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村から始まる異世界王国誕生物語  作者: arandora
異世界でのチートは少年ではなく召喚生命体でした
3/16

2話自分の一部説明、AIによる魔法機能

「え……と?水は集まり水球となる≪ウォーターボール≫?」


 シーーーン……


 俺はカリンに借りた魔法書を使って詠唱文をみながら現象を思い浮かべて(この程度は思い浮かべるまでも無いのだが)詠唱を唱えたのだが…


「…何も起きませんね?魔法陣が現れないと言うのも変ですし…。何より媒体の本が何も反応なしが気になります。…どういう事でしょうか?」


「俺に聞かれてもな?」


 と言う具合に魔力は有って、属性も全て持っているのに発動しないと言う事態になっている。


 もうこれは本格的に説明少女に聞かないと分からんらしい。


「・・仕方ないですね。さっき調べたら丁度魔物の方も村の辺りには居ないようですから、今日明日に襲われることは無いと思うので、家に戻ってリンナちゃんに話を聞いてみましょうか?」


 それしか方法が無いようだ。


「…分かった。…まあ、俺の荷物も向こうに置きっぱだし。その中に少々調べる物も入ってるから序に調べるか・・」


「え?ケイタさんって魔術の事を知らなかったんじゃないんですか?」


 俺の言葉に途端に驚くカリン。


 そういや、カリンにもリンナにも言ってなかったな・・


 この際言って置くか。


 信用するかどうかは置いといて・・・


「いいか?これからする話はお前らが信用するかどうかは別として、本当の事だ。だから、最後まで聞けよ?」


「…はい。分かりました。…すぅ~、はぁ~…では、どうぞ。」


「ああ、実はな?」


 俺はカリンが聞く体制になったのを確認してから俺の世界での事を他の大陸の事とした上で俺の研究の事を自慢にならない程度に話して聞かせた。


 すると・・


「ほぇ~~、半分以上分からない事ばかりでしたが、ケイタさんが他の大陸の人みたいな事と研究者みたいな部類の人だという事は分かりました。…で?何が言いたかったんですか?」


 ・・・・・


 このアマァ~、ド突いたろか!?


「だ~か~ら~。俺が持ってきた中に俺の発明品で、調べる事に関しては最適な物があるんだよ。それで調べてみたらもしかしたら何か分かるかも知れないって事!」


「あ!成るほど!」


 手をポン!と合わせてやっと分かったという感じのカリン。


 どうやら魔法は使えるが、おつむの方のレベルは低いらしい。


 これは益々早く帰らんと駄目になって来たな。


 ・・・・・


 ・・・って言うか、俺って元の世界に帰れるのか?


 まあ、それは後々どうとでもなるか?


 今は先ず魔法が使える様になる事が先だな。


 そう思った俺はカリンに一刻も早く帰るように促した。


「さ、やることも分かったし、さっさと帰るぞ?カリン。」


「はーい・・って、あそこ私の家なんですけど?!」


 そんな事を言い合いながら俺たちは村長宅に向かった。



         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「これは・・何ともまあ不思議な物ばかりね・・。幾ら魔力を篭めても反応が無いし、かといって丸い所を押せば反応する魔道具が有るし・・意味が分かんないわ・・一体彼は何者かしら?」


 啓太の荷物を物色するリンナはそう言ってお手上げだとその場に寝そべった。

 本当に分からないものだらけの上に魔法陣らしき物も無い。


 かといってただの棒状の物だったり、箱状の物が突然動き出す。


 これまでにも色々と魔道具を扱って来たリンナにとってみても、初めての経験だった。


「これは、一度お姉さまに騎士を装って貰ってこの村に来て貰わないと碌なことが無さそうね。

 まあ、彼自体には何の野心も無いみたいだから良いけど。場合に由っては王宮騎士団に定期的な稽古を依頼した方が良いかもしれない。

 ・・・あー、けどそれじゃあこの村の活性化に成らないわね・・材料がどういう物か解かれば再現も難しくないんだけど、用途が分からないんじゃ、説明も出来ないし・・・どうしたもんかしら。」


 そんな感じでヘタっていると、どうやら二人が帰って来たようで、リンナは慌てて荷物を元の状態に戻した。


 そして、帰った二人を普通に迎え入れた。


       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「たっだいま~。リンナー、聞きたいことが有るんだけどー?」


 俺は帰って早々リンナに魔法の発動に関しての意見を聞いた。


「ふ~ん?それで、君はどうやってそれを調べる気?君の荷物にそんな物が有るの?」


 そう言って少しだけ場所が移動している荷物を見て、俺はリンナが荷物を物色したと見当をつけて・・


「どうやら、俺の荷物を調べたようだけど、生憎と俺の道具は知らない奴が見たら如何触って良いのか分からない物だらけだから、何も分かんなかったろ?」


「そ、そ・・そんな事、触っても居ないのに分からないよ?」


 動揺してる、動揺してる♪


 そこで俺は少し、罠に填めてやる


「ふーん?じゃあ、なんで俺の荷物の紐が解けてるんだ?」


「え!そんなっ、ちゃんと縛り・・!!」


 言いながら俺を睨みつけてくるリンナ。


 そう、手っ取り早く吐かせるためにワザと開いてもいない紐が解けたと言ったんだ。


 俺の荷物を入れているバックは色々と仕掛けがしてあり、その一つが指紋認証システム。


 勿論予め登録してある俺が触れば問題なく勝手に開くが、俺以外に勝手に触ろうとした者を特定するために、その者の手に本当に僅かばかりだが、蛍光塗料を付着させるのだ。


 しかも、明るい室内では目を凝らさないと見えない程の物だ。


 しかも、最大で一月の間はどんなに擦っても取れない塗料になっている。


 先程俺が気付いたのもそのお蔭だ。


 帰ってそうそうに偶然にも少しくらい位置に居たリンナの手から塗料の光が発せられていたため、試に荷物を見れば、少しだけ配置が変わっていた。


 更に、何時でも開けられるように緩めに縛っていた紐まで完璧に結ばれていた為、どうやら物色をしていたことを隠したい様なのだと思って、ワザと先ほどの様に言ってやったら面白い位に引っかかってくれたと言う訳だ。


 それから、数分の睨みあいで先に折れたリンナが早速とばかりに調べ方を聞いてきた。


「はいはい、降参・・。中を見て悪かったよ、反省してます・・・で?この中のどれを使えば分かるの?私も言ったと思うけど製作者だから、少しは興味あるよ。」


「ああ、少し待て。今出すよ。」


 そう言ってから、俺はバックからAIパッドとAIフォンを取り出し、AIパッドを額に取り付けて本体の脳波読み取り機を始動。


 更に、AIフォンを自分に向けてカメラで自分を撮ってそのデータを検索。


 これによって俺自身のこちらに来る前と後の身体データの誤差を調べる。


 ココの魔道具の性能がどのくらいのレベルか分からないから、魔術の事に詳しくない俺がホログラム製の解析結果のデータを出して来て驚かれても困るから、取りあえずは紙製の解析結果にしておこう。(紙が勿体ない気もするが、今の段階で色々と嗅ぎ回られても面倒だ。)


 そのついでに家の外に太陽光電池を設置しておき電力を確保する。(ここの設備が頼りに成らない以上、少しでも補給できる時にしておかないと、いざと言う時に使えないからだ。)


「・・よし、後は結果待ちだな。」


「因みに待ち時間は?」


 そろそろ焦れてきたリンナが俺に聞いてきた。


「大凡解析に1分、データの保存と元データとの検証に1分ってとこだ。予め俺の通常の身体データは入れ込んであるから、それ程時間は掛からん。まあ、その間にカリンにも話した俺の事を話しといてやる。話すうちに時間も経つだろ。・・信じるかどうかはそっち次第だがな?」


「ふぅ~、これだけ訳の分からない物を使われたんじゃ、信じないわけにはいかないでしょ?一応その魔道具と結果の説明はして貰えるんでしょ?」


「ああ、勿論。それを説明しないと、お前らからも有力な情報が得られそうにないからな。」


 そう言ってから、俺が話を聞かせる事数分。


「そうして、いつの間にかって事・・・っと、そろそろ結果が出たようだな?」


 機械のピーっという音に俺が反応して紙媒体のデータを見ると、そこには驚くべき事実が有った。


 なんと、元の世界では見たことの無いマジックポイントのMPやドミニオン(習熟ポイント)を現わすDPが付け加えられているのだ。


 しかも、媒体(MEZZO)にAIフォンとまで有る。


「・・なんだこりゃ、こんな事、今まで出たことないぞ?」


「何々?・・・なんて書いてるの?魔法語は兎も角、他の知らない文字まで有るよ?」


 リンナが結果を覗き込んで訝しげに聞いてきた。


 だが、聞いて来た事よりもこの村の文明で紙の媒体を見慣れている事に俺は驚いた。


 こいつは何処で製紙生産技術を見たことが有るんだろうか。


 こんな村では木から紙を創る事なんて相当な作業に成る筈だ。


 さっきは紙製の媒体にしようと言ったが、俺は実際にはそれでも驚くと思っていた位なのだ。


 あ、でも魔法紙などと言う物が存在するなら、同じ研究者というコイツならこの位の物は見慣れているのか?


 いや、それでも魔法が一般人にも使えると言うなら兎も角、カリンの話ではカリンとリンナとあと一人だけしか使えない筈。(名前は忘れた)


 その状況で普通に紙の媒体を見たことあると言うのは些か不自然だ。


 何より、カリンがこのデータの書かれた紙を見て驚いているのだから。


「ケイタさん!?そ、そ、それってき、き、木から作った紙の用紙ですよね?魔物からの皮紙とかじゃなく!」


「ああ、そうだ。俺の話していた世界ではこのような用紙は其れこそ何処にでも有ったぞ?俺が行ったことの無い国は別だがな?しかし、カリンは魔法紙を使った魔法書を使っているんだから、それ程珍しくもないだろ?」


「ねえ、それよりこの数字の説明をしてよ。私には何が書かれているのか全然だよ。」


 そういって、リンナに急かされるので、俺は色々と疑問は残るがカリンとの会話を打ち切り、書かれている内容をリンナに説明をしてやる。


「いいか?ココの数字が元の世界の俺の身体データ。そしてこれが今の俺のデータだ。・・如何だ?」


「・・・見事なまでに全ての数字が数倍に上がってるね・・。しかも、このMPって言うのにDPってのも知らない言葉だし。・・訳わかんないよ。」


「まあ、そうなるかな?まあ、説明はするさ。先ずはこのMPとは恐らく俺の世界の感覚でゲームのマジックポイントの事だろう。お前らで言う魔力量だな。

 そして、DPってのは恐らく習熟度の事だ。そして、この媒体にAIフォンとあるのは、これは完全に予想ではあるが、俺の今使った人工知能搭載のAIフォンを使えば俺にも魔法が使えるって事だろう。・・試にやってみようか。まあ、説明を読まんとダメみたいだがな?」


 俺はそう言ってAIフォンを操作し、NEWと書かれている筈のアプリを探す。


 そして、見つけたアプリが魔法リストと召喚獣、召喚体リスト、更に各種オマケコーナーで召喚体に通信できる機能まで有るらしい。


 しかも、俺の習熟度が上がれば上がる程その効果も上がるらしい。


 更に読み進めると、魔法の使用は魔法書の詠唱文とその現象をカメラで撮影し、データとして保存する事でAIフォンのカメラボタンを押しながらではあるが使用可能に成ると言った物だ。


 そして、基本が収められれば詠唱文を弄ってその弄った詠唱文の効果をAIパッドで脳波から読み取れば独自の魔法も構築可能と言った物。


 なので、俺は早速カリンの魔法書を借りて、実際の現象を撮影しようとカリンに頼むことにした。


「って事で、カリン。頼めるか?村の外れの方なら色んな魔法が使えるだろ?」


 俺の頼みをカリンは


「ええ、分かりました。」


 と、快く受けてくれた。 そして、やはり未知の物に興味があるのか、リンナも


「なら、私も付いて行ってどんな事が起きるか見せて貰うよ。」


 といって、少し楽しげだ。


「では、行きますか!」


「「おー!!」」


 と、やはり乗り気の二人だった。



       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 さて、また村で色々とからかわれて(例の如くリンナとカリンの二人の美少女を侍らせてる様子から)やっと着いた外れの山の麓。


 ここなら先ほど言った通り、カリンの火力でも十分影響を受けることなく魔法を行使できるだろう。


「っし、ここなら誰の迷惑にも成らずに魔法を試せるだろ。・・って事でカリン。取りあえず俺がカメラで詠唱文を取り込んだ奴から順に魔法を使ってくれ。一通りは試しときたい。」


 俺はそう指示するのだが、カリンは少し苦笑しながら


「え・・っと、ケイタさん?先ずは一つで試してくれませんか?実際に出来るのかどうかを確認した方が、やる気に繋がると言いましょうか…その…。」


 ・・・む


 確かにその通りだな。出来ないのに期待させても無駄撃ちだ。


 実際には訓練にはなるんだろうが、まだ、昼にも早いこの時間帯で早々早くバテては、森で俺が言った事を現実にしてしまう危険がある。


 確かにそれはしたくない。


「うむ、分かった。もしもの場合に備えたら戦力はなるべく多い方が良いからな。じゃあ、なるべく疲れない奴で威力の高い奴を頼む。それならいいだろ?」


「はい!では…これでお願いします」


 そう言って俺に魔法書のページを向けてくる。

 そこには【風魔法7級】[風よ大気を固めて敵を撃てウインドショット]と書かれていた。

 成るほど、これならそこそこの威力で戦力にも成るし、7級ならそれ程疲れないという事か。

 以外にも考えている


「んじゃ、撮るぞ?」


 ・・カシャっ!


 ・・・ピー


「・・ん。ちゃんと撮れてるな。よし、カリン。一応これで合ってるか確かめて。」


「はい。・・・あ、それで合ってます。では、行きますね?」


「おう、頼む!」


「はい!」


 カリンが元気よく返事をし、本に手を添えて集中する。


 そして、俺はその光景をカメラにAIフォンで録画しながら待機。


 そして、直後カリンの目の前に魔法陣が現れ、それに手を添えて命じる


「行け!」


 カリンがそう発した直後。


 空気の塊が目の前の山に向かって飛んでいき、徐々に小さくなって消える。


 その距離大凡100メートル。


 まあ、7級ならこの程度の威力か?


 と俺は判断して今の録画映像を編集し、余分な部分をカットしてメモリーカードに別に保存。


 これでカードを差し替える事で魔法の切り替えが可能だ。


 それから俺はそのAIフォンを操作し、試し打ちする事にした。


「よし、これで準備はOKだな。では、行くぞ!」


 俺は張り切ってAIフォンを前方に向けながら発動スイッチを押す。


 すると・・・・


 カリンが発射したのよりは小さい空気の塊がバシュッ!と言う音をさせた後、同じように山に向かって行き30メートル程の所で消えた。


 そして、その後AIフォンを見るとほんの僅かだが風のMPのメモリが減っていて、代わりにDPが0から1に成っていた。


 更にAIフォンの太陽バッテリーが少し減って行くにつれ、先ほど使用したMPが回復して行ってる。


「ふむ・・何故かは知らんが俺のMPとはAIフォンのバッテリーの残量と連動してるようだな。

 しかし、これなら後のやり方次第で幾らでも魔法を仕える様になりそうだな。」


「そんな事より、凄いじゃない!君って案外素質あるの?幾ら7級とはいえ、魔法を見ていきなり同じように出来るなんて聞いたこと無いよ?」


「そうですよ!それに今の話ならこれからどんどん増やして行けば、村ももっと活気づく気がします。三人で頑張りましょう!!」


 二人の驚きに耳を傾けながらも、俺は本当にこの儘でいいのか考えて居た。


 だってそうだろ?


 安全が確保されたからって感謝を忘れた様な奴らの為に働く義理も無ければ、俺自身に利益が降りてくる保証もない。


 そりゃー、ご褒美に美味しい物を食べさせてくれたり、何か楽しい事を教えてくれるって事なら協力は惜しまないが、この村でその可能性は殆どない。


 唯一の希望が森の奥にある迷宮か・・


 今の状態で色々と試してみて、夜になって皆が寝静まったら一人で様子見に迷宮へ行ってみようか。


 一人では少し怖いが、未だ二人とも後ろを任せられる程信用も信頼も出来ないからな。


 特にリンナは謎が多すぎる。信用しすぎたら危険だ。


 逆にカリンは裏表が無さ過ぎて口が軽そうだから、簡単に人に秘密をバラしそうだ。


 ・・・こういう時に絶対に俺を裏切らないと言う保証のある側近の様な者が欲しいと思う。


 地球に、日本にいた頃・・ホンの数時間前の事だが、妹や両親なら、俺が何をしていても協力してくれたし、俺の知識と実力を知ってるから何も言わずに暖かく見守っていてくれた。


 しかし、ここではそんな存在は恐らく居ないだろう。


 今の俺の状態で安全策を取るなら、カリンの魔法を最大限まで見せて貰ってからリンナに教えて貰えるだけこの世界の常識を教えて貰う。


 勿論、その報酬としてこの村に太陽光と月光を利用した発電システムを配置して恐らくは有るであろう土魔術の土壌工作魔法で水路を引いて水車を創って畑や田んぼを潤して農業を活性化してやる。


 そして、リンナのコネで商人が良く来るだろうからその商人たちに情報を提供させて、代わりに農業活性化のノウハウを教えてやる。まあ、これはこの世界の農業や連絡手段などがどういう風に成っているのか分からないから行商待ちだが。


 そうして、俺が考え事をしていると、カリンの奴が新たな魔法を提示してきた。


 今度は水魔法の同じ7級ウォーターボール。森の中で出来なかった魔法だ。


 そして、土魔法のストーンブレット。これは名前から察するに土の弾丸だな。


 恐らく土を固めた物に回転を加えて放つ物だろう。その証拠に一段他より上の6級だ。


「よし、ならそれで行こうか。では、カリン。さっきの様に頼む。」


「はい!」


 またもカリンが元気のよい返事で反応する。


 そして、先程と同じように魔法書を開いた状態で俺が撮影して録画のスタンバイ。


 次いでカリンが魔法書に手を添えてから、先ほどと同じ流れで魔法を放つ。


 先ずはウォーターボールが発動し、今度は150メートル程飛んで行った。


 これは恐らく熟練度の関係だろう。実際にカリンも水ばかり使っていると言ってたし、その関係で威力が風よりは高いのだと思う。


 それと同時に俺の魔法も使っている限りは際限なく上がって行くことを示している。


 熟練度1毎の強さがどの位かは分からんが。


 そして、召喚体の事も気になる。これがもし俺が持つカードの事だとしたら、もしあのカード達が実体化して俺の召喚生命体に成るとしたら、これ以上の守護者は存在しないだろう。


 それに、召喚獣もそうだ。召喚獣と言うのがもし、魔物を召喚できるという事なら、そのMPの消費量で物凄い戦力になる。


 それから更にカリンの魔法が続く。


 今度はストーンブレットだ。この魔法は風や他の魔法より高い等級の所為か、水平に飛んで行った距離が格段に長い。・・と言うか目に見える範囲から消えた・・・。


「よし、じゃあ今度は俺が試すな。」


 そう言って俺が再びAIフォンで魔法を使う。


 その結果、俺は魔法の使用頻度が変わらない為全て同じような威力になった。


「ふーん?カリンちゃんの言った通り全部の属性を使えるってのはあながち間違いじゃないって事?」


 俺が未だ3種類の魔法しか試してないのに、リンナはそんな事を言って来た。


「ああ、カリンちゃんから聞いてるかも知れないけど、魔法はね?大きく気体と個体に分けられて、気体なら風と炎。個体なら土と水と言った風に同じ系統なら、反発しないうえ、同じく使える可能性が高いの。

 だから、魔法を使える魔術師は一つ使えたら、最低でも二つの属性は使えると言われてるんだ。

 だから私も特殊魔法と回復系魔法の簡単に言えば似たような魔法を使えるの。

 他にも、滅多にいないけど召喚魔法を使える魔術師は、召喚生命体も呼び出せるらしい。・・らしいって言うのは、今はそんな人がいると言う話を聞かない事。

 全ては書物の資料からの物だから、そんな存在は忘れてる人もいる位。

 けど・・」


「けど?」


「うん。もし、君がカリンちゃんの言ったように全ての魔法が使えるのだとしたら、気を付けた方が良い。

 皆は気付いてないようだけど、定期的にこの村に来ている行商人に、王都の商人の他に王族の雇われスカウトマンが紛れ込んで良い人材を探してるようだから。

 勿論、カリンちゃんも私も狙われてる。・・まあ、その事でこの村自体が無くなっちゃったら本末転倒だから、ホントにただの監視程度に留めてるけどね?」


 矢鱈詳しい奴だな。


 更に怪しく思えて来たぞ?


「ああ、勘違いしないでね?別に君を売るとか如何とかは考えてないから。私はこの村の居心地がいいから離れる心算は無いし、カリンちゃんも村の人の事が気がかりで、滅多な事では動かないと思う。

 だから、君がこの村より他の所でいろんなことを見聞きしたいのなら、個人で行くことに反対は出来ない。まあ、今の状態では旅なんか無理だろうけどね?」


 むぅ~、そう言う事なら仕方ないか。なら、何とかこの村を暮らしやすくする方法を考えるか・・益々カード達の存在が必要になるとこだな。


 まあ、今は其れより魔法を一通り使える様にする方が良いか。


「じゃあ、大体使えると分かった所で、簡単な魔法の奴だけ、8種類見せてくれ。そんで、帰って飯を食ったらリンナにも見せて貰うって事で良いか?」


「ああ、それでいいよ。今後どうなるかはともかく、今は戦力が大いに越した事は無いからね。・・じゃあ、カリンちゃんお願い。」


「はい!」


 そう言った感じで残りの5種類。


 光に闇、火に無、身体強化の詠唱と現象を見せてもう事になった。


 まあ、身体強化は実際に強化された所を見る訳にもいかないので、詠唱だけで、後日に魔物との戦いで見せて貰う事になった。


 そして、全ての属性を試したところで、AIフォンを確認すると全ての属性のDPが1に成っており、更には幾つかの項目が増えているのに気付いた。


 それは属性毎の詠唱改良のやり方とそれに伴うAIフォンの使い方。


 あと、【契約召喚生命体リスト】と【召喚獣リスト】


 そうして、同時にポケットのカードも震え出し、AIフォンの項目にNEWの文字が躍った。


 お?今度は何だ?


 ・・・!こ、これは!!


 その項目を見た俺は驚愕と歓喜の極地にあった。


 それは【契約召喚生命体リスト項目】の中の美空ミソラとガラムとミレイの文字。


 この美空とは俺の持つカードの中でも<パラレルアース・サモン・オンライン>のユニットで戦闘能力はそこそこ(とは言ってもカードの中の者達が規格外過ぎるので参考に成らないが)だが、情報収集能力ではトップ10に入る程の女性ユニット(俺の趣味で女性7割男性3割他一部神聖魔物なのだが)の巫女姫だ。

  能力は式神を使った情報収集と扇を使った風魔法による攻撃。ハッキリ言ってその能力は恐らく俺が訓練するより効率がいいだろう。しかも、頭脳も明晰だ。更に俺好みの美少女(一応言っとくがこれはカードの製作者が設定した能力だ、俺は気に入ってるので気にしないが。)


 そして、ガラムは<セブンス・シー・ワールド>という、海賊ゲームの武具やアイテムの製造に特化した数少ない男性ユニットの一人。

 勿論、この世界の魔道具の製作原理が未だ分からないのでどうとも言えんが、原理さえ分かればどうとでもなる位の汎用性はあるユニットだ。


 最後にミレイは大魔法士のコトナには実力で一歩譲るが、万能魔法士の戦姫。

 ヴァーチャル世界の全世界戦国時代の背景を持つ<マジカルアーツクロニクル>の特殊な魔法以外の全ての属性をトップレベルで使いこなす(使いこなすのと誰よりも使えると言うのでは少し差異があるが)彼女が戦えば数万程度の相手なら雑魚と言えるくらいの戦乙女だ。


 そこまで見た俺は二人が俺の驚きに気付いていることを初めて知って、この事は夜にでも検証してみようと思い、この場は「何でもない」と言ってはぐらかした。


「そう?なら良いけど、何か解れば一応言ってね?分からない事は教えられる事もあるから。」


「ああ、その時は頼む。」


「私も一緒に教えて上げます!」


「ああ、期待してるぞ?」


「はい!」


「それから、魔法の実験を手伝ってくれてありがとな?」


「はい!何時でもどうぞ!」


 俺とカリンの会話でリンナは少々悟ったような笑みを浮かべ・・・


「何時の間にカリンちゃんを手籠めにしちゃったの?可愛い顔して手が早いのね?私もそのうち食べられちゃうのかな?」


「まあ、謎が多すぎるリンナは少し怖いし、信用問題的には問題大ありだが、容姿はどっちも可愛いから相手には不満は無い。」


「きゃ♪告白されちゃった♪」とリンナ


「わー、いいなー(棒読み)」とカリン


「お前ら・・」


「まあ、冗談はさておき。もうそろそろお昼も近いからカリンちゃん家に戻りましょうか。」


「ああ、そうだな。・・・っと、そう言えばこの村に来る行商の周期はどの位だ?」


 俺の質問にリンナが指折り数えて・・・


「・・ん?どうやら明日の様ね。それじゃあ、カリンちゃん?」


「うん、在庫のチェックは内にあるからお昼に見たらいいよ。序にケイタさんにも色々と意見を聞きたいし。」


「そうね、ケイタ君は中々に鋭い様だから何か参考になるかもしれない。・・・じゃあ、戻りましょうか。」


 そう言う感じで、この世界に来て初めての食事を採る事になった。




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