03
そっと、社長室の扉を開いて入ってみる。中には誰もいない。入ったついでに社長室を見学させてもらう。日本刀のコレクションが沢山ある。銃刀法違反にならないのかが疑問点。でも、外に持ち出してないから大丈夫かと自分で納得。
部屋の外から、滑車というか、タイヤというか、とにかく何かが回る音がする。ということは、人が来る。
急いで隠れる。もしも、入ってはいけない所だったら、きっとあの日本刀コレクションのどれかで殺されてしまうだろう。
「隠れても無駄だ、君がここに来ることは最初からお見通しだ」
隠れた場所は、社長のデスクの下だった。謎の人物は、日本刀のショーケースの中やタンスの下などを探す。まさか、ここにいるとはおもわなかったのだろう。
「逃げられたk……aあ!!」
“下からぁわたし♪z(強制終了)
どうやら、本当に机の下にはいないと考えたようだ。相手は硬直して、開いた口が塞がらなくなっている。
その時だった。台車とそれを押す人(30代後半くらいの男の人)が中に入ってきた。音的に、重さは130kgくらいだろう。そんな大荷物、どうして社長室に……?
「ご苦労だった、戻っていいぞ」
社長のような人は台車を持ってきた人に言った。
「お前が残ったのか、意外だな」
社長のような人(もう、社長と断言してもいいだろう)は、窓のブラインドを触りながら嘲笑って言った。
「意外って、人権考えて……そもそも、誘拐する時点でおかしい」
本音をぶつけた。なんで私じゃだめなのか。しかし、社会にごまかされていると思っているのだろう、口の端がかすかに笑っていて、自信がとてもあるような感じだ。
「残った君には、最後にこれを解いてもらおう」
そう言って私は部屋の床の一部ごと上に上がっていき、迷路についた。
「この迷路を30分以内に解かないと、出口は封鎖される……せいぜい、もがき苦しむのだな」
さっきの社長の声がした。やっぱり狂っている。人口減少による労働力不足を深刻化させるつもりなのだろうか。酷い大人だと思う。
それに、もがき苦しめというのは、○ねということになる。そんなことに、ここではなりたくない。
とりあえず解いていく。
この迷路は、普通の迷路だ。ただし、部屋がついている。あの某人気ゲーム、スーパーマ○オのゴーストハウスというステージに似たような感じだ。廊下もドアの中も迷路で、ドアの中の迷路は間違ったと思ったら引き返さなければならない。
地図は、廊下の地図がスタート地点に置いてあり、ドアの中の地図は、ドアの中に入ってすぐの床に置いてあった。
走り始めて何分経ったのだろう、床に置いてある地図を見ながら進んでいくうちに、ゴールが分かった。私は、走ってゴールへと向かう。ゴールの扉は開いていた。その先には、予想もしなかった光景が広がっていた。