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村から始まる異世界王国誕生物語  作者: arandora
異世界でのチートは少年ではなく召喚生命体でした
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10話村への魔物襲撃(前編)

「たっだいまー。リンナちゃん聞いて聞いて?ケイタさんの言ってた人、凄い人だったよ!?」


 カリンが帰ってそうそう開口一番にリンナに迷宮で有った事を話そうとするが・・・


「カリンちゃんストップ!その話はケイタ君との契約に違反する事じゃ無いんでしょうね?もし違反する事なら無闇に言わない方が良いよ?ココには既に行商の人達が来てるんだから。」


 リンナに話を遮られた形になったカリンは露骨に嫌そうにリンナを睨むが、リンナに言われた事も一理あるのでしばらく考えて居ると・・、見事に契約の内容に当てはまる事柄だった。


 何気にあの迷宮で見た物は内密性の高い内容の目白押しのようなのだ。


 そして、そのカリンの様子でどういった感じの内容かを察したリンナは、カリンと話をすべく、皆に断りを入れてから隣部屋に向かう事にした。


「カリンちゃん、こっち来て、話は聞いてあげるから。・・それでは、少し席を外しますね?直ぐに戻って来てカリンちゃんを加えての作戦会議に移りますから、少々お待ちを・・、さ、行こうかカリンちゃん。」


「う、うん!」


 そういって、隣部屋へと移動し、音声遮断の魔道具を使って(この程度の魔道具は割と簡単に安価で手に入るのだ)内緒話を開始する。



 ☆


「で?その人ってのはそっちに控えてる二人の事?それにしては愛想が無いし、何よりケイタ君が居ないようだけど?」


 リンナはカリンの傍に控える二人の男性を見据えてカリンに聞く。


 見た目は普通の男性だが、何故か目に光が宿っておらず、表情も無い。


 これはまるで話に聞く陰陽師と呼ばれる、極稀に現れる妖術師の派生の職業になれば使える様になる式神と言われるスキルの式神の様だ。


 話では式神と呼ばれるスキルは、術者の魔力を糧に行動し、術者の命令には絶対服従する謂わば召喚獣に近い生命体だ。


 しかし、この式神を生成する魔力は途方もない程の物。


 余程の実力者でも一体を生成すれば魔力は殆どなくなると聞いた。


 なので、明らかに2体を作っている時点でその可能性は無いか?と思っている所に、、カリンが事も無げに言い放ってきた事で、つい大声になってしまった。


「ああ、この二人は私の護衛用にその人が作ってくれた式神って奴だよ。凄いんだよ?この小さい「式神ですって!!?カリンちゃん、それホント!?」・・う、うん。そうだよ?美空って人がケイタさんの命令で作ってくれたの。ホント、それぞれに役割もキチンと決められて凄かったよ~。」


 護ってくれている間の事を思い出したのか、カリンはほけ~って言う感じで二人の護衛を眺める。


「その様子を見る限り本人より護衛に感心しちゃったみたいだけど、ケイタ君の言ってた本人はどれ位の化け物だったの?式神の護衛に感心する位なんだから、それを生み出す本人は相当なんでしょ?」


「そりゃーもう!すっっごいよ?何と!風の魔法に特化してるってのが有るにしても、その凄さは普通に三人を宙に浮かせて平然としてるレベル。しかも、この人達を出して尚ケイタさんの護衛をするって感じの余裕が有ったんだから。あれはもう特一級の風魔法も使えると思うよ?しかも、どうやってるのかは知らないけど媒体無しで魔法を使ってたんだから。・・ああー!もう何から話せばいいか分かんないよ!!」


 リンナの問いに応えるカリンは、もう言ってることが滅茶苦茶に成っていた。


 その事にリンナも内心の驚きを抑えながらカリンに事情を聞く。


「・・で、どうしてカリンちゃんだけ戻ってきたの?ケイタ君は一緒じゃないの?式神をカリンちゃんの護衛に付けたって事は、今はケイタ君達だけって事でしょ?」


「うん、そうだよ?ケイタさんは護衛の人と色々話があるようだったから、私にだけ材料を採ってから帰りが遅かったら先に帰れって言われたの。そんで、ケイタさん達が無事かどうかはこの護衛の人達が無事なら分かるって言ってた。確かに術者が魔力を供給出来なくなったらこの式神も消えちゃうから、納得だよね。」


「そこで納得して別れてくるってのがカリンちゃんらしいって事だけど。もうちょっと詳しい事聞けなかったの?今、少し村の外の事でカリンちゃんに急用が有るんだけど、強そうな人ならケイタ君達が来るまで待った方が良いかもって感じなんだよ。」


「ん?どういうこと?」


「まあ、詳しくは行商の護衛の人に聞くとこだけどね?」


「じゃあ、早速聞こうよ。」


「まあ、そうなるね?ホントは戦力は多ければ多い程良いと思うんだけどね?」


 リンナはあからさまにケイタを連れて来なかったカリンを非難した感じの言い方をするが、カリンにその皮肉の様な言い回しは通じない。


 そのまま、護衛の者達の元に行くだけだ。


 そして、リンナもカリンに続いて先ほどの部屋に向かう。


 そして、話し合いが始まった。




「で、夜に襲われるのは仕方ないとして、配置はどうなりますか?」


 先ずは戦闘に関する事の説明を求める村長。


「その事ですが、当たり前の事ながら、村の前で待ち構えます。Aランクのスイとモルトが大規模な火魔法で少なからずの足止めをして、私の水魔法で押し流してエルフのカリンさんに止めの一撃を放って貰います。後は流れですね。最終的には村に入られる事を覚悟して貰います。」


「それは仕方ないでしょう。その為に村民を避難させるのですから。・・その前に片が付けばいいのですが・・。」


 その村長の言葉に、「恐らくそれは無いでしょう」と前置きしてから


「相手は夜目に優れた魔物の上、数がこちらの100倍です。更に一体一体が物凄く強い魔物。到底無事に済むとは思えません。最悪私たちはここで終わりになるでしょう。」


「ああ、エルフの嬢ちゃんも居るが、相手の数を考えれば絶望的だ。何か良いアイデアが有れば良いが・・・。」


 皆一様に暗い顔になる。それはそうだろう。後早ければ2時間程度で死んでしまう事になるのだから・・・。


「そういえば、エルフさんの傍に居る人達はどういった者ですかな?さっきから何もせずに只ジッと立っているだけなんですが?」


 護衛の一人であるモルトが、カリンの近くにいる二人に付いて聞いてきた。

 なので、カリンも差し支えない程度に話す。すると・・・


「本当ですか!?それは、それなら少し光明が見えてきましたな。もし、その方たちが戻ってきたら魔物共を殲滅できる可能性は〇からグッと伸びますよ。・・で、何時頃帰ってくる予定ですか?」


 カリンの話を聞いたモルトが期待を込めた眼差しでカリンに詰め寄るが・・・


「それは何とも・・・彼らも再会を喜んでいましたから、しばらくはダメかもしれません。」


「「「そうですか・・」」」


 何とも頼りない返答に落ち込む一同。そして、一同を代表してユリアが纏める。


「では、その時間を稼ぐのが役割ですね・・・。作戦変更です。すみませんがエルフさん。貴女とその護衛の方が前で突出してください。そして、恐らく左右に分かれた魔物を我々が殲滅します。リンナさんは出来る限りの回復薬を作ってください。それでなんとか持ちこたえましょう。」


「分かりました。・・・では、準備してきます。」


「私たちも魔法の最終点検と各種装備の点検をしましょう。」


「おう!」


 こうして、村の攻防戦第一ラウンドが始まった。



 ☆



「来ました!カリンさん、頼みます!」


「はい。義経さん、弁慶さん。行きますよ?」


「・・・・」


 ユリアの指示を受け、二人の指示するカリンと、それに無言で頷き構えを取る2体。

 それからの三人?の行動は早かった。

 先ず、森での戦闘の様に義経が一歩一歩のストライドが広いジャンプをしながら向かって来ているグラムにすれ違いざまの小太刀を振るって次々に倒していく。その際にも断末魔の1つすら起きない見事な暗殺術だ。

 そして、近くに弁慶を侍らせながら魔法書を開き、手を添えて集中し、魔法陣が浮かび上がると同時にそれに手を移し発動する。

 その後、ドロンが急に血みどろに成りながら地面に仰向けに倒れ伏し


「ぐらあああ!!」


 今度のはどうやら苦しんで死んでいった様だ。

 その断末魔で状況を理解した魔物とホノライは、一時立ち止まってから、上空からのバスクの強襲に切り替える。

 勿論、エルフは足止めをしないといけないのでこのままグラムとドロンは進軍を続ける。


「みなさーん!!バスクがそっちに上から向かったので、皆さんの愛騎を使って防戦をお願いしまーす!!」

「了解です!カリンさんは引き続き足止めを頼みます!・・皆出番ですよ?!」

「「おうさー!!」」


 カリンの情報提供で自分たちの出番が来たと分かった護衛たちは、自らの愛騎に跨り空を駆ける。

 ユリアは別だが、スイとモルトは冒険者ランクAの騎獣魔術師。

 なので、空の敵の対応はカリンよりも上なのだ。

 そして、その二人にバスクがその鋭い牙と爪を煌めかせて襲いかかる。

 その数大凡200体。


「あーあ、俺達このまま死ぬのかな?」

「恐らくな~。けど、どうせ村を捨てて逃げても敵前逃亡の謗りは免れないんだし、仕方ねえんじゃなえか?後は、あのエルフさんが早く片付けてこっちに応援に来てくれるのを待つしかないだろ。」


 スイの呟きを何となしに聞いたモルトがそう返す。

 二人とも既に敵の脅威を肌で感じているようだ。

 そうして話し合っていた二人が遂にバスクと接触した。


「くそ!!やるしかねえか!後ろは任せたぞ?ハア!!」


 スイに言いながら目の前に来た魔物を愛槍で愛騎に乗りながら屠るモルト。


「分かったよ!!セイ!!」


 そのモルトに負けじと自分も敵を屠るスイ。

 この二人は流石にAランクなだけあって、一対一ならなんとかバスクの一体や2体は屠れる実力は有る。

 しかし、数が数なのでやはりジリ貧なのは変わらない。

 そして、ユリアもまた、村の近くでカリンの魔法の脅威を避けてきた魔物に襲われていた。


「くぅ~、やはり二人と言うのは厳しいわね・・大丈夫?リンネール。」

「ええ、此方は魔法薬を作ってお姉さまに渡すだけなのでそんなには疲れません。・・・はい、魔力強度アップの丸薬です。」

「ありがと。・・よし、喰らいなさい<ウォーターシューター>!」

「グぅウぅ!」


 リンナの丸薬を飲んでから、魔力が一時的に上がった状態で水の一級魔法をお見舞いする。

 横なぎに魔法を使う事で、更に葬れる数を増やすが、しかし、数が数なので限が無い。

 そうこうしてる間に、敵が何かを仕掛けたようで・・・


「な・・なんだ!?・体が、うごか・・ぎゃああ!!」

「おい、大丈夫・・っぐあああ!!」


 いつの間にか大量のバスクに包囲されていた二人は、急に動かなくなった体にバスクの鋭い牙を立てられ、そのまま絶命した。

 そのシビレの原因はバスクが本来カリンに落とす筈のシビレ草を、弁慶が護っている故に効果がない事で、先ずは上空の二人を始末する事に使った結果だ。

 その光景を見たユリアは「不味い!」瞬時に判断し、カリンに張り上げ声を風の魔法で送り、一時撤退を呼びかけた。・・しかし。


「こちらは今の所大丈夫です!!それより、先程村の方で何か魔力の反応が有りました。もしかしたらケイタさんが戻ってきたのかも知れません。ですからリンナちゃんと様子を見て来てくれませんか?!・・!危ない!!」

「・・え?・・があああ!!」


 自らも懸命に魔物と対峙していたユリアだが、数の暴力に抑え込まれようとしている所への二人の事態に注意力が散漫に成ってしまったので、ユラ~りと近づく魔物に気付くのが遅れ、カリンの声に反応して辛うじて致命傷は避けられたが、突然の背後からのグランの丸太の様な腕に薙ぎ払われた結果・・・吹き飛ばされたユリアは、近くの木に「ドン!」と肩からぶつかって、そのまま利き腕が使えなくなってしまった。

 もうこうなってはカリンにこの場を任せて、リンネールを連れて村に引き返して、僅かな希望に賭ける他に無い。

 なので・・


「すみませんが、この場はお願いせざるを得なくなりました。・・頼みます。」

「はい!・・・なるべく早くしてくださいねー?」

「ええ、分かってます・・では!」


 そう言い残しユリアはリンネールの治療薬を飲みながら急いで村へと戻って行った。


「私らも折を見て逃げようね?」

「「・・・」」


 カリンは2体の護衛にそう言うと、再び魔法書片手にジワジワと後退しながら魔物との交戦に戻った。

 幸い後退しながらの為にジワジワとしか魔物が来ることは無かったが、その結果ほぼ暗闇に成る頃には数体の魔物を村へと向かわせる事になっていた。

 そして、最初の村人での犠牲者となったのは啓太の目の前で襲われた村長であった。

 


作中に出る魔物は本来なら1体1体はもう少し強い設定ですが、所詮操られている事を考えて多少弱めにしてるので、強さを描くのが面倒臭いという事ではありません。

Aランクが余りに弱すぎると、今後の戦闘描写が不自然に成ってしまうので止む無く手抜きに近い感じにしました。

 詳しく知りたいという感想がございましたら今後詳しくしていく予定です。

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