1話初戦闘、講義
村長の家から出た俺たちは一路先ほどの森へと足を薦める。
その時に田んぼや畑を見て不思議に思った事を聞いた。
「なあ、カリン?」
「なんです?」
自然と俺の方に綺麗な顔が迫ってくる。
これでもしかしたら婆と呼べるくらいの歳なら俺の感覚が変になる所だ。
まあ、そんな感想は兎も角
「あの畑には見た所水源が無いようだが、水の確保はどうやってるんだ?」
「ああ、それなら各家庭の所有する馬に桶を乗せてあそこに見える川から取ってくるんです。皆それ程不便には思ってないですよ?」
そんな物か? 俺なら一週間もすれば何かしらの対策を講ずるが・・
あれ?魔法は使えないのか?
「なあ、魔法を使って水を引いてくることは出来ないのか?俺が見える所でもあそこの山の麓と、その逆のあちらにずっと続いている川が有るぞ?これを魔法でどうにかすれば、簡単に水源を確保できるんじゃないのか?」
俺の言葉に一瞬少し驚いた様子になったが、それも一瞬で、直ぐに苦笑した感じの表情になって・・
「それは無理ですよ。この村に自在に魔法を使える人は私とリンナちゃんと金属の鍛冶をしているフランさんの3人だけです。しかも、私は攻撃専門ですし、リンナちゃんは回復と特殊な魔法しか使えませんし、フランさんも火を熾すのと風でその火を調節して鍛冶をする位ですから、そんな大がかりな仕掛けを作る魔法は使えませんよ。確かに作れれば便利そうですが・・」
むぅ~、言い考えだと思ったが、どうやらそう上手い話は無いらしい。
まあ、今から俺が感応石を使って魔法の有無を確認したら、後はこの村で生活するかココを離れて遠くの町へ行くかだな。
その時は何とかして住まわせて貰った分の恩返しをしないといかん。 あとで考えて置こう。
「それと、見た所鉄を打っている音がちらほらと聞こえるが、武器の生産でもしてるのか?この村に武器屋の様な物は見当たらんが?」
「ああ、それは今言ったフランさんが簡単なナイフとかの調理用刃物を作ってる鍛冶場ですよ。他にも農具を作っている鍛冶場もありますが、材料が材料なのでそれほど強く頑丈な物は作れません。作れればリンナちゃんのスキルと合わせてこの村も活気づくと思いますけどね?」
ふぅ~とため息を吐きながら肩を竦めるカリン。
成るほど、いい材料が無いんだったら仕方ないな・・・。
こんな時に俺の大好きなカードのキャラクターがいてくれればどうにでもなるんだが・・
と俺がそんな事を思いながら懐に入れて置いたトレーディングカードが一瞬静かに震えた。
しかし、一瞬なので勘違いかと思って俺は気にもしなかった。
それから仕事中の村人に
「おや、カリンさん。もしかして恋人ですか?」若い男性。
「うわー、カリンさんが男の子連れてるー。」小さい女の子。
「おい、あんた。カリンさんを苛めるなよ?」恰幅の良い小母さん。
など等、流石に村を護っているだけに凄い人気だ。この村の生まれじゃないとしても、この村で育ったのは確かなのだと、この光景から容易に想像が付く。
それから冷やかしやからかいの言葉を貰いながら出てきた森に着くと、カリンが例の石を渡してきた。
「はい、それを持っていてビリビリした方向を教えてください。私は・・・これで近寄る魔物を撃退しますから。」
そういってカリンが胸元 (まただ)から何かの模様が描かれた大体文庫本サイズの本を出してきた。
「それは?」
「これですか?これは個人が使用できる魔法を納めた魔法書です。これ自体は私を拾ってくれた村長さんが大分前に都市で買ってくれたんです。
詳しい事や、製法は知りませんが、何でも魔法紙と呼ばれる特殊な紙が使われていて、幾ら書いてもページが無くなる事が無いそうです。
だから、攻撃や防御に向いている魔法を使う専門の職の人は皆これに納めてますよ?一度登録をした魔法は本に触れているだけで頭に思い浮かべれば発動できますから。
・・これが魔法騎士や騎獣魔法士なら、魔法の詠唱を覚えて自分の愛獣を操作しながら行使しないといけませんがね?
あ、魔法剣士などの魔法を使った近接職の人はその獲物に応じた魔道具を使用しますから、必ずしも魔法書だけってわけでもないですよ?」
む、聞きなれない職業が出てきたな。
それに、聞き逃しそうになったが、魔法紙とかいったか?
今みた村の様子では紙の製紙技術は無さそうなんだが?
まあ、カリンでは分からなそうだから、帰ってリンナにでも聞くか。
それより、職業だ。
「なあ、この世界に職はどれだけあるんだ?」
俺は興奮しながらカリンを問い詰める。
「ちょっ・・・ちょっと、顔が近いです。」
「あ、スマン。」
言われて少し冷静に成る俺。
しかし、さきほどの興奮は何ら収まってない。
「で?一体どれ位の職が有るんだ?戦闘面の一部だけでも頼む。興奮して収まらん。」
俺の意見が顔にも出ていたのか、カリンが笑いながら答えた。
「ふふふ、分かりました。私が知ってる中で有名な物だけ言いますね?・・言って置きますが、今から言うのはほんの一握りの物です。先ずは【赤魔術師】、これは火の魔法に特化した魔術師です。
次に・・・と言っても色でどの魔術が得意なのかを分けてるだけなので、言い方は【○○の魔術師】に基本変わりません。ほぼすべての魔術を変わりなく使える人は【元素の魔術師】に成りますね。しかし、これは全ての魔術師の魔法を仕える様にならないと変わらないので、普通の人の寿命では無理でしょう。
他には先ほど言った、魔物を乗りこなしながら魔法を使える魔法騎士ですね?
これも【○○の魔法騎士】と言った感じで特別な物は有りません。・・ただ。」
「ただ?」
「普通の魔術師と違って剣や槍、弓、銃など、その人が得意な獲物の熟練度を上げないと職業自体に反映されません。まあ、その熟練度も感応石で大体の強さが分かる程度ですけど。」
「え?熟練度って数字じゃないの?」
「え?数字が読めるんですか?」
「え?」
「え?」
なんだ?このやり取りは。しかし、俺が数字が読めると言ったのがそれ程不思議なのか?
「なあ、数字が読めるのってどの位の人だ?」
「そんなの、この村には私の育ての父の子供である今の村長と私とリンナちゃんしか居ませんよ。都市でも字が読めたり数字が読めたりする人は皆学園に通った事のある人か、貴族や王族しか居ないそうですよ?」
へ~、って!俺もこの世界の字が地球の日本と同じかわかんないじゃん!
さっきの説明好きに聞いとけば良かったよ。 あ、そうだ。
カリンに聞けばいいんだ!
俺は懐に入れてある自作の太陽光電池式のペンライトを取り出して地面に英語で「ありがとう」と字を書いた。
すると、その文字を見たカリンが固まって・・
「それって魔法文字ですよ?なんで魔法も知らないケイタさんが書けるんですか?」
おお!ここでは英語が魔法文字扱いか。なら日本語は?
というとで日本語で裸になってみて?とカリンを見ながら書いた。
するとカリンが真っ赤になって、しかも俺を見ながら服に手を掛けて脱ぎ出した。
「おい、冗談だって。こんなとこで脱いだら俺が村の人に殺される!」
「冗談です。」
俺の慌てように舌をペロッと出しながらそんな事を言って来た。
このアマァ~。
そうして、くっちゃべってる内に森へと入ってきた所でカリンが先ほどの続きをし出した。
「ふふ。でもこれで字が読める事は分かりました。しかも魔法語まで分かるのなら、ケイタさんは魔術師になれるかもしれませんね?」
「ん?なんで?」
「それは、殆どの魔術師の卵は長い会話文の魔法語がどうしても読めないから3級の魔術までしか使えないという理由からです。一級と、特一級は長い詠唱文の魔法語が殆どですから。まあ、魔法語が読めなくても宮廷騎士には成れますから、それで満足する人が殆どですがね?」
「ふ~ん?カリンって見かけによらず詳しいのか?」
俺がそう言うとカリンがその少々凹凸に乏しい体を反らして言って来た。
「ふっふ~ん。これでも育ての親である人から何度かこの国の首都へ連れて行って貰って講義までして来たことが有る位物心着いた時には普通の字も魔法語もマスターしてたんですよ?すごいでしょう!」
なんか、自分が努力した訳でもないのに薄い胸を張っているカリンがいる。
俺はその自信に釘をさす。
「けど、其れってさっき言ってた種族の特性って奴じゃないのか?」
「うっ!」
「それに、講義って言っても単に予め用意された教員用の教科書を読んでやっただけだろ?」
「はうっ!」
「それなら、カリンじゃなくっても他の同じ種族の奴なら当たり前に出来るって事じゃ無いのか?」
「ぐはあ!!」
俺の容赦ない突っ込みに地に倒れ込んだカリン。
俺は面白いのでペンライトでカリンをちょんちょんと突いてやる。
しかし、何度やっても返事が無い。
「うーむ、返事が無いな・・。唯の屍の様だ。」
それからカリンを置いて先に向かう。
それにしても目が覚めた時から思っていた事だが、何故か体が羽の様に軽い。
なので、剣術で鍛えた足腰や体の動きがスムーズに出せる。
これなら、例え魔物が出たとしても簡単にはやられないだろう。
そう思って、俺はカリンに対して先を促す発言をする
「おーい、カリン?何時までもそうやってると目的が達成できんぞー?」
「・・うう、こうなったら魔術の実戦で目に物見せてくれましょう・・」
そんな事を言いながら立ち上がり、歩き出す。
その様子に俺は微笑を浮かべながら思う。
ホントに子供みたいな奴だが、これでかなりの年上だと言うのだから不思議な話だ。
だが、実際のこの世界の奴らはどんな種類の人種が生息しているのだろうか。
カリンは自分で言ってたようにエルフと言うらしいが、リンナは少なくとも人間の筈だ。
しかし、俺が知っているエルフとは少し違う気がする。
確かに俺がやってたゲームでも、エルフは居たが、こんな服装をした奴は居ないし、美形ではあったが、皆髪の毛は鮮やかな物だった。
色が付いていないとは言わないが、ここまで黒いエルフは見たことが無い。
俺が最初に耳だけでは分からなかったのも、それが原因なのだ。
更に、村人も俺が見た限り全て人間の筈だ。
なら、カリンが言ったように本当に親に捨てられて、今まで親を探しもせず村に世話になっているのだろうか。
仮に拾った村長が良い人でも、自分らと違う人種をそれ程容易く受け入れられる物だろうか・・?
まあ、これは後で聞く機会もあるか?
そんなこんなで考え事をしながら森を進んでいくと不意にガサッっと音がしたので俺とカリンは素早く近くの木に隠れた。
見れば、リンナが言っていた迷宮の魔物が溢れて来たらしい。
数匹の単位ではあるが、村へと確実に向かっている。
どういう感覚かは分からないが、魔物故の嗅覚でも発達しているのだろう。
俺は対処方をカリンに聞くことにした。
「カリン。アイツらの対処法は?」
「あの魔物はブランですから、魔法は有りませんが単体ではそこそこ強いです。数が一匹なので、ここは私の魔法で素早く倒しますね?」
別にあれくらいの魔物なら、剣術道場で培った実力があればどうってことないとも思ったが、魔法と言う物も見ておきたかったので言われたとおりに任せることにした。
そうすると、カリンが例の魔法書を出して本に手を添えて意識を集中させ始めた。
すると、カリンの目の前に小さな魔法陣が現れ、次いでカリンがその魔法陣に魔法書に添えた手を魔方陣に移して命令を下す。
「では、行け!」
カリンがそういうと、魔法陣から無数の氷の礫が飛び出して、一斉に魔物に襲いかかった。
その数、一体に凡そ20本と言う問答無用の数。
「うわ~、容赦ねーなー。」
「・・え?凄いとかじゃなくそう言う感想ですか?」
カリンが俺の感想に意外そうに反応する。なので俺も大真面目に
「だってさ?確かに初めての魔法で感動はするけどさ?何も一体にあんだけの数の無駄撃ちは無いんじゃないの?この後未だ出てくる可能性があるんだから、少しでも温存すべきジャン?」
「・・うう・・確かにそうですけど・・。頑張って張り切って使ったのに、その感想はないですよー。折角褒めて貰えると思ったのに・・。」
「え?村の人は褒めてくれないの?折角自分たちの為に頑張ってくれてるのに?」
俺は余りの驚きに耳を疑った。
もし、そうなら村人ではないが、一言言ってやらんと気が済まん。
俺も世話になった人には感謝を忘れたことが無いから、この気持ちは分からせてやらんといかん気がするのだ。
そして、カリンが口を開く。
「ええ、最初は確かに「ありがとう」や「済まないねー」なんて言葉が有りましたが、今ではもう慣れてしまったのか、目に見えて傷付いて帰らない限りは皆何も言ってくれないんです。話しかけて来てくれるだけでも嬉しいんですが・・・」
「そんなの、自分で言わないと相手に解かる訳ないじゃん!もっと頑張ってますってアピールしないと!今回の相手が一匹だったから良いけど、もし大勢の団体さんが押し寄せたら、あんな村ひとたまりもないだろ?」
「ええ、それはそうです。なので私が頑張って排除してるわけですから。」
「だったら!」
「はい?」
俺の剣幕にたじろぐカリン。
しかし、これは謂っとかないとイカン。
村の為にも、カリンの為にも。
「もし、カリンが必要のない所で頑張り過ぎた結果、大事な所で疲れて魔法が使えなくなったとしよう。その状態で魔物が村まで押し寄せたら、村はどうなる?」
「・・勿論、滅びますね・・。」
「なら、その原因は?」
「私が魔法を使いすぎたから?」
「それは結果だ!原因はその前だ!」
「……?」
こいつは、まだ解ってないのか?
「お前の頑張りを村の奴らが褒めてやらんから、お前が褒めて貰う為に頑張り過ぎて魔法を使う結果になったんだろうが!」
「……!…そう言えば、そうです。」
「その所為で村が滅びる結果になっても、お前の責任じゃないって事だ。だから、お前は俺が褒めてやる。しかし、それは効率のいい戦い方をすればだ。言うなれば、褒めてくれる俺の為に頑張れ・…良いな!?」
「はい!」
よし、洗脳成功だ!
このまま俺の虜にしてやるぜ!
っと、その前にまた魔物が登場の様だから、今度は俺の格好の良い所を見せてやるとするか。
上手い事、数も大したことの無い2匹だし。
そう思い、近くの木の下にある丁度木刀の長さの枝を掴むと・・
「カリン、今度は俺がやってやるよ。あれくらいの魔物、俺なら多分どおってこともない筈だ。…みてろ?」
俺はカリンにそう言って先程の魔物と同じブランに向かって行った。
「ぎゃう?!」
「ひゃぐ?!」
俺(獲物)の行動に疑問を覚えつつも此方へと向かってくるブラン(魔物)。
俺はその行動に笑みを湛えつつ、徐々に加速していく。
そして、最高速に到達した時点で一匹の首を枝で刈り取る。
その際に枝がバキッ!と折れる音と共にブランの首が折れる音が同時に響き……その体が傾いて、仲間が悲鳴を上げる。
「ぎゃいいい!!??」
その序にカリンも悲鳴を上げる。
「えええええ!!??」
「…おい、そんなに驚く事か?」
俺は失礼なカリンに抗議をした。しかもその抗議の隙に仲間に逃げられてしまった。
「おい、お前な…」
その事も纏めて抗議しようとするが・・。
「だって…、変ですよ!!普通あんな枝位でブランの首を折るなんて事できる訳が有りませんし、ましてや、その前の動きなんか魔法を使ってない筈なのに魔法の身体強化をしている位の速さでしたよ?」
逆に変な疑いの目を向けられてしまった。
しかし、気になったこともあるので聞いてみる。
「よく魔法を使ってないってわか…ああ、そう言えば種族の特性がどうたらって話だったっけ?」
俺の反応にカリンが頷き
「ええ、私はこの目のお蔭で魔物の魔法発動を早い段階で察知できます。私が今まで生きてこれたのも半分はこの種族の特性の目のお蔭ですね。…それにしてもケイタさんは凄い力ですね。いえ…力の使い方が上手なのでしょうか?あんな枝で、枝が折れる前に首を折るなんて、相当に剣の腕前が無いと無理でしょう?」
ほぅ?少しは分かってるって事か?
まあ、この力の使い方も師範に教えられた事をまんまやってるだけだが?
「まあ、そこらはどうでも良いじゃん。要は早く石を見つけて魔物をその序に片づければいいだけだし。…ああ、そういや、魔力の色と質ってどう違うんだ?」
「ああ、それはですね。色が感情や善意、悪意と言った物が分かって、質が言ってしまえば属性ですね。なので、私は魔物の悪意や貴方の善意は分かりますが、その者が持つ属性は分かりません。なので、態々石を探しに行くんです。…あ、言ってる傍から、発見です!」
「お?!どれだ?」
「これがそうです。」
そう言って、カリンが俺に拳大の石ころを見せる。
何か水晶の様な石だ。
その石がカリンが触っていると次々に色が変わって行く。
そして、その中でも特に青色の時の輝きが凄い。
という事は……
「なあ、これってカリンが【青魔術師】って事を示してるのか?」
俺はそう判断したのだが、どうやら違うらしい。
「いえ、この輝きは魔力の残量を現わしているので、魔術師の属性には関係ありません。…まあ、全くないと言う訳ではないですがね?」
そう言いながら俺に説明をし出す。
「私たちの魔術では、最大魔力量と、各属性の魔力量が有るのです。そして、今の輝きで魔力の残量が高かった青の、水の魔術は土地柄的に使うのが多いので増える魔力が多いんです。一応言っときますと、私の職は【青魔術師】ですが、別に水しか使えないという事は無いですよ?単にココに長く居れば水の系統を頻繁に使うと言っただけです。属性としては8種類全ての系統を使えます。」
「8種類!?」
とんでもなく多いんじゃないか?
それでも未だ攻撃だけって事だろ?
一体何種類の魔法が有るんだ?
「なあ、魔法の種類としてはこの世界に何通りあるんだ?大まかな物だけでいい。」
「ああ、それなら。火、水、風、土、の基本4属性と光と闇と無属性と身体強化ですね。勿論、それぞれに合成とか派生なんかが有って、とてもじゃないですがここでは言いきれないですね。それに…」
「それに?」
俺は言い淀むカリンに先を促す。
「リンナちゃんの【魔道具製作】も言ってみれば魔法ですから、それ以外の魔法騎士が使う魔法剣や魔法槍もそうですし、本当に数だけは多いですよ?」
「へ~、…あ、それじゃ、さっき言った【元素の魔術師】ってのは如何なんだ?さっきの話では全部を鍛えたって言ったけど?」
その俺の質問に「あ、そうでした」と何かしまったー!と言った感じに成って
「あれは基本の4属性の事だけを言った物です。基本の属性4つを全て特一級まで極めた魔術師がなる事が出来るんです。」
「へー、じゃあ他の魔術師は誰でもなれるってわけ?」
「ええ、他の魔術師なら職業としての登録なら、大きな町の冒険者派遣協会に行けば簡単にできますよ?私もこの国の首都に育ての父に連れて行って貰って成りましたから。条件は付きますがね?」
職安みたいな場所まで有るのか?
しかし、条件ってなんだ?
「条件?」
「ええ、魔術師に限りますがどの職業に成るにも各属性を最低5級の魔法を使いこなせるようにならないと成れません。それ以外は皆見習いです。・・例えば、火の属性が5級で他が無い場合は勿論【赤魔術師】なのですが、火が4級、水が3級でもそれぞれの魔術師になれますし、ステータスカードにも各魔術師の名前で登録されますが、中にはワザと見習いの魔術師で登録して自分を弱く見せる者もいますよ?」
ん?なんでだ?
俺の表情を読んでカリンが応える。
「はい。その方が傭兵の仕事も危険が無い物が回ってくるから・・・だそうです。・・これは父に聞いたこと何で、真偽のほどは分かりませんがね?」
そう言いながら、止まっていた手を動かし始めて、石を弄る。
「この石を持って少し魔力…って魔力はどんな物か解かりますか?」
「いや、サッパリ。」
「ですよね?…まあ、触ってみれば解かりますよ。取りあえず今は得意属性より魔法が使えるかと、魔力の量を調べるのが先です。これを持ってください。」
「?おう!」
俺は促されるままに石を持った。すると……
イキナリ石が強い虹色の光を出し始め、その中でも鉛色に近い色の所で止った。
何が起こったんだ?
俺は石を渡してきたカリンを見るが……固まってる。
「おーい、おっきろー!起きんと悪戯するぞー!?」
「…はっ!……すいません。驚いた物で、つい。」
ちっ!悪戯出来んかった。
まあいいか。次に期待しよう。
「いや、それはいいけど…。どうしたの?」
「これは今までに見ない色なので、それで驚いたんです。これは王都の方に行って、協会の職員位に聞かないと分かりませんね・・・。ああ、けど安心してください。ケイタさんの得意属性こそ分かりませんが、先ほどの虹色が示した結果は…」
「結果は?」
勿体ぶる奴だな…
「私の知る限り全ての魔法に適応する滅多にない適性です。これならどんな魔法でも使えますよ。まあ、今の魔力量が結構な量に見えても、3級くらいを5発撃つ位しかないので、心元ないですし、熟練度も上げる必要が有るので練習は必要ですがね?」
「おお!!?それは凄いじゃないか?・・さっそ…」
「あ、今は魔法書も何もない状態なので、私の知ってる物しか使えませんよ?」
「そ、それでいいから教えてくれ!」
「ふふ、可愛いですね。分かりました。では、これの中で最初の魔法をその現象を思いうかべながら詠唱文を唱えてみてください。現象自体が詠唱に成っていますから、慣れれば詠唱文を見てなくても現象を思いうかべるだけで使えますし、使う時に体の中から何かしらの力が抜けていく感じがするので、それが魔力だと分かりますよ。」
ほー?
それは何とも解かり易い。
それなら俺にピッタリの魔法かもしれんな?
なんたって俺は自分でも誇れるくらいの開発者だ。
原理さえ分かれば独自の魔法も使えそうだな?
よーし!今から楽しみだぜ!!
俺はそう張り切りながらカリンに魔法書を渡して貰うのだった…
「よし!やるぞ!、見ててくれ!」
「はい!頑張ってください。」
「おう!」
こうしてどうやら俺の異世界初の魔法試射が始まった、…筈だった。
これは、俺の本当の意味での異世界だと言う認識に繋がる始まりだったのだ。