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少年は玉座から世界を見守る  作者: ナットレア
一章 イストへと降り立った神
9/22

6 半年後


 俺がイストに降りてきて半年が経った。



 その間は修行に明け暮れ、俺とイズモはクルトさんをも上回る強さを手に入れた。


 俺は天賦の才を最大限生かすために全属性の魔法、ある程度の武術を修めた。といっても本当に触りだけしかやっていないものもある。普段は使わない弓や鎌なんかがそうだ。魔法は一通り使ってみた。イズモもクルトさんも火、炎、聖属性しか使えなかったから他は本を読んで覚えた。


 覚えたと言ってもイストの魔法、マジックは詠唱などいらず、イメージしてそれに見合う魔力を集めてドンッって感じだから少し違うかな。イメージをより強固にするのに詠唱する人もいるらしい。俺には必要なかった。


 そういえば、そのとき読んだ本に書いてあったんだが、魔石を持つ生物は魔力の質というものがあり、これによって魔石の色が違ったり、少ない魔力で強力なマジックが使用出来たり、その逆だったりするみたいだ。属性も同様に質で決まるらしい。その為、個体によって得意な属性があったりする。


 イストには火、炎、水、氷、風、雷、地、木、聖、闇、治癒、無の十二種類の属性が確認されている。色は火と炎は赤、水と氷は青、風と雷は黄、地と木は緑、聖は白、闇は黒、治癒と無は透明。魔石の色もこの属性の色が現れる。イズモの場合は赤と白の魔石になる。


 火と炎の違いや無属性についてなどマジックは奥が深い。調べれば調べるほどに疑問が出てくるのだ。因みにこれらの疑問は過去に誰かが調べていたようで本に残っていた。火と炎の違いは規模の大きさと温度。もちろん炎のほうが大きく高い。無属性とはほかの十一種類に分類されないマジック。転移、召喚、付与などがこれに当たる。



 こうして魔法に関しての知識を手に入れ、よく漫画やゲームにあった魔法をイメージすることで俺のマジックの腕はかなり上がった。この森の魔物を一撃で倒すほどに。



 アーツは生命力を使う技で、肉体を動かす動作、身体能力の向上がこれに当たる。剣を横に薙ぐ、という動作を普通にやるのとアーツを使うのでは威力や速度が全く違う。二倍くらい。


 武術系のアーツ、剣術や槍術はその武器を使い熟練度を上げることで覚えていく。アーツの数が熟練度と言っても過言ではない。例えばだが剣術で説明すると、


熟練度1=斬鉄・・・鉄を切り裂く斬撃。

熟練度2=剣舞・踏襲・・・踊るように斬りつける連続攻撃。

熟練度3=飛斬・・・斬撃を飛ばす遠距離攻撃。

熟練度4=斬鉄・真・・・より強力になった斬鉄。

熟練度5=剣舞・百花繚乱・・・斬りつける回数と速度が増した剣舞。

熟練度6=飛斬・双・・・強力になった斬撃を二つ出す飛斬。


 と、こんな感じ。これ以降もあると思うけど俺は今ここまでしか覚えていない。アーツのほうは広く浅く覚えていったからな。旅の途中で鍛えるさ。


 身体能力向上系のアーツはいつのまにか増えていた。何もしてないのに。さらにこのアーツは持っているだけで能力値に補正がかかる。持っているか持っていないかでは天と地ほどの差があり、具体的には1.5倍くらいになっているのではないだろうか。さらにアーツとして使うことで元々のおよそ2倍ほどの力が出せる。このアーツもチートと呼んでいいだろうな。



 さて、この半年で分かったことをいろいろ説明したが、今の俺のステータスはこれだ。




シンク・カミヤ 18 人族〈神族〉 男

〈レベル85〉

ジョブ

 神の使徒

ユニークスキル 

 能力強奪

 神眼

マジック

 天賦の才(魔法)

  ・火属性魔法

  ・炎属性魔法

  ・水属性魔法

  ・氷属性魔法

  ・風属性魔法

  ・雷属性魔法

  ・地属性魔法

  ・木属性魔法

  ・聖属性魔法

  ・闇属性魔法

  ・治癒属性魔法

  ・無属性魔法

 魔力操作

 超回復

 無限収納

アーツ 

 天賦の才(武術)

  ・剣術

  ・体術 

  ・槍術

  ・斧術

  ・槌術  

  ・棒術

  ・鎌術

  ・弓術

  ・投擲術

  ・二刀術

 剛力

 金剛

 集中

 魔耐

 俊足

 立体機動

 見切り

アビリティ

 直感

 魔力察知

 気配察知

 熱源察知

 〈神の器〉

 隠蔽

 言語理解

 強運

称号

 〈神の眷属〉




 半年の間に追加されたスキルの説明をしよう。



剛力

 『筋力』を上昇させる。物理攻撃、アーツの威力が上昇する。力持ちになる。


金剛

 『耐久力』を上昇させる。物理攻撃耐性が高まる。忍耐強くなる。


集中

 『知力』を上昇させる。魔法発動速度、マジックの威力が上昇する。賢くなる。


魔耐

 『精神力』を上昇させる。魔法耐性が高まる。我慢強くなる。


俊足

 『速力』を上昇させる。移動、行動速度が上昇する。素早くなる。


立体機動

 壁や天井を利用した三次元的な動きが可能になる。〈身軽〉〈壁走り〉の複合スキル。


身軽

 全ての動作が軽快になる。


壁走り

 垂直までの角度の壁を走ることができる。


見切り

 敵の動きを瞬時に判断し、最小の動きで回避する。


神の器

 全異常状態耐性、神の威圧、神気の使用可能。神気をマジックに乗せることで威力や規模が爆発的に上がる。



 ほとんどアーツだが、天賦の才を開花させるために修行をしていたのでそこまで増えてなくても不思議ではない。神の器はレベルが50を超えたら所持していた。



 今から修行の締めくくりに入る。この森の主、キングワイプの討伐が目標だ。名前で分かるかもしれないが見た目はボロいローブを着た骸骨。禍々しい魔力を持った杖を持ち、アンデット系モンスターのワイプを使役する。得意なのは闇属性魔法。弱点は聖属性。



 そのキングワイプはユニークスキルを持っている。その名も〈魔法合成〉。通常は1つのマジックに与えられる属性は1つ。それを2つ、3つと属性を与えられるのがこのスキル。炎と闇しか持っていないキングワイプだが魔法合成によって生み出された黒い炎は触れると何かしらの状態異常を受ける。さらにはキングワイプが解除するまで火が消えないという特性も持つ。取り巻きも合わせてかなり厄介な相手だ。火耐性と状態異常耐性を持っていなければの話だが。



 森の中、アンデットの多く生息する部分にやってきた。同行者はイズモのみ。クルトさんと比べて強くなりすぎた俺たちは二人だけでキングワイプを倒しに行く。



「まだ昼間だっていうのに暗すぎるだろ」


「アンデットは日の光に弱いからね。この辺り一帯を闇で覆っているのよ。キングワイプを倒せば明るくなると思うわ」



 鬱蒼と茂った森は不気味だ。気分が憂鬱になってくるな。



「ま、暗さなんて関係ないな。さっさと行くか」



 俺は神眼、イズモは暗視のスキルがあるためこの森でも昼間のように明るく見える。故にいつも通り、敵はいても蹴散らす方向で進む。死体が残らないから楽だ。



「はああ!」



 聖属性を付与した絶無を振るう。軌道上にいたワイプやゴーストと言った魔物は消滅していく。



「〈炎弾〉!」



 イズモも炎属性のマジックで魔物を燃やしていく。



 そんな作業を一時間ほど繰り返しながらついにキングワイプの住むと言われる場所に着いた。辺りは完全に日の光が届かず、薄っすらと霧も出ている。背筋が凍るような感覚も絶えず続く。普通の人間がここに踏み入れたのなら恐怖で正気を保てないだろう。



「さて、お出ましみたいだ」


「晩御飯を作らないといけないからね、さっさと片付けて帰りましょう」



 だがここにいるのは普通の人間ではない。神とその眷属候補。その前にはキングワイプといえど雑魚と同じ。瞬殺できる。が、その前にやることがある。



「イズモ、〈能力強奪〉を使う。少しの間援護してくれ。気を引くだけでいいけど」


「分かったわ。飲まれないように気を付けて」



 まずは相手の黒い炎を見る。その為には、接近してみよう!



「行くぞ、一太刀目! 〈一閃〉!」



 絶無を構えて刀術アーツ〈一閃〉を放つ。が、キングワイプは杖でそれを防いだ。そのまま鍔迫り合いへ移行する。すると魔力が杖に溜まるのが分かった。



「イズモ!」


「ええ! 〈アポーツ〉!」



 イズモが手に持つのは無属性のマジックが魔法陣として書き記された魔導書。そのページを破ればその魔法を一度だけ使える。今回使ったのは〈アポーツ〉。引き寄せのマジック。対象は俺。



 イズモの真横に引き寄せられた俺は直後にキングワイプの杖から出た黒い炎を見た。千里眼を使って細かく、魔力察知も併用して魔力の流れを見た。



 簡単に終わりそうだがこれからやるのは初の試み。初めて使うユニークスキルに少し緊張してきた。



「大丈夫よ。恐れることはないわ。スキルは自分の技能だもの。いわば自分の一部。自分を信じなくて何を信じるの?」


「・・・確かにな。ありがとう、緊張が取れたよ」



 俺のちょっとした変化にも気付いてくれるようになってイズモはとても頼もしいパートナーだ。



「じゃあ一丁やりますか!」



 アーツ〈俊足〉を発動。それと同時に背中から風を出し、さらに加速する。魔法タイプのキングワイプは俺の速さについてこれないみたいだ。



「後ろは貰った。行くぞ〈能力強奪〉!」



 キングワイプの背骨に当たる部分を掴み、〈能力強奪〉を発動させる。するとキングワイプからかなりの魔力が流れてくるのが分かった。それが俺の中に入ると俺の魔力が溢れるほどに増えた。



「あああぁぁぁぁ!」



 心臓がバクバクと脈打つ。呼吸もできないほどに苦しい。だがそれも一瞬。俺は〈魔法合成〉を掌握した。



「さっそく使ってやろう! 行くぞ〈聖火の杯〉!」



 魔法合成で生み出ししは聖属性+炎属性+地属性。相手を取り囲むように地を盛り上げ、そこに浄化の力が宿った炎を灯す。その地は窯と化す。



オオオオオォォォォォ・・・



 断末魔を上げるキングワイプは浄化の効果で動きを阻害され炎によって焼き尽くされる。



 やがて影が見えなくなり、声が聞こえなくなったころ炎を消した。



「お疲れ様、シンク」


「ああ、お疲れ、イズモ」



 キングワイプがいたところには黒と赤半々に分かれた魔石と杖の先についていた水晶のようなもの、一本の杖が落ちていた。

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