5話美空登場!
何とか書けたので投稿
俺は森に行く前に、外に充電させている太陽電池の付属パックを10個取り外してポケットに入れた。
これは契約召喚の儀式の際に恐らく必要になるであろう、魔力供給に俺のその時点の魔力が根こそぎ吸い取られる可能性が有る為だ。
まあ、これはゲームの時に経験が有るので対処は簡単だから良いが、余分に持って行くのに越したこともないという事で10個だ。
そうして、森に行く準備が出来た所でカリンと共に再び森へと赴く。
「それにしても一日に三度も森に足を運ぶことになるとは思いませんでしたよ。しかも最近行ってない迷宮にまで行くことになるなんて・・ケイタさんは案外怖い物知らずですか?」
「どうしてそう思う?」
「だって、普通に考えれば、魔物がうろつく森さえ、村の人は近づこうとしないのに、ケイタさんは何処か楽しんで行ってるような感じがします。」
お?鋭いな。
それも種族の特性って奴かな?
「それはカン?それとも経験上の事?」
「・・うーん、どちらかというと村の人の反応との差を見ているだけですから経験上の事ですね。恥ずかしながら、私はそれ程観察力が有る方ではないですから。勘と言った観察力の必要な物は自信が有りません。」
ほー?自分の自己判断は出来るって事か。
ある意味、扱いやすい奴なのか?
「まあ、自己分析が出来る奴はこういう世界では長生きできる筈だから、ってカリンには言う必要のない話だな。聞いた話だけだが俺よりもよほど長くこの世界に生きてるようだから。」
その俺の言葉にカリンは苦笑しながら
「確かにそうですが・・・そうしみじみ言われると自分がおばあちゃんの様な感じがして嫌ですね。私は皆と同じように過ごしたいんですけど・・。」
「それは俺に言っても仕方ない。俺にはどうする事も出来ん事だ。」
俺がそう言った所で漸く森に着いた。
「まあ、種族柄の寿命の話は後にして、取りあえず先に進むためにカリンは魔法書を出して臨戦態勢に成ってくれ。俺も適当に良さそうな魔法を直ぐに撃てるように準備しとく。」
「はい、分かりました。」
という事で俺たちは森に入って行った。
そして数分後・・・
「ぴぎゃあああ!!」
「ぐぎゃああ!!」
おお、居る居る
見た目が物凄い子豚みたいな犬に、二回目に来たときのブラン。
「なあ、あのチッコイ奴は何テーの?」
「え?ああ、あれは食用に平原でも見られるポーイですね。あれだけの大きさなら先ほどの闇魔法には入りきらなそうですから少し刻む練習しますか?恐らくイメージを固めれば出来ると思いますよ?」
「・・そうだな。んじゃあ、カリンはブランを一発で仕留めてくれ。邪魔になるとうっとおしい。」
「分かりました。」
って事で別れて退治だ。
「じゃあ、行きますか!」
俺はそう言うなり端末を操作し、詠唱を弄って魔法を創作。
そして、ミンチ状の肉に成る様子をイメージして発射。
「ぴぎゃああ!」
俺のAIフォンの魔法陣からでた魔法に逃げ惑いながら切り刻まれるポーイ。
まんま豚の様な断末魔の悲鳴を上げながら只の肉塊になる。
そうして、その肉塊を適当に闇魔法の練習台に入れたり出したりしていると、カリンの方も終わったようで、俺の方にブランの死骸を持ってきた。
「言われた通り、一発で仕留めましたー♪」
「よーし、上出来だ。よくやった!」
そう言いながらカリンの頭を撫でてやる。
傍からみれば、どちらが年上か分からん光景だ。
まあ、言葉遣いからしてカリンの方が幼い感じだからどうってことないのだが。
「俺の方も今漸くこのチッコイポーイの足が1本分入る位の大きさまで魔法を大きくできたとこだ。結構回数を重ねんと無理みたいだな。俺の反則的な魔法が無かったら、どんだけ掛かるか想像できん位の回数が必要だぞ?」
俺のその愚痴の様な意見に、さも当然の様な意見をカリンは言って来た。
「当然ですよ。普通は一つの魔法の修練に魔力にも依りますが、魔力の回復薬を飲みながらでも一段階上げるのに半年は優に掛かるんですから。それをこの数分の間に目に見えて効果が分かる程上がるだけでも非常識ですよ。どうなっているのか分かりませんが、ケイタさんの魔力の回復速度は尋常じゃないですね。まあ、最初だからという可能性も否定はできませんが。それでも早い事に代わりはありません。」
「まあ、これは俺の魔道具のお蔭なだけで、俺自体は少し特別なだけなんだけどな?しかし、やはり回数を重ねる毎に威力の上がり方も変わるのか?そこら辺も俺の魔道具のお蔭で何とでも成りそうだから、異常だと言うのに変わりはないが。」
俺は苦笑しながら自嘲する。
本当に、この世界に来てから俺の発明品が便利過ぎる位に成ってきている。
これでは本当に誰かの意志を疑う程のレベルだ。
「それでも、その魔道具を作ったのはケイタさんなんでしょ?それならケイタさんが特別って事ですよ。」
「ははは、そう言って貰えて嬉しいよ。・・まあ、もっと特別に成るように迷宮の広間に急ごうか。」
「はい!案内は任せてください!」
もう既に俺の虜に成りつつあるカリンの元気の良い声で再び森を進むことになった。
因みにポーイは四肢をもぎ取ってカリンの持ってきた皮袋に詰め、胴体のみ俺の闇の中に入れる事にした。
そうして、薄暗い森を進む事10分ほど。
偶に出てくるブランやポーイを適当に相手しながら歩き、漸く迷宮らしい洞穴に辿り着いた。
「これはどっからどう見ても洞穴だな。この中に入るのか?」
「ええ。・・けど、入れば中は結構広いですよ?言ってみればこの狭い入口のお蔭で溢れ出てくる魔物が少ないんですよ。これが入り口も広かったら、魔物が森に溢れちゃいます。」
「まあ、それもそうか。・・なら、取りあえず片っ端から殲滅の方向でいいな?その方が村も安心だろ?」
「そうですね。そうしましょう。」
カリンが嬉しそうに頷く。
恐らく俺の用事の序に魔物が掃除できるんで、都合がいいと思ってるのだろう。
まあ、確かに双方にとって利益のある捜査だな。
これで呼び出せる召喚体がミレイ位か美空なら、安心して迷宮の奥の方まで捜査できるが・・
どうなるかは運次第だな。
「じゃあ、入りますよ?後ろに付いて来て下さい。」
「おう、任せた。」
こうして、俺達は二人で洞窟に入って行った。
中に入り、最初に以外に思ったのはその明るさだ。
薄暗いと思う位に感じた森が嘘のように、この洞窟は広くて明るい。
天井も高く、そこいらの魔物が何匹も重なりあわなくては到底一番上に行けないであろう位の高さが有る。
さらに、この広い空間の更に奥にも穴が開いており、そこからも何処かへ通じる通路が有る様だ。
その穴が3つ。そして、後ろに入ってきた穴が一つ。そしてこの空間の広だが大凡100メートル四方。
先ほどカリンが言ったように、成るほどこれ位の大きさが入り口なら、確かに魔物も溢れてくるか…といった感じの広さだ。
そして、次に思ったのは中で待ち構えていた魔物の数。
ざっと見ただけでも優に100・・200?は下らない。
そして、その中にリンナが厄介だと言ったべトンも居た。
「なあ、あのベトンって奴の特徴は?」
「あれは打撃が効かないのって言うか、中に入り込んで意味が無いって言うのが一番の特徴ですね。なので、ブランにはケイタさんがそこらに落ちてる小枝で接近戦をして貰って、べトンには私の魔法で一気に殲滅が妥当ではないでしょうか?」
うーん、そうなるかな?
もう少し真面な獲物があれば良いんだが・・・
・・・!そうだ、この小枝に魔力を加えたらどうだろう?
「なあ、カリン。」
「なんです?」
「この小枝に魔力を加えるのは魔道具製作師でないと無理なのか?」
「?そんなこと無いですよ?剣とかにでも魔力を篭めながら戦う魔法剣士もいますし、それ自体は大して難しくないです。要は自分の魔力が持つかどうかですね。」
「というと?」
「魔力剣は常に魔力を流す必要がある剣なんで、扱う者は皆相当に魔力が高い人に限られるんです。・・まあ、ケイタさん位の・・・来ました。私は準備をするので、カバーをお願いします。」
「おう、任せろ。」
俺はそう返事すると、魔法書を胸元から出すカリンを意図的に視界から外し、AIフォンの端末を操作し、森では使えなかった火と風の合成魔法を構築。
それを小枝から発生する様に詠唱を調整させる。
「今から端末で構築する合成魔法を枝に魔法剣としてインストールして攻撃を開始する。・・出来るか?」
「可能です。少々お待ちを・・・完成です。実行しますか?」
・・はぇーな、おい。
まあ、早いに越した事も無いからいいか。
「よし、小枝に魔法展開!」
「是!」
俺の指示に肯定の意を示し、魔法が発動する。
俺の持つ小枝に熱の通った風の刃が絡みつく。
これなら向かって来ている奴位ならどうとでも成りそうだ。
「さー、行くぞ!」
そういいながら前方に小枝を振るう。
その熱気と後から来る風の刃をモロに受けたブランが体中を抑えながら、声も出せずに倒れ伏す。
「そらそらそら!!かかってこんかいー!」
少し調子に乗り気味に成っていると、背後でカリンの準備が整ったったと言う合図があったので、カリンの背後に避難して、序に二人を護るように風の障壁を展開する。
「いきます!」
カリンがその掛け声で魔法書から手を離し、魔法陣へと手を添えた直後。
俺と同じ風と火の合成魔法だが、威力は桁違いの物が迸った。
洞窟内という事で堪った酸素が一気に燃え上がり、狭い入口から入り込む酸素を取り込みながら広がる炎はまさに地獄の業火。
俺とカリンは予め端末に予備の風魔法を展開させて炎の渦を回避できたが、それでも多少の熱が届いていた位の炎だった。
「ぎょああ?」
「びゅぎゅ?」
「・・・!!」
その魔法に魔物はどうする事も出来ずに燃え尽き、蒸発する。
そして、燃える物が無くなった洞窟内の広い空間は、綺麗サッパリと掃除されていた。
「・・・・流石と言うべきか?これほどの威力があるとはな。凄いぞ、カリン!」
俺はそう言ってまた約束通りカリンを褒める。
本当に頭を撫でている時のカリンは子供みたいだ。
「あ、そう言えばケイタさんの合成魔法も相変わらずというか、イキナリで小枝に纏わり付かせるなんて凄いですね。それもその魔道具のお蔭ですか?」
「ああ、ハッキリ言って俺が凄いんじゃなく、殆どこのAIフォンが凄いんだがな?俺の自作ながら呆れる性能だ。」
「その自作って言う時点で凄いんですが・・・。まあ、いいでょう。では、私が知ってる広間に行きますか。向こうの3つの穴の真ん中の穴がそうです。他の穴の中には未だ門番の魔物が居ると思うので、今は止めときましょう。」
え?門番が居るの?
「なあ、その門番って、今から行くとこにも居たの?」
「ええ、最初の調査段階でいきなり戦いを強要されて、何かの結界が張られて逃げる事も出来ず、必死で戦いましたよ。・・・もう少しで死に掛けた所で何とか勝てましたけど。その魔物が言ったのが、『これでこの祭壇の封印は解除された、この祭壇スロットに入れられるのはパラレルアースサモンオンラインの星1つのカード。他の者は別の祭壇を使用せよ。』って言われて訳が分かんなかったですよ。それ以来他の穴も同じような物だと思って入るのは止めてます。」
確かに、俺でないと分からん内容だな。
けど、まあこれでハッキリしたな。
今から行くところで漸く俺のお気に入りのカードの契約生命体と久しぶり(実際は一日たってないが)に対面出来るのだ。
嬉しくて泣けてきそうだな。
「じゃあ、取りあえず俺の予想通りなら、最強の護衛の一人が仲間に成る筈だ。俺の命令には絶対服従の奴らだから、村の危険もかなり少なくなると思うぞ?」
「そうなんですか?ケイタさんがそこまで言う程の実力なら、期待してもよさそうですね。」
「ああ、十分に期待していいぞ。・・まあ、御託は兎も角、さっさと行こうか。」
「ええ。行きましょう。」
そうして、真ん中の穴に向かって進む。
そして、漸く祭壇らしき物がある広間に来た俺達。
確かにそこは一目で何かの儀式をやる場所だと言った感じの場所だった。
円形のお立ち台に、5角形のテーブルの様なバトルフィールドに近い台座。
そのサイドにカードを入れ込むスロットが一つ。
見れば脇の方に湧水のような泉が有る。
もしかしたらあそこで死んだカード達の清浄化をするのかもしれない。
俺はその台座に近づくと、取りあえず確認させる。
「おい、ここで合ってるか?」
「・・・はい、ここで間違いありません。ここで契約召喚体の召喚儀式をやるようです。・・・とはいってもここで呼べるのは一体だけですが。マスタ、美空のカードをスロットにセットしてください。」
「・・!おう、遂に召喚の儀式が出来るんだな。」
俺は待ち侘びたかのようにそう言ってから腰のポシェットから美空のカードを出すと、祭壇のサイドにあるスロットにカードを入れる。
そして、やはりカードを入れる際に契約の印の魔力認識によって俺の魔力が根こそぎ持って行かれた。
勿論対策をしてる俺は即行でAIフォンのバッテリーを差し替え、バッテリー切れになったパックを予備を入れているのとは違う方のポケットに入れる。
それから、遂に復活?の儀式が始まった様だ。
バトルフィールドの様なテーブルが突然光を放ち始め、その事に驚いたカリンが俺に質問して来る。
「な、ななな何が始まるんですか?」
「ああ、これから俺が言ってた最強の護衛を呼び出すんだ。一応女性だからよろしくな?」
「え?えええええ!!」
「・・お?光が収まってきたな。そろそろお目見えだ。」
「・・・・」
カリンはもう固まってるしまっている。
まあ、無理もないか。
イキナリ最強の護衛がどうたらって言ったら誰でもこうなるわな。
お、見えてきた。
・・・!ゲームの時より格段に可愛いじゃないか!
体の形は巫女服であまり分からないが身長は165前後、顔は物凄く綺麗な色白の美少女だ。
黒髪を足首の辺りまで伸ばしている姿は昔の陰陽師に似ているが、その存在感は陰陽師の比ではない。
しかも、絶世のと言っても過言ではない位の美少女に成ってるし。
こりゃー、召喚生命体と分かってても抱きたい位だな。それが可能かは分からんが。
しかし、髪や目が黒いのは変わらないから基本の設定はパラレルアースの設定どおりなのか?
しかし、ゲームの時は髪はこんなに長くなかったと思うが?
精々肩位の長さの筈だった。
まあ、後は本人に聞くか。
お、気が付いたようだ。
俺の方を見ながらニッコリと天使の様な笑顔で近付いてきた。
あたかも美少女ゲームからそのまま飛び出してきたかの様な整いすぎた顔だが、圧倒的な存在感が有るのはゲームと同じだ。
その顔がだんだん近くなって、目の前にその綺麗な顔が迫る。
そして、それでもまだ近づいたと思った瞬間、跪き頭を垂れる。
「お会いしたかったです、啓太様。忠誠の証しをどうぞ。」
「おう、やはり女性にこの忠誠の証しの立てかたを教えたのは正解だな。キスや抱擁でもよかったが、この方が面白い。」
そう言って、俺は右手を美空の顔の前へ持って行き、手の甲に唇を触れさせた。
何処かの王宮の映画で見たやり方だが、女性相手の忠誠の立てさせ方はこのやり方が一番萌える。
「俺もお前らに再び会えて嬉しい限りだ。これからはまた、俺の手足となって働いてもらうぞ?」
「喜んで仕えさせていただきます。ご要望とあれば、全ての事柄で誠心誠意使ってくださって構いません。いえ、つかってください。」
何か発言が過激になった気がするが、取りあえず聞きたいことも有るので後にしよう。
「まあ、色々と言いたいことはあるが、またよろしくな?」
「はい、喜んで!!・・で、何が聞きたいのですか?さっきから質問したそうな顔をしてますよ?あまりに長い間の時が経っているので詳しい話は出来ないかもしれませんが・・・」
?今なんて言った?
長い時間が経ってる?
まあ、詳しく聞いてみるか・・
「しっている限りでいいから話してくれ。」
「御意。我が主の意は我が願い。覚えている・・知らされている範囲でお答えします。」
そう言って美空が話す内容は凄まじかった。
何でも俺と別れたゲームの世界がこの世界では遥か昔の事だと言う設定らしい。
そして、自分を封印した者が有る提案をした。
それは、遥かな時をこの場で過ごし、主である俺が見事自分の封印を解除で来たなら、自分たちは俺と再び行動出来て、しかも俺が合意をすれば肌を重ねる事も可能に成るのだとか。
実力はそれぞれのゲームの世界の最後の状態が初めで、成長すると更に際限なく実力が増すらしい。
言ってみれば詐欺に近いレベルだ。
彼女らのそれぞれのゲームの世界でも俺が契約した生命体は俺の趣味でレベルを最高に上げていた。
その一撃はこの美空なら扇を一振りしただけで研ぎ澄まされた風の刃を一瞬で数十の単位で起せる程だった。
しかも自分の意志で威力を調節可能な高機能ぶり。
自分の魔力で護符を造り、その護符で色々な式神を呼び出すことも可能だ。
まあ、そんな彼女が今から俺の軍師に成ってくれれば鬼に金棒って奴だ。
早速護衛を頼むとするか・・
「話は分かった。では、美空。初めの命令はこれから行くこの洞窟内の探索の間の俺とそこで未だに固まっているカリンの護衛だ。カリンはお前と同じで生きているうえに死んでも生き返らない。なので身を挺して護れ。・・・まあ、お前なら普通にやっていれば寝てても可能な事だ。」
「了解しました、啓太様。命令に従います。・・見事役目を果たせたなら、誰もいない所で可愛がってくださいね♪」
「・・っと、分かった。そう言う事も出来るようになったんだったな?お前がそう言う存在だとすると、他の皆もそうなのか?それならそれで、再び一緒に行動出来るようになった奴には頑張った分の褒章を決めないといかんな。まあ、最初の内は美空と恐らくミレイがそれぞれお願いを言えば良い。俺が出来る範囲で応えてやる。それも含めてよろしく。」
「・・!ありがとうございます。精一杯頑張らせてもらいます。」
「うん。頼んだ。・・・って事だ、カリン。次の場所へ行こうか。」
それまで固まっていたカリンを俺は復活させて先を促した。
「・・はっ!・・ケイタさん!その子は誰ですか?光の中から急に現れましたよ?」
「だから、最初に言ったじゃないか。最強の護衛が仲間に成るって。この美空がそうだよ。・・美空、一応こいつがお前の護衛対象の一人、カリンだ。ご挨拶は?」
俺がそう言って自己紹介を促すと、美空は綺麗すぎる位丁寧なお辞儀をカリンにしてから、顔を上げて名を名乗った。
「初めまして、マイ・ハイネスワン、カリン様。ただ今啓太様からご紹介に預かりました美空と申します。私の特技は式神の操作と風の魔法を使う事。・・ただし、ただ使うだけでなく、・・・こういった事も簡単にできます。」
美空がそう言いながら、自らに風を纏わせ宙に浮いた。
それから、下の俺達を見て・・
「あ、申し訳ございません。私でなく皆さまを浮かせるべきでした。」
そういって頭を下げ、今度は俺達も同じように浮かせる。
「この様に、川や沼を移動したりするのにも便利ですし、雨の時も風の障壁を常時展開する事で濡れる事は有りません。・・この位でしょうか?」
そう言って全員を地に降ろす。
それにしても、流石だ。
これなら式神の方も以前の実力と変わらないだろう。
そう考え、カリンに感想を聞こうと思い見ると・・
「・・・・」
また、固まっていた。
まあ、仕方ないのでさっさと起こす事にする。
「おーい、先行くから早く帰ってこーい。」
パンパン!
「・・はっ!・・・その女性も十分規格外だと言うのは分かりました。・・で、どうしますか?先程の実力なら門番でも十分に勝てると思いますが、私も一緒の方が良いですか?」
あー、そうか。
カリンにはこのまま森の外へ行って、残党狩りと材料集めをして貰った方が良いかな?
美空とも、もう少し話したいし。
「そうだな、カリンは材料を集めるのと森の魔物を掃除しといてくれるか?その方が双方の用事も早く終わるだろう。・・美空。」
「はい、式神でカリン様の護衛ですね?」
「ああ、カリンは魔術師だから、接近戦に強い攻撃の九郎と、守りの弁慶を作ってくれ。」
「畏まりました。・・・出でよ!≪義経≫≪弁慶≫」
美空の極短い発言で、手に魔力によって構築された護符が宙に舞、一つが小太刀を持った美少年、一人が190位の大男になった。
「貴方達はこの御方を護り、助けなさい。言われた事、命ぜられた事は忠実に行いなさい。・・・行きなさい。」
「「・・・」」
二体とも無言でカリンの傍に立つ。
「じゃあ、大丈夫だとは思うが、気を付けてな?」
「はい、ココまでしてくれて怪我はしませんよ。安心してください。・・材料が集まったら、何処に居ましょうか?」
「先に帰って・・ああ、そいつらが居るから、森の外で待っててくれ。もし、遅くなったら帰ってくれても構わない。俺と美空は大丈夫だ。まあ、その二人が居れば、俺達も無事って事だから、生存確認には成ると思う。」
「分かりました。・・では、お気を付けて!」
「おう!」
「それでは、また」
三者三様の言葉で別れ、俺と美空はこの祭壇の部屋を見渡すために美空に式神での調査をさせる。
「じゃあ、美空?」
「はい、ナノサイズの式神を数十作成し、この洞窟全体の地図を作成します。少しの間お待ち下さい。・・・その間、肩でも御揉みしましょうか?」
「ん?・・頼む。」
「はい♪」
ほんと、よく気が付いて良い子だ。
「出でよ!≪ナノバット≫」
美空がナノサイズの式神をだし、それから指示を出して、俺の肩を揉み始める。
「・・あー、きもちいいな。美空が召喚で来てよかったよ。・・そうだ、もしかしたら美空には俺と一緒に冒険者協会で登録して、冒険者になって貰うかも知れないから、その積りでいて?」
「・・!!それは光栄ですが、大丈夫なのでしょうか?私たちが冒険者と言う物に成って、もし戦争に駆り出されたら、相手国は一日持ちませんよ?」
「それはそれで考えが有る。俺としては徐々にこの国の王様か貴族に認められて、先ずはこの森のあるトルカ村の領主になる権利を得る事が第一目標だ。それを機にトルカ村を発展させ、独立した俺の国を創る。まあ、それが叶うのはもう少し後だろうがな?」
「分かりました、それが啓太様の望みならこの美空、情報収集から敵陣突破まで成し遂げましょう。」
「うん。期待してる。・・それから、もし冒険者になるとしたら俺は僕と口調を変えて、美空は姉に成って貰うから、今の内に慣れてくれてもいいぞ?」
「・・・・え?」
あ、美空が固まった。
まあ、イキナリで言ったらこうなるのも仕方ないか。
「まあ、これは早くても明日の話だ。今は後、ガラムとミレイの事を考えよう。もうそろそろだろ?」
「・・ええ、どうやら調べ終わったようです。AIフォンの方に情報を移動させましょうか?」
「出来るのか?」
「ええ、『かの情報をかの物に』≪データリンク≫・・・はい・・これで大丈夫の筈です。」
相変わらず便利な子だ。
「よし。じゃあ、捜索開始と行きますか。」
「はい♪」
そうして、俺と美空の迷宮探索が始まった。
漸く一体目登場!
その名も美空
作者の妄想上の容姿は巫女服を着た魔法科の深雪ちゃんです。
何故かあの子の巫女服姿が頭に入ってきたので。^¥^