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村から始まる異世界王国誕生物語  作者: arandora
異世界でのチートは少年ではなく召喚生命体でした
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4話召喚体の事の説明とAIフォンによる応用魔法

「じゃあ、先ずは回復魔法の応用版である毒の効果を見せましょうか。」


 漸く飯が終わって一段落し、これから回復魔法を・・・と思っていた俺に、リンナがそんな事を言って来た。

 俺としては食後の腹の具合を直す魔法を期待したんだが・・・


「毒って、どんな種類のだ?」


「ああ、毒って言っても大した物じゃ無いよ。毒を盛って毒を制すって言う諺があるからね。先ずは初歩の初歩、麻痺毒を掛けてあげるよ。」


 リンナはそう言って俺のAIフォンを操る手とは逆の腕に手を添える。


「準備はいい?」


「ああ、やってくれ。」


 俺は左手で録画と録音の用意をしてから、声を掛けた。


 すると、リンナの詠唱が始まる。


「体内を駆け巡る水分よ停滞せよ≪パラライズ≫」


 ・・・?・・!おおおおお!!?


 これはすげえー!


 体がマヒして動くに動けねえ!


 この魔法はエゲツないぞ!?


 俺の思いを余所にリンナが続ける。


 AIフォンの状態もそのままだ。


「体内を駆け巡る水分よ、正常な状態へ≪キュア≫」


 !お?シビレが治った。


 この魔法も凄いな。


 あれだけのシビレの毒が簡単に治るとは。


 よし、次は俺だな。


「よし。今編集して、今度は俺がやるからな。」


「ええ。これがさっきみたいに出来たら凄いけどね?」


 確かに、リンナは詠唱をしたけど、俺のはAIフォンを使うだけでカリンの時と変わらない。


 その状態でリンナと同じように出来たら、確かに凄い事だ。


 何と言っても俺の魔力は電力によって回復する。


 それは同時に、幾らでも人を回復させてやれるって事だ。


 しかも、電力は他の水と風の合成魔法を使える奴に充電して貰ってもいいし、俺の太陽電池と月光電池で補充も出来る。


 これは案外途轍もないチートかも知れない。


 まあ、回復魔法が出来たらの話だが。


「よし、これをカットして・・よし、良いぞ。じゃあ、行くぞ?」


「ええ。やって?」


 リンナの言葉に従い、俺はリンナの腕にAIフォンの発射口を近づけてボタンを押す。


 すると・・


「あ・・ぁぁ・・も・・ぃ・・ぃゎ」


「分かった。」


 痺れた所で少し悪戯しようとも思ったが、未だ始めたばかりで警戒されても駄目なので、素直に治すことにする。

 という事で、再びAIフォンを腕に当てて発射。


 そうする事で再びリンナが活動を再開する。


 そしたら、凄い剣幕で・・・


「ちょっと!凄いじゃない!!君の魔法はこう言ったらなんだけど何でもアリに成るよ。これはあんまり人には知らせない方が良いよ。変な人に知られたら、悪用される。・・・まあ、君が素直に利用されるとは思えないけど。・・・で、聞くけど。ケイタ?」


「?なんだ?」


 イキナリどうしたと言うのだろうか?


「その魔道具は、他にどう言った効果が有るの?・・いえ、聞き方が悪いね。私たちに内緒の機能で、信用できると思ったら見せても良いと思える機能はいくつあるの?」


 !こいつ、如何して俺が信用できるかどうか探ってることを分かったんだ?


 しかも隠してる事まで有る事もバレテルシ。


「どうしてそう思う?」


「そんなの簡単だよ。外の広場で練習していた時に、私が話しかける前と後では明らかに驚き方が違ってた。あれは自分でも予想外の時や期待してた物が現れた時の物だ。あの魔法を使っていた最中の驚きの連続の時にそれ以上に驚く事って、何事か隠さないといけない様なこと以外は無いよ?」


 流石にリンナだな。


 あの一瞬でそこまで見てるとは。


 ココはコイツに半分くらいは話して、味方に付けても良いかもしれん。


 勿論、異世界人と言うのとゲームの事は内緒にしてだ。


 リンナとカリンには俺の事を他大陸の人間だと話した。


 なら、そう思わせ続けといた方が良い。


 丁度、俺の発明品はかなり先を行く科学力の結晶だから、魔道具というのに近い物で解かるだろう。


 こいつには契約召喚生命体の事だけを聞かせれば、後は察してくれるはずだ。


 まだ短い付き合いだが、それ位は見る目は有るつもりだ。


「分かった、俺の事を少しだが話そう。・・だが、話す条件が一つ。」


「何だい?」


「俺を裏切らない事。出来る限り俺に協力してくれること。その約束として契約をしてらう。これに応じてくれなければ話せない。」


「契約の代償と、範囲は?」


「代償は、裏切った場合の俺への隷属化。範囲は俺に致命的な危害が加わらない事。まあ、今回の場合は俺の物を無闇に売ったり他人へ譲渡したり。嘘を言わない事だな。隠し事をする位なら良いし、見て見ぬフリをする位なら、俺の予想が有ってたら、近いうちに最強の護衛が手に入る筈だから、どうとでも対処可能だ。だから、今言った事を護ってくれれば問題ない。」


「なるほど、それなら対した契約じゃないね。寧ろ契約になんかならない範囲だ。・・・うん。良いよ。それで色々と知ることが出来るなら安い物だ。」


「・・・良いのか?もしもの時は俺の奴隷に成るって事だぞ?」


「別に、裏切ったり何かするつもりは無いから良いよ。・・さ、どうやってやるの?その魔道具でなにかやるの?」


 もう、開き直ってる感じだな。


 まあ、いいか。


 契約すれば裏切られない事に違いは無い。


「分かった。まあ、やり方はリンナの言う通りこの魔道具で行う。この魔道具でさっきリンナがやった回復魔法の詠唱を利用したで契約の内容に成る物をAIという俺が開発した人工知能に作らせる。そして、それをさっきの様にお前の体に当てれば契約完了だ。・・待ってろよ?」


 そう言って、俺はAIフォンを操作し、AIに今までの詠唱を参考に新しい詠唱文を創らせ、動画も創らせる。

 そうして出来た物を俺が効果と内容を確かめてOKと打ち込み完了だ。


「よし、出来た。」


「早いね!?もう出来たの?!普通、新たな詠唱を作り出すのは、優秀な魔術師が何十人も集まって、何年も知恵を出し続けて、漸く出来る物なのに、こんなに早くできるなんて規格外にも程があるよ?」


「まあ、それが俺の開発した魔道具の素晴らしさだがな?・・・まあ御託はいい。やるぞ?」


「ああ、いいよ?」


 そう言うリンナの、他人には見えにくい胸元の所に契約印を付ける。


 しかし、これも当てて少ししたら消える奴だ。


 これの効果は契約に違反しそうになった時に発動する物だ。


 だから、普通の時には何ら普通と変わらない。


 それから漸く本題に入った。


「それじゃー、言うとだな。どうやら俺のこの魔道具に入ってきた情報に俺の契約召喚生命体の情報が有る様なんだ。そして、それをこれから確かめる為に俺のこの魔道具の効果を説明する。良く聞けよ?」


「うん、分かった。」


「よし。なら言うぞ?」


 それから、カリンが材料のチェックを終えてこちらに戻って来るまで説明は続いた。


「ただいまー!」


「お帰り、カリンちゃん。・・ケイタ君。カリンちゃんには話して良いのかな?私は大丈夫だとは思うが?」


「俺も良いとは思うが、カリンは何かと口を滑らせそうで怖い。だから、話すとしたら明日の行商が帰ってからだと思ったが・・カリンに内緒にしてたらやり難いな・・」


「え・・何がですか?」


「ああ、カリンは良いの。少し私とケイタ君で話をさせて?」


「?分かった。」


 そうして、俺とリンナでの話し合いが始まった。


「で、如何する?・・・あ、そうだ。ケイタ君?口を滑らせる事を恐れるなら、滑った内容が声に成らない契約を結べばどうかな?それならカリンちゃんでも安心じゃない?」


 おお!その手が有ったな。


「うん。それで行こうか・・ッとその前に、カリンにも確認しないとな?カリン?」


「何ですか?」


「実はな?」


 そう切り出し、リンナに話した内容と同じ契約をするかどうか聞くと、意外なほどあっさりOKした。


「ねえ、カリンちゃん。そんなに簡単に受け入れて良いの?もしかしたらケイタ君の奴隷になっちゃうんだよ?」


「?ダメなの?私は安全策を取ってくれるなら、他人に話す心算は無いよ?どんな話かは知らないけど、ケイタさんが不利になる様な事を話すことは無いよ。」


「ふ~ん?どうやらカリンちゃんは今でも十分隷属化してるようだ。・・なら、さっき言った予防策を講じて、契約してから話せばいいよ。その後新たな内容を見てからカリンちゃんと森へ行って材料を採ってきてよ。」


「ああ、そうするわ。って事でカリン。今から契約の印を入れるぞ?」


「うん!」


 カリンの返事を聞いて、早速リンナの時と同じ方法で契約を行った。


 それから続けてリンナにしたのと同じ内容の会話をする。


 それを聞いたカリンは・・・


「ほえ~、流石ケイタさんとしか言いようが無いですね。・・で、一体どうやって詳しい情報を調べるんですか?」


「そうそう、私も早くそれが知りたいの。焦らさないで教えてよ。」


 二人とも詳しい事が早く知りたいようだ。


 そう迄言うなら教えてやろう。


 AIがな?


「よし。では、AI自己調査プログラムスタート。」


 そう言って俺は本体のボタンをポチッと押す。


 すると・・・


「リョウカイシマシタ、マスタ。タダイマヨリ、シンキ二ハッセイシタプログラムノカイセキヲオコナイマス。ショウショウオマチクダサイ。」


「ちょっと、ケイタ君。今の音声はなんだい?何処から出たの?」


「今のがさっき言ったAI、人工知能の性能の一つ、対話と独自の考えを持った頭脳だ。この事で、俺自身が調べる事も出来るし、この魔道具自体に作業をさせる事も可能なのだ。」


「私はもう何が何だか分かりません。」


 おう・・一人早くも脱落だ。


 まあいいか、カリンのオツムは予想の範囲だ。


 最悪リンナが機能すれば問題ない。


 まあ、機能しなくても問題は無いが・・・


 そんな事を考えてる間にもAIの作業は進み、その作業も終わった様だ。


「終わりました。何から報告しましょうか?」


「お、話し方が普通になったな。この大陸に来てからか?」


「ええ、何故かここの空気は魔道具の管理に適した環境の様です。」


 ほ~、それは朗報だ。


 まあ、早速聞いてみるか。


「では最初に、今からリストに有る召喚生命体を召喚する事は可能か?」


「今は無理です。幾つか制約が有り、その一つに【祭壇での召喚儀式】という物が有ります。」


「その祭壇と言うのは?」


「詳しくは分かりませんが、ある特殊な空間の事です。その空間にてマスタが持つカードを祭壇のスロットに填め込めば、召喚できるようです。送還はマスタのデッキにカードが戻り、再召喚は実体化デッキを使えば再び祭壇で召喚する必要は有りませんが、カード召喚生命体が死亡し、カードが黒くなれば、それを元に戻すのに清浄な魔素の泉に付けて穢れを落とさなくてはなりません。」


 要するに死んでしまったら黒くなったのを治して、また祭壇に行かないとイカンって事か。


 しかし、特殊な空間ってのが分からんな。


 ココは地元の二人に聞くか。


「この近くに祭壇の様な儀式が行える場所って有るか?」


「それなら迷宮の地上部分に変な広間があったから、そこかも知れない。もっと奥にも有るかも知れないけど、私がしてるのは地上部の広間の所だけだね。」


 俺の質問にこの森をうろつき慣れているカリンが応えてくれた。


 何とタイムリーな話だ。


 誰かの意志を感じるぞ。


「なら、その広間に行けば何か解るか?それともここで何か解るか?」


「ココでは情報が少なすぎます。マスタが直接向かい、迷宮に到着成されれば少しは分かりますが、今の状態では無理です。そして、その広間がその祭壇なら恐らく何らかの制約があるでしょうから、行ってみてもどの様な召喚体が召喚できるかは未知数です。しかし、行かなければ何もわからないでしょう。」


 むぅ!


 それは、運が悪ければ今は召喚不可能という事か。


 それは困るな。


 まあ、言っても無い内から心配しても始まらん。


 取りあえず次だ。


「もし、召喚できたとしたらその召喚体の強さは俺が知る物と同じ強さか?それとも、俺が感じているようなこの大陸の独特の体の軽さが原因の強さの向上が有るのか?」


「強さもまだ、分かりません。全ては祭壇に行ってから判明します。」


 くそ!


 結局は迷宮に行ってみないと分からんという事か・・・


「分かった。・・・って事だ。カリン聞いてた通り、行先を迷宮の中にしたいんだが、魔物の強さは行けるか?」


 カリンはイキナリ話を振られたので、一瞬ポカーンと成ったが、直ぐに表情を引き締めて


「大丈夫だと思います。地上と地下一階の魔物は確か同じだったはずですから。広間が有る場所が祭壇なら、地下一階の魔物までしかでないので簡単に倒せるでしょう。序に殲滅していけば村の安全にも繋がりますから、私は行くことには賛成です。」


 どうやら何とか成りそうだ。


「なら、カリンちゃん。序に各種薬草と魔物の素材に材料の確保をお願いね?ケイタ君のそのAIフォン?だっけ?それを上手い事使えば闇の収納魔法が使えそうだから、荷物持ちはケイタ君に任せたらいいしね?」

 お?そんな魔法もあるのか。


 それは是非とも使ってみたい。


「今のリンナの言ったような魔法は可能か?」


「はい、少し時間を貰います。」


「おう、任せた。」


「では・・・」


「・・・それにしても便利な魔道具だね。指示するだけで反応してくれて、自分で時間が掛かる作業を替りにしてくれるなんて、非常識にも程があるよ。」


「そうですね~。私が長年で溜めた魔法書の魔法も簡単に仕える様になりましたし・・。魔道具もケイタさん自身も非常識の塊ですね。」


 失敬な!俺は自分の開発した物をまだ全部見せた訳じゃないぞ!


 まあ、そんなに簡単に見せる心算も無いが。


「出来ました、マスタ。端末にてご確認を。」


「おう、分かった。」


 そう答えてから、俺は端末をホログラム化して、内容を見る。


 そうして、表示された魔法は闇の3級に位置する物だった。


 その名前は俺の予想通り、ブラックスペース。


 可能時間は、今の所全魔力を放出して一分間。


 まあ、一秒ずつ使えば良いとして、この位の物だろう。


 どうせ、バッテリーは迷宮に行くまでにも充電できるし、家の外に置いてある外付けのバッテリーもあるから、何かあったら戻れば良いだけだからどうにでもなるだろう。


「よし、大体は分かったぞ。試にカリン、何か無くなっても良い物で数が多い物を持ってきてくれ。」


「はーい。・・・之なんかどうです?」


 そうしてカリンが持ってきた物はお昼前に森から持ってきた、感応石だった。


 まあ、これなら妥当かな?


「よし、え・・と用途は物を入れたら、端末の中にリストが浮かぶから、出すときはその中から出したい物を選んで決定。大きさ、数は回数を重ねるごとに増える。初めは一つのみ。・・ね。成るほど、解かり易いな。よし、なら実際にやってみるぞ。まあ、最初に感応石を選んだのは偶然にしては都合のいい判断だな。・・・それ!」


 俺は自分では魔力を使っている感覚は無いが、ノリで気合の声を出してAIビーム(仮)を発射。


 すると、そこから魔法陣と共に黒い何かが出て来て感応石を取り込んだ。


 その間たった2秒。


 余りの早業に一瞬唖然とした。(一秒ずつ使えばいいと言ったのはノリなので突っ込まない様に。)


 それから二人に向き直り


「じゃあ、確認も出来たし、行きますか?カリン。リンナはカリンの仕事のチェックと特殊魔法の準備よろしく。」


「ちょっと!ケイタさん?!私ちゃんとしましたよ?」


「分かった、確認しとくよ。そっちも気を付けてね?」


「リンナちゃんまで?」


「おう、任せろ!」


「もう!二人とも嫌い!!」


 そんな感じで三度森へと赴くことになった。



 


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