願いがあるんだけどきいてくれる?」

「お願いだって?」

「迷子になってしまったみたいなのよ。適当なところまで送ってほしいんだけど」

「迷子?」

 リーダーと仲間たちは、おそらく予想外の展開なのだろう、一瞬、呆然とした。しかし次の瞬間には一部から失笑が漏れ、最後にはリーダーも口を押さえ、笑いをこらえようと必死になっていた。何だか不愉快だ。わたしはちょっぴり腹を立てて、

「何がおかしいのよ」

「すまない。さっきの悪人ぶりと今のギャップに、つい…… でも、おかしい…… ハハハ!」


 賊たちに大笑いされたものの、結論的には、リーダーが途中まで送ってくれることになった。男の名はアーサー・ドーン、この町で暴力的非合法活動を行っているそうだ。昔風にいえば愚連隊みたいなイメージだろう。わたしも「タダのカトリーナ」として自己紹介した。傭兵志望でこの町に来たという話をすると、ドーン氏は、

「傭兵か、それは残念だな。俺たちの組織に入ってくれれば助かったんだが……」

 と、本気で残念がっている様子。さっきは敵同士だったのに、頭の切り替えが早いのか、それとも、根が単純なのか。

「混沌の軍勢がこの町に迫っているようだけど、そんな悠長なこと言ってていいの?」

「攻めてきたら、その時はその時のことさ。歴史上、この町が混沌の勢力の手に落ちたことはないし、町の人たちも見た目ほど悲観的じゃない。皇帝が英雄を派遣したといううわさもあるし、何とかなるんじゃないか」

 英雄とは、あのカニング氏一行のことだろう。正直、あまり頼りになりそうにないけど。こんな世間話をしながらしばらく歩いていくと、ようやく、見覚えのある区画まで戻ることができた。

「ありがとう。今日は助かったわ」

「いやいや、大したことじゃない。それよりも、気が向いたら組織に来てほしい。歓迎するよ」

「ええ、そのうち寄らせてもらうわ」


 辺りはすっかり暗くなっていた。早く戻らないと、晩御飯に間に合わなくなってしまう。わたしはドーン氏と別れると、プチドラを抱き、早足で歩いた。程なくして伯爵の館に着いた。

 しかし、会議はまだ終わっていなかった。

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