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第5話 イカ箸たてエクセレント

 今日は朝から倉庫にこもって商品の数を数えました。あーなんか楽し

いなあ、はははっ、見たこともない商品が後から後から出てくるんです

。いったいこれは何に使うんだろう・・・・ ボクは一日この倉庫にこ

もってられたらどんなに幸せなんだろうって思うと顔がにやけてしまい

ました。


 と、突然社長が入ってきてねえねえ山火事発生だよ! 家がメラメラ

と燃えているんだ、アハハーッ!・・・・・ 社長は人が不幸な目にあ

うとすごく喜びます。ボクは明日から住むところが無くなっちゃうって

言うと、しばらくはテント生活だなーハハハーッ! って喜んでいまし

た。


 空気が乾燥していて風が強いと山火事がおきるんだ・・・・ ボクは

いつものようにハイハイって返事をしていたらやっと満足して倉庫を出

ていきました。あっいけない、また数が途中でわからなくなっちゃった

。その時ひらめいてしまいました。設計の2人が社長と話をしないのは

仕事にならないからだということが、でもボクは無視できない性格だか

らやっぱりハイハイって聞くしかないかってあきらめました。


 午後になると営業の岩口さんがウエッ! と言い会社に来ました。岩

口さんはいつもお昼が終わって仕事を始めるころに会社に来ます。そし

てボクが仕事を始めようとするとそこからパソコンのスイッチを入れて

お昼のおにぎりを食べてフリーセルをし始めるんです。


 それでも社長は注意しないんです、何か弱みを握られているのかなあ

・・・・ 想像したけど何も思いつきませんでした。ボクは倉庫から持

ってきた商品を机に並べて携帯カメラで写真を撮ってパソコンに入れる

作業をしました。カタログ商品が増えていくにつれてどんどん楽しい出

来になってきてボクは画面を見ながら顔がにやけてしまいました。


 すると電話がかかってきました。ボクが電話を取ると営業の岩口さん

お願いしますと言われました。そういえば岩口さんに電話がかかってき

たのは始めてでした。電話ですって言うとウエッ! と言いフリーセル

をやめて電話に出ました。


 あーどうもお世話になっています! ボソボソっととウエッ! とし

か言わない岩口さんが明るい張りのある声で話をしているんです、よっ

ぽど良いお客さんなんだと思いました。そして最後にあがとうございま

す! さっそく送らせるようにします! って電話を切るとボクに声を

かけて来ました。


 悪いんだけどさ、イカ箸たてを40個こちらのお客さんから注文来た

から送っといてって言うと10年くらい前の黄色くなった名刺をボクに

差し出しました。カタログ作りがノリノリだったのにめんどうくさいな

あって思ったけれどボクはわかりました! って返事をすると岩口さん

はまたフリーセルを始めました。


 今作ってるカタログを見たけどイカ箸たてはありませんでした。テレ

ビ見てる社長の前を呼び止められないように走って通りすぎて倉庫に行

ってまだ開いていないダンボール箱を一つづつ調べたけどありませんで

した。うーむやっぱりケンさんの所にあるに違いない・・・・


 自分の机に戻ると岩口さんは今日はサッカーの試合があるのでこれで

失礼って言うと帰って行きました。今日は会社にきて最短の1時間で帰

って行きました。仕事よりフリーセルよりサッカーの試合のほうが優先

なんだ、岩口さんすごいなあー!


 ボクは気を取り直してケンさんに電話をしました。するとちょっと待

ってって言い階段を上がっていく音がしました。あ、い、イカ、イカは

し立てと、ああ31個しか無いよ! 何個欲しいんだっけ? ボクは4

0個なんですけどと言うと、じゃあ1週間待って、作っておくからと。


 営業の岩口さんは在庫の数も調べないで注文を受けてしまったんです

、それで今日送らせますから! なんて言ったのがその時わかりました

。ボクは困った、どうしようって思いました。一度電話を切って岩口さ

んに電話をかけたけど留守電になってました。はあああ、今日送るって

約束なのに数が足りない・・・・ どうしよう、こまったあー。


 社長に数が足りません! って相談すると岩口くんには困ったなあ、

いつもあーなんだよ、数を間違えて送ったり、商品を間違えて送ったり

しょっちゅうなんだよ、岩口くんに言ったってごめん、お客さんに電話

して謝っといてと言われるだけだから自分で何とかしてって言われまし

た。


 はあああ、こまったあーーー、ボクは本当に数が足りないのか確認し

たくて車を借りるとケンさんの工場に行きました。そして岩口さんが4

0個今日中に送りますって約束したのに数が足りないからどうしよう・

・・・ って相談するとケンさんは毎度のことだよハハハッ! って笑

ってました。


 目の前が真っ暗になって棒立ちしてると、ケンさんが代わりにイカは

し立てエクセレントならあるよ、エクセレントは1000円高いけど3

倍売れてるよ! って教えてくれました。ボクは見せてください! っ

て言うと全速力で階段を上がって行き、商品を探しました。


 あ、い、う、行きすぎた、い、イカ箸たて、あった! その横にはエ

クセレントもありました。ボクは両方ケースから出すと1階のテーブル

の上に置いて箱から出しました。えーっとこっちがイカ箸たてで、こっ

ちがイカ箸たてエクセレント。


 並べて観察するとほとんど同じ形をしてました。イカさんの足が広が

っていて吸盤で倒れにくくなっています、そして頭の三角の部分をねじ

ると頭が開いて中から箸が出てくるようになっていました。ハハハーッ

面白いなあ!


 そして次にエクセレントを見ました。テスト用の電池を入れてお尻の

スイッチを入れたけど何も反応がありませんでした。動かないししゃべ

らないや、そしてイカさんの頭の三角の部分に手をやった瞬間、モータ

ーの音がして頭がパカッ! と2つに割れて開きました。はあああ、頭

がひらいたああああ!


 エクセレントは電池が入っていて手を近づけると自動で頭のフタが開

くんです、はしを取り出して手を引くと今度は頭がくっついてパカッ!

 って閉じるんです。エクセレントは片手で箸が取り出せてすごい便利

です、昔、箸にハエが止まっているのを見たけどこれを使えばキレイキ

レイなんだ、これはいいなあ!


 ボクは携帯カメラで写真を撮るとお客さんにメールをしました。それ

から思い切って電話をしました。すいません、イカ箸たてなんですが3

1個しかありませんでした。そう言ったらだってさっき岩口さんはある

って言ってたぞ! 足りないのは他の客に回したせいだろって妄想して

怒り始めたんです。


 ボクはすいません、すいませんって何度も謝りました。居酒屋で働い

ていたころは毎日怒られていたので、ずーっと謝っていれば許してくれ

ると思ったからです。それから10分くらいするとお客さんの声が普通

になって来ました。数が足りないならもういらないや! そう言い出し

て電話を切る気配を感じました。


 ボクはあせって、イカ箸たてエクセレントならあります! こっちの

が1000円高いですけど3倍売れてます! って言うとエクセレント

っていったい何だ? って食いついて来ました。ボクは10分くらい前

に写真をメールしたんですけどって言うと、どれどれ、あーこれか、そ

して5秒後にお客さんが、イカだあーーー! って言ったんです。


 ボクはすかさずイカ箸たては両手使わないと頭のフタが開きませんが

、エクセレントは手を出すと頭がモーターでパカッと開いて片手で箸が

取り出せるんですよ、動きが面白いし、毎日食べるたびに思わず笑っち

ゃうんです! って言うと、本当に頭がパカッと自動で開くのか? っ

て聞いてきました。


 ボクは2枚目の写真がそれです、ちょっと見てください! って言う

と5秒後にお客さんが、おーーーエクセレント! と言ったんです。ボ

クは目の前のイカさんを見ながら商品を細かく説明をしていたら、それ

、それ40個の3倍の120個送って! って言ってくれたんです。


 ボクはやったー! って思いました。今日送りますから明日到着しま

す! って言うと、岩口さんもエクセレントのが売れてるって言ってく

れればいいのに、いつも注文受けるだけで情報くれないからこっちもわ

からないよって言ってました。


 そうか! 売れてる商品の情報をお客さんに言えばもっと売れるんだ

・・・・・ ボクは急いで階段を上がって行きイカ箸たてエクセレント

を120個ダンボールに詰めると、ケンさんに120個売れました! 

伝票あとで送ります! って言うと電話を聞いていたのか商売上手だね

え、ハハハーッと笑ってました。


 イカ箸たてエクセレント、ボクも1個ほしいな、ケンさん1個売って

ください! そう言うと120個売れたから1個くらいあげるよ! っ

て言ってくれました。ケンさんありがとう。商品を目一杯車に乗せて会

社に戻り宅配便で発送するともう夕方でした。


 売れたのがうれしくて社長にイカ箸たてエクセレントが120個売れ

ました! って報告すると上の空であっそう、それよりさあ、倒産した

例の会社の社長、仲の悪かった会社に来て雇ってください! って泣き

ついてきたらしいよ、ハハハーッ! うちにもそのうち来るな! って

大喜びでした。そんな話を聞かされていたら終わりの時間になってしま

いました。


 設計の2人も今日は定時で帰るって言うのでボクも帰ることにしまし

た。家に帰ってお母さんにボクは今日イカ箸たてエクセレントを120

個売ったんだって言ってこれがそうだよってテーブルの上に置いていつ

も使っている箸たてから箸を出すとイカ箸たてエクセレントに手を近づ

けました。


 するとモーターの音がして、イカさんの三角頭がパカッ! と開きま

した。するとお母さんは、はあああ、ひらいたあああ! って言いまし

た。ボクは箸をストンと落として手を引っ込めると頭がパカッ! と閉

じました。するとお母さんはとじたあああ! って言いました。


 お母さんは手を出したり引っ込めたりして頭がパカパカするのを見て

ハハハーッ! って笑ったんです。これ便利ね! 面白いしって大好評

でした。そしてお父さんが帰ってきたので3人で夕食を食べようとして

イカ箸たての説明をしようとしたら、お母さんがかわりに説明し始めま

した。


 頭がパカッ! と開くとお父さんは頭がひらいたあああ! ってビッ

クリしてました。そして手を出して開いたり閉じたりするとハハハーッ

! て笑ったんです。そしてお前の会社もたまには役に立つ物を作るん

だなってほめてくれました。


 お父さんとお母さんがやっとボクの仕事をほめてくれた、イカ箸たて

エクセレントが120個も売れちゃった! ふとんの中で今日おきたこ

とを何回も思い出すと顔がにやけてしまいなかなか眠れませんでした。


 次の日の朝、寝不足のままパンとコーヒーで食べているとお父さんは

パンを食べながら意味もなくイカ箸たてエクセレントをパカパカ開閉し

て遊んではハハハッと笑ってました。ボクは心の底でどうだまいったか

! って思うと喜びがこみ上げて来ました。


 会社に行くとすぐに倉庫に入って商品の数を数え始めました。コーヒ

ーカップじゃなくてコーヒーカッパってなんだろう・・・・ 想像もつ

かない商品がゴロゴロと出て来るんです、そして笑いながら数を数えて

いると社長がやってきて、倒産した会社の社長、断られたみたいだよ!

 きっとうちにも雇ってくれってくるかもおーハハハーッ! って大喜

びでした。


 社長の話で仕事が進まないでいるとお昼になってしまいました。午後

になって仕事を始めようとすると営業の岩口さんがウエッ! と言って

会社に来ました。おにぎりを食べながらフリーセルをやってたので、昨

日のイカ箸たてですがって言うと、えっ、何だっけ? って忘れてるよ

うでした。


 ボクはあせって走り回ってお客さんに怒られたのに岩口さんは覚えて

いないようで、大変だったことを説明すると、あっそう、ありがとう、

また注文来たら送ってやって! と言うとおにぎりを食べながらフリー

セルを始めたんです。


 ボクは自分で何も動かずとも営業してしまう岩口さんはすごいなあ、

スーパー営業マンだなあー! って思ってしまいました。それから夕方

まで楽しいカタログ作りをして1時間残業してその日は帰りました。


今日見た商品のコーヒーカッパってあれは何だろう・・・・ 考えてい

たら夜眠れなくなってしまいました。こんなことならもう1時間残業し

てコーヒーカッパが何なのか調べてから帰れば良かったと思っちゃいま

した。


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