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村から始まる異世界王国誕生物語  作者: arandora
異世界でのチートは少年ではなく召喚生命体でした
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11話転移魔道具入手

 村が戦闘準備をしている頃、それを知らない俺たちは螺旋階段を降りた所の光景に呆れていた。


「まーた、ここはここで非常識な階ね。あ!そうか。この熱気がこの上の温泉の温度に繋がってるんだ。」


「そうだね。・けど、それにしたって熱いね。しかし、ここの熱を冷却すれば上も温泉が無くなるし・・恐らくは、ここの下は極寒の地だよ?式神の情報ではこの熱さは分かんないし、上の温泉も只の水たまりだったし、やはり映像だけでは限界があるって事だね。」


 俺とミレイの批評から分かるように、今降りてきた螺旋階段の下にあるのはグツグツと、煮えたぎる様なマグマの海。


 この状景は式神にも映っていたのだが、流石に暑さが映ることは無く、今の暑さも想像していなかった。


 因みに、この暑さからミレイと美空は魔物の皮を加工した極薄のシャツとズボンとズボンをガラムに作って貰っている。

 もうスケスケでは有るが、視えそうで視えないギリギリに薄くしたシャツとパンツとズボンは、されど最高の強度の防御力と防熱の効果を有している。


 そして、美空に風の障壁で極薄の風のマントを皆に掛けて貰っているのだが・・・、生憎下のマグマの海を見たらそれだけで暑くなる。


 これでマグマの様子を見ない様に出来たらいいが、それでは目の前に飛び交っている赤い飛龍の攻撃を躱せそうにないのでやめている。


 まあ、このメンバーの防御を貫く攻撃が出来る様な魔物が居るとは思えないのでその心配はしていないのだが・・・


「さあて、ここは誰が行く?・・・あ、俺はパスな?未だここの熱を上回る火の魔法は使えないし、水や氷の魔法を変に使って万が一、無いとは思うが水蒸気爆発でも起こったら怖いから。」


 俺はそう言って一抜けする。


「なら、ここは前回に引き続いて私ね?丁度面白いアイデアが思い浮かんだし♪」


「ほ~?因みにどんな?」


 ミレイの立候補にガラムが興味を覚える。


「ほほほほほ~、それは見てからのお楽しみ~♪」


「ちっ、まあいいか。流石にこの見た目と実際の両方の暑さで言い合いもダルいぜ。」


「同感だね。っと、そうだ。ガラムは水と氷と風の精霊に頼んでクーラーを利かせて貰ってよ。そしたら少しは違うでしょ。」


「それは良いですね。・・ガラム、無理なら風は私が送るので水と氷の塊だけでもお願いします。」


「了解だ。・・・・おう、頼む。」


 俺達の話し合いを終えた後に、精霊との話し合いを終えたガラムが俺たちの方を見て指示を出す。


 それからは次第に上の方から涼しい風が来るようになった。


 流石に下は熱いままだが、無闇に冷やして駄目なのでこれ位が丁度いいだろう。


 後は美空に溶岩の海を浮かせて貰って渡るだけだ。


「じゃあ、ミレイ。飛んでる飛龍を頼む。向こうは撃ち降ろしの分周りに飛び散るけど、それは美空が弾いてくれるから、ちゃっちゃとやってくれ。」


「了解よ。【シル】」


 ミレイは先ず風の戦星魔法を使ったようだ。


 恐らくだが、風の魔法で向こうを引き摺り落として、雷でドカン!・・で終わりだろう。


「ぎゃああああ!!?」


 一体の飛龍が何が起こったか分からないと言った感じで下に落ちる。


 そして、その落ちた飛龍の傍に近づき、頭に手を添えて・・


「さよなら・・【トー】」


「ぐああああ!!」


 ミレイの雷に打たれた飛龍の断末魔の叫びが木霊する。


 そして、美空に「美空?コイツお願いね?」


 と言い残し、此方に戻ってくる。


「分かったわ。」


 美空も最初から分かってるかのような対応だ。


 しかし、このメンバー相手だと、飛龍の方が可哀相に成るな。


「じゃあ、進みましょうか。」


 というミレイの言葉に


「そうだね。・・この階は何が有ったっけ?」


 そう言って俺は賛同する。だが、魔道具か何かが有れば取っておきたいので一応美空に聞くことにした。


「ココには・・・ああ、その曲がり角の出っ張りに隠し部屋が有りますね。そこに宝箱が置いてある・・・あからさまに怪しいですけどね?」


「うーん、じゃあ式神で調べてみてよ。爆発物の可能性もあるから大きめの奴で。」


「はい・・・じゃあ、鬼族の者で行きましょうか。あれなら大きいし、吹き飛ぶことも無いでしょう。出でよ≪ドル≫」


 美空の魔力を篭めた護符が、段々形を成していく。


 そうして、出来たのが、ガラムと同じくらいの体格を持った鬼族のドルだ。


 頭に一本の角を生やしたその姿はまさしく鬼で皮膚も赤黒い。


 更に筋肉も凄いのでこの式神なら多少の衝撃にも余裕で耐えられるだろう。


「うん、それなら良さそうだね。・・じゃあ、お願い。」


「はい・・行け!」


「・・・」


 美空の命令通りに忠実に隠し部屋へ向かい、そのまま何の抵抗もなくも無く壁をすり抜けて宝箱へ向かって行く式神。


 そうして、あからさまに怪しい宝箱に辿り着いた瞬間・・・


 ボンッ!


 と煙の様な白い粉が巻き上げられ、次の瞬間には鬼族は干からびた状態になっていた。


 そして、魔力供給が一瞬断たれた事による負荷で鬼族はその場で宝箱ごと消えた・・・


「・・・」


「・・・」


 全くもって酷いトラップだったようだ。


 普通にしていれば気付かない場所を探し当て、見つけた宝箱に浮かれて開ければ魔力を根こそぎ吸い取られて干からびて死ぬ。


 もし、若い女性なら浦島太郎の女性版に成っていただろう。


「・・・まあ、式神で良かったよ・・・。他にはないかな?」


 そう質問した所


「はい。後は真っ直ぐに進んで行って突き当りを曲がった場所に有る展示されている魔道具ですね。これはさっきの宝箱みたいな仕掛けは無いと思いますが、用心の為式神を先行させますか?」


 と美空が聞いてきたので


「うん、そうしよう。お願い。」


 と頼んでおいた


「畏まりました。」


「ホント、美空の式神はこういう時ホント便利よね。言ってみれば幾らでも使える毒見役何だから、便利な事この上ないわ。」


 ミレイが流石に美空を褒める。


 まあ、確かにそのとうりだ。


「それに消費魔力も、美空にとっては米粒の様なもんだって言うから更に使える奴だわ。」


 ガラムも感心しながら言う。


 まー、俺にとっては皆同じ位便利な存在なんだがな?


「では、今度はスピードのある鷹の式神で行きます。出でよ≪ムク≫」


 今度は美空の言ったように、鷹の様な形を取って行く。


 そして、物凄い勢いで先に行ってしまった。


「では、私達も行きましょうか。」


「ああ。」


「おう」


 そうして、美空の風で浮きながらマグマの上を進む俺達。


 それからもチョイチョイ


「しゃああ!!」


「があああ!!」


 という風に魔物が現れるのだが・・・


「なんでこう一体一体がデカいんだ?」


「まあ、そりゃー道がココまでデカいんだし、シャーないんじゃねえか?」


 俺の愚痴に普通に返してくるガラム。


「それに、強さ自体はどうってことないわよ?【ウン】」


 「ジューーー!!」という音を出しながら急激に冷やされた温度の影響で粉々に成るよくゲームででるオーガの様な人型の魔物。


「それに良い運動にも成りますし?・・覇!」


 そう言いながらも扇魔刀にて一刀両断にする美空。


 俺はその間に闇の魔法や水の魔法をネチネチと練習している。


 そして、漸く小さい魔物の胴体を取り込めるまでに腕を上げた。


「ふぅ~、漸くここまで取り込めるようになったぞ。・・ミレイ、また充電頼む。」


「OK♪【トール】」


「ありがと。」


「どういたしまして♪」


 そんなこんなで、恐らく普通のパーティーなら死ぬ気で掛かって漸く一体と言う感じの魔物を鼻歌交じりに殲滅していく俺達。


 そうして漸く辿り着いた魔道具の飾られている場所に来た俺達を待っていた物は・・・


「・・・これ、映像で視たらただの鏡だったけど、明らかに転移用の魔道具だよな?俺らの姿が見えねえし・・」


 魔道具をみたガラムが驚いたように見ている。


 確かに俺も驚いた。これが有ればかなり便利だ。


「ええ、こんな階層にある物とは・・・って、ここの魔物の本来の強さを考えれば妥当なアイテムなのかしら?」


「そうね。・・取りあえずこの周りをムクが飛び回っていて、触ったりもしてるから手に取っても大丈夫でしょ。・・・取りますね?」


 美空が俺を見ながら確認する。


「うん、お願い。」


 そうして、手に取った美空には一応何も起こらない。


 どうやらトラップの類はない様だ。


「ふぅ~、どうやら何もないようですね?では、ガラム。啓太様と複製とサンプルと効果を落としたレプリカの製作をお願いします。」


「だってよ、旦那。後は男衆で頑張ろうぜ?」


「ああ、そうしようか。」


「じゃあ、その間下に行く階段を探しておくわね?」


「うん、お願い。」


 それから、AIフォンで作業をして、ガラムに魔道具のカタログを作って貰ってと色々してると結構な時間が経ったと思ったので、俺は帰って来た皆に一度村に戻るかの提案をすることにした。


「ねえ、この中に一度村の状況を確認しときたい人いる?」


 そう聞くと


「あ、私見ときたい。どうせ生活する可能性が有るなら、見といて用意が出来る物は把握しときたいわ。」


「そうだな、俺も同感だ。受け入れられるか分からない所に行くのは俺も変に気を遣わんと駄目だからな。その点、ダメならこの地下の施設で常は居て。何かしらの注文がきたら出て行って要望を聞くってシステムも有りだからな。」


「私も賛成ですね。カリン様に式神の具合を聞いて於きたいのも有りますし。・・ここは一旦出ますか?」


 皆の意見が一致したので、俺はガラムと一緒に調べていた鏡の魔道具の性能について発表する事にした。


「うん。出るのは良いが、皆、聞いてくれ。この魔道具は使用者の魔力に応じて移動距離が変わる転移用水鏡だ。だから、先ほどガラムと作った効果を落としたレプリカを人数分渡しておく。オリジナルはミレイが闇に収納しててくれ。」


「了解♪」


「・・で、肝心の用途は、記憶させられる場所は一つに2か所。使用法は俺の場合は電力のある場所に成るようにした。皆の場合は魔力でのマーキングだ。だから、この場所に一旦全員の魔力を残して貰う。そして、俺が村に置いてある俺の荷物の場所に転移をするから、そこを拠点に活動をするって事でいいかな?その方が何かと便利そうだから。」


「ええ、確かにその方が美空ばかりに抜け駆けをさせないで済みそうね。」


 ミレイは賛成の様だ。


「俺も良いぜ?俺が必要な時は多そうだからな?」


 ガラムもOKっと。


「勿論、私も構いませんよ?啓太様のなさる事に否は有りません。」


 ま、そうなるわな?


 って事で一旦地上に帰るようになった俺たちは、この後地上で大変なことになっていたので、しばらくこの迷宮に来ることが出来なくなるのだった。(と言っても1日程度だが・・)






 


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