三毛猫の手記
8月1日 嫌になるくらいの晴れ
暑い、暑い、暑い。死ねる。
死にそうになっていたら真木が盥に氷を入れて扇風機の前に置いてくれた。
極楽。極楽。涼んでいたら2匹の子猫シマと白雪が来た。
「なにこれ!!なにこれ!!」氷に大はしゃぎだ。
中に入って「冷たい!冷たい!」とはしゃいでいる。
床は飛び散った氷でびちゃびちゃだ。真木に怒られるだろうが。
汚すなと叱ったら今度は氷をはぐはぐ食べ始めた。そんなに一気に食べたら恐らくアレになるぞ。
「みぎゃ―――!!!!!」「なんだこれ、キーンてする!!」一気に食べるからだ。これに懲りたかと思えばソレが楽しかったらしい。
はぐはぐはぐはぐキーン!!!!頭を押さえてにゃあにゃあ言っている。見る分には可愛い、していることはアホだがな。
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8月2日 嫌みなくらいの晴れ
暑い。暑い、暑い、暑い。死ねる。今日も逝ける。
例によって死にそうになっていたら真木がまた盥に氷を入れてシートを敷き、扇風機の前に置いてくれた。昨日後片付け大変だったからな。俺は見ていただけだが。
そして涼んでいたらやっぱり2匹の子猫が来た。
例によって例の遊びである。
はぐはぐはぐはぐキーン!!!!頭を押さえてにゃあにゃあ。はぐはぐはぐはぐキーン!!!!頭を押さえてにゃあにゃあ。 和む。
と、客が入ってきた。皆チビ達に夢中だ。 俺も客も和む。真木は汗だくで焼き鳥を焼いている。真木以外は和んだ。
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8月3日 喧嘩をふっかけてる様な晴れ
暑い、焼ける、毛を脱ぎたい。太陽を殴りたい。
今日も真木は盥に氷をくれた。扇風機をまわしてすぐ、2匹の子猫、シマと白雪が来た。そして始まる例の遊び。はぐはぐはぐきーん!!頭を抱えてにぁにぁ。何度見ても和む。
クロが来た。涼むのか思えば何故かはぐはぐきーんに混じっていた。子猫だから可愛い事を知った。
猫又としての自覚は薄いらしい。まぁいいがな。
* ** *** 8月4日 裏へ **** ***** ******
8月5日 うっとうしい雨シバくぞ雨
雨でも暑い。ジメジメして苛つく。怪我をしたクロを見舞いに来た客が、小玉のスイカを持って来た。暑い日には甘いスイカに限る。さて食おうとしたら、客の1人がスイカに猫の顔を描いた。
『白雪、スイちゃんだよ~』
『にぁあぅ♪』
気に入ったらしく全然そばを離れない。正蔵じいさんが来て、スイカ事白雪を持って帰った。厄介な事になりそうだ。勘弁してくれ。
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8月6日 雨だ!雨だ!!雨だ!!!やんのかこの野郎
面倒なことになった。昼に来た白雪は相変わらずスイカに夢中だ。
「スイちゃんはしんゆうなのにゃ!!」
白雪よ、それは猫ではない。スイカだ。食わせろ。しかし毟りとるわけにもいくまい。悩む。
どうするか考えていたら、あのアホクロが白雪からスイカを奪おうと飛びかかり、シマがそれを止めようと続き、白雪が親友の前に躍り出たが、勢いそのままに押され、猫3匹の体当たりをくらったスイカはパッカリと美味しそうに割れた。
「み、みぎゃぁぁぁぁぁ!!!!! にぃちゃ、スイちゃ、怪我したぁぁ 白雪、の、スイちゃ、死んじゃったぁ、しや、っ、ゆき、しゅいちゃ、ごめなさっ、みゃああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
あ~あ、どうすんだよコレ。って何だお前ら、こっちを見るんじゃない。全く都合が悪くなるとすぐ丸投げしてくる。俺は保父になった覚えはないんだがな。仕方ない。
「白雪、落ち着け。スイちゃんはスイカだからな、赤くてもこれは血じゃないから安心しなさい」
「う?うにゃっ? す、すいちゃ、痛く、ない?」
「あぁ。スイカだからな。白雪はスイカって知ってるか?果物で甘くてみずみずしい食べ物だ」
「たべもの?……すいちゃん美味しいの?」
「あぁ、でもこのスイカはこのままじゃ傷んでしまうな」
「にゃ!!すいちゃん痛いの?!」
……傷み違いな気がするがまぁいい。
「あぁ、白雪が食べないと傷むままだろうな」
「にゃ?食べたら痛くないの?」
「あぁ。スイちゃんはな、本当は白雪に早く食べて欲しかったんだよ。白雪が大好きだからな。美味しいうちに食べて欲しかったんだろう。だからこうして食べやすいように割れてくれたんだよ」
「そーあの?」
白雪が確認をするように聞いたシマとアホクロが「そうそう」と言いながらぶんぶん頷く。もげるぞ。
二匹の同意を得て、白雪は恐る恐る割れたスイカの赤い部分を舐めた
「にゅうぅぅ~~~~~!!!!!!!」
目がキラキラしている。親友は甘かったらしい。その後みんなでスイカを食べた。
欲張って多く食べたクロが腹を冷やしていた。情けない。傷口を踏んどいた。
8月7日 曇り
そろそろシマ等に色々教えなくてはなと思ったが、暑いので止めにした。クロの正体を知ったら飛び上がりそうだ。
手記も暑いから今日でやめにした。
一週間書いたからな、三日ともたないどこぞの坊主よりかはマシだろう。上出来だ。
今日も焼き鳥は旨かった。
以上だ。
作中《裏》は内容が童話では無い為、文学のカテゴリーにて投稿致します