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第4話 ジャンピングバッタ

 ボクはいつものように会社に行くと社長がコーヒーを作る機械をいじ

っていました。おはようございます! って挨拶すると社長はおっ、今

日も元気だねえ、ハハハッと笑いました。ライバル会社が倒産してから

社長はますます元気です。


 ボクは社長に倉庫の商品をもっと知りたいんですけどって言うと、あ

ーあれは全然売れなくて捨てようと思ってるやつばかりなんだよ、あん

なの処分したほうが良いんじゃないかな? って言いました。


 ボクはカタツムリライターがいっぱい売れたし、まだ他にも売れそう

な商品があるかもしれないから知りたいんですけどって言うと、何が何

個あるのかわからないよ、在庫管理もしてないしって・・・・ ボクは

調べてカタログを作りたいですって言うと、あっそう、って言ってそれ

きりでした。


 仕事が始まるとボクは倉庫に入ってダンボールの中の商品を出して数

を数えました。見たこともない形の使い方もわからない商品がいっぱい

出てきました。わあーすごいなあーすごい数だなあー、これ全部数えた

らそれだけで何日もかかってしまいそうだなあ。


 でも倉庫にいるとなぜか心が休まりました、面白そうな商品がいっぱ

いあるし、社長が話しかけて来ないからです。ボクはここの倉庫番にな

りたいなあ・・・・ でもしばらくすると社長が笑いながら倉庫に入っ

てきました。コンビニ強盗が逃げる途中で車にはねられたらしいよ! 

そしたら近くにいたおばさんに救急車呼んでください! って助けを求

めたまぬけな強盗だよ、ハハハーッ!


 確かに笑えました、でもボクは仕事がしたいのに社長は放してくれな

いんです。ボクはハイハイっていつものように返事をして聞いていると

満足して自分の机に戻って行きました。あー今日はもうやめた。そして

社長の所に行ってカタログを作りたいのでパソコンが欲しいんですけど

って言うと、うーん経営が苦しいから新品は買えないよ、私が使った中

古パソコンならあるけどどうかなーって・・・・・


 社長の机の後ろの引き出しを引っ張るとノートパソコンがいっぱい出

てきました。どれも見た感じまだ新しい物でした、ボクはこれで十分で

すって言うと、社長はこれが一番新しいかな? 昨年買ったやつでもう

古いよって。どうやら社長はパソコンを毎年買っているようです。


 借りたパソコンのスイッチを入れたら、設計の2人から呼ばれたので

行くと電気コケシのテストが始まりました。コケシさんの前に立つと、

こんにちわ! ってしゃべったんです。はああああ、しゃべったあああ

あ! すると電気の木森さんがやっと時計とアイシーがつながったん

だ、夜になるとこんばんわ! って言うし朝はおはよー! って言うよ

って。


 ボクはコケシさんの前で右に左に動くとボクの顔を見ながら首を左右

に振りました、はははーっ! 面白いなあ、はははーっ! 左右に動き

ながら笑っていると、機械の添山さんがオッケーありがとう! って言

ってくれました。


 ボクはコケシさんが、ハイハイとか、ウンウンってもっとしゃべると

面白いなあって言うと、そうかその手があったか! って電気の木森さ

んが言いました、そしてそれもらうよ! って。ボクの意見を聞いてく

れたと思ったらすごく嬉しくなってわあーってジャンピングバッタさん

のようにジャンプしちゃいましたああああ・・・・


 机に戻って何個か倉庫から持ってきた商品の写真を携帯カメラで撮り

ました。机の上は商品でいっぱいになって、それを眺めていると何だか

ワクワクして来ました。これ全部いじってみて感想をパソコンに入れて

カタログを作ったらすごい楽しいなあー、はははーっ!


 袋をやぶって説明書きを呼んで使い方を見ながら観察していじって遊

びました。クジラ削りってなんだろう・・・・ よく読むとそれはエン

ピツ削りでした。頭の潮をふく穴にエンピツを差し込むとモーターが回

ってエンピツが下に下がって行きました、引き抜くと、はああああ、削

れたあああ! 思わず口走ってしまいました。


 削りカスはクジラさんの口から出てきてゴミ箱に頭を下げるとパラパ

ラってカスが落ちてきました。わあーーすごい便利だなあーーー。両手

で持って口の中をのぞいて観察しているとまた社長がやってきてテレビ

の話をし始めました・・・・ はー・・・・ 社長の話は聞いていて疲

れるなあ・・・・・


 話が終わると経理の三下さんがファックスを持ってきました。社長、

ケンさんからファックスです。ジャンピングバッタ1000個即日完売

らしいです! 社長はあっそう、そう言うとコピーして全員の机の上に

それを置きました、機械の添山さんがそれを見て完売ですか良かった!

 って言いました。


 ボクはすごい売れ行きで気分がウキウキして来ました。そして社長に

営業の岩口さん忙しくなりますね! って言うと、岩口くんが売り込み

に行くはずがないよ! って言い出したんです。この前だって売り込み

に行けって命令したら逆ギレされてじゃ社長が行けばいいじゃないです

かって怒られちゃったよ、ホホホ岩口くんには困っているんだよ、どう

したら良いかねえ〜って・・・・・


 いつも陽気な社長が半泣き状態になってしまったので本当に困ってい

るんだなあって思いました。ボクはじゃ、誰が売っているんですか? 

って聞くと、岩口くんじゃあてにならないからって、お得意さんは製造

してるケンくんに直接注文するのよ、だからうちは営業しなくてもどん

どん売れるわけよと説明してくれました。


 ボクはこの前カタツムリライター買ってくれたお客さんなら買ってく

れそうなので売りたいですって言うと、じゃ売ってみたら? と言って

くれました。ボクはやった! って思いすぐにお客さんに電話をしまし

た。例のジャンピングバッタ完成したので見て欲しいんですけどって言

うと、あーそう、じゃあ送っといてと言われました。


 ボクは近くなので持っていきます! って言うとええ? うち来てく

れるの? 来てくれるなんて始めてだよ! どうせ来るならちょうど明

後日カタツムリライター買ってくれたデンマークのお客さんが来るから

その時に来たら? って言うのでボクは行きます! って返事をしまし

た。


 次の日は一日カタログ作りをしたけど社長が何度も話をしにきて仕事

は進みませんでした。そして次の日ボクは社長にジャンピングバッタの

売り込みに行って来ます、デンマークのお客さんと合うんですって言っ

たら、社長も行くよって言い出しました。


 ミニバンを運転してお客さんの所に行くと先日は助かったよ、デンマ

ークのお客さんが喜んでくれて今日来るからって言うんだ・・・・ ボ

クは社長と並んで座ってケースからジャンピングバッタを出して見せま

した、するとお客さんは、ほおおおバッタだあーーーー! と言いそれ

を手の上に乗せて観察しました。


 するとそこにデンマーク人のお客さんが来たんです。 背の高い見る

からに恐そうな重役みたいな人でボクは引いてしまいました。すると関

西弁でこれがそのジャンピングバッタかいな! って言いました。見た

目がすごいのに漫才師みたいな日本語をしゃべる人ですごい違和感を感

じました。デンマーク人の立派な人はホッカさんです。


 ボクは緊張した手でバッタさんの頭をコンコンってたたくと、目玉が

ピカピカ光りだしてそしてバッタ!・・・・・ バッタ!・・・・ っ

てジャンプしながらテーブルの上を右回転し始めました・・・・・ ハ

ハハーッこれ面白いやないかい、ごっつあやしいでえ〜ハハハーッ!


 えらいえらい歴史あるデンマークの人がこんな商品を見て大ウケする

なんてボクは信じられませんでした。これなんぼや? すぐ欲しいでえ

、そう言われたので定価3500円ですって言うと、2000個欲しい

で、すぐ用意してくれ! って言われました。


 それからホッカさんと社長とボクと、この店の店長さんとくだらない

商品の話で盛り上がってしまいました。あーこれが営業なんだ、なんか

楽しいなあ〜、はははーっ! 社長も商品の話でノリノリでした。


 見た目が立派で怖いですがホッカさんはゲーム好きのアニメオタクで

した。後半はゲームの話で大盛り上がりでした、社長が毎夜ゲームして

いたなんて知りませんでした。そして楽しい時間はあっという間でホッ

コさんは、ほなさいなら、ハハハーッと笑って帰って行きました。


 この店の店長さんは先日カタツムリライターまだか? ってあの怖い

デンマーク人に迫られて苦し紛れにウソついて今週入ります! って言

っちやったのよ、営業の岩口さんに怒ったら、来週だ! なんて言われ

て電話切られて、もうこれ以上言い逃れ出来ないってパニックになっち

ゃったのよ、あの時は本当に助かったあーーーーって感謝されてボクは

本当に嬉しかったです。


 帰り道、社長はジャンピングバッタは手応えを感じていたんだ、絶対

に売れると思ってたよ、そう言ったのでボクは本当に売れましたねえ、

さすがです社長! そう言うとハハハーッ、私がやらずに誰がやる! 

そんなことを言って話が止まらないハイテンションな社長でした。


 会社に戻っても社長はノリノリでした。設計の2人に大量に作ろうよ

! って言うと、電気の木森さんが一言、言われなくてもケンさんに追

加注文しました! って言われると社長はムッとした感じで何も言わず

席に戻って行きました。


 次の日もボクはカタログ作りをしながら商品をいじって遊びました。

はははーっ、楽しいなあー・・・・ でもまた社長がやってきてデンマ

ーク人のことをネットで調べたらしくボクに説明し始めました。デンマ

ークってどのへんだったっけ、行ったことがないからわからないや。


 そして午後になると2日ぶりに営業の岩口さんがコンビニ袋を持って

やって来ました。そして机の上のファックスを読むと社長の所に行って

ジャンピングバッタ売れてるって知ってますか? って言ったら、社長

はそれ私がコピーして机に置いたの、もう2日前のことだよ! ってム

ッとした顔で言うとウエッ! と言いUターンして机に座るとフリーセ

ルをおにぎり食べながら始めました。


 ボクは岩口さんに問い合わせ来たお客さんにメール返信したら注文書

が来ました! って報告すると、あっそ、じゃあ送っといてって言うと

またフリーセルを始めました。ボクは注文が来た商品を倉庫に探しに行

ったけど見つかりませんでした。困って設計の2人に聞くとそれは売れ

筋なんでケンさんの工場にあるよ、近くだから取りに行ったら? って

教えてくれました。


 ボクは社長に取りに行くので車を貸してくださいって言うと、私も行

くよと。それから社長と車に乗ってケンさんの工場に行きました。ケン

さんの工場は大きな倉庫の中にありました。テーブルの上ではパートの

おばちゃん達がジャンピングバッタを組み立てていました。


 ボクはケンさんにこの商品が欲しいんですけどって言うと、2階の倉

庫にあるから探してって言われました。社長とケンさんは立ち話を始め

たのでボクは階段を上がって行きました。棚には商品のプラケースがず

らっと並んでいて、あいうえお順に並んでいたのですぐに見つかりまし

た。プラケースの前には残りの数が書いてあってちゃんと管理されてい

てすごいなあーって関心しました。


 そしてケンさんにこれだけもらって行きますって言うと、伝票後で回

してね! って言われました。それからボクはジャンピングバッタを作

る所をじっと見ました。パートのおばちゃん達は慣れた手つきでどんど

ん組み立てています、すごいなーこんなに早く作れるなんて・・・・ 

おばちゃん達に組み立て上手ですね! って言うと、単純労働のが合っ

ているのよ、ハハハーッと笑っていました。


 会社に戻ると営業の岩口さんは帰ってもういませんでした。ボクは商

品をダンボール箱につめて宅配便で発送しました。あー今日も売れたな

あ、はははっ、ボクはもっと商品のことを詳しくなってもっと売りたい

なあって思いました。


 その夜夕食を食べながらお父さんとお母さんにデンマーク人のホッカ

さんにもうすぐ納品だよ! って言うとお父さんはデンマーク人があん

なくださらないバッタなんか買うか! って言うのでだって背の高いデ

ンマーク人が関西弁ですごい喜んでたよ! って言ったら、だってそれ

日本に住んでる関西人だろ? デンマーク人じゃないだろ? って言わ

れたら急に心配になって来ました。


 えらいえらいデンマーク人に馬鹿にされたらどうしよう、大量に返品

されたらどうしよう、ボクは急に心配になってきてあれこれ考えていた

ら夜眠れなくなってしまいました。



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