プロローグ(始まりと出会い)
目標5話ずつ更新(一日にじゃないですよ?今の書くペースだと3週間に?位
初めに言うが、俺はオタクだ。
しかも自慢になってしまうが何をやっても人並み以上の結果が付いてくる天才だ。
そんな俺の趣味はカード召喚系ヴァーチャルゲームの女性キャラ収集。
そして、その目的の今日で達成する。
「はぁ……はぁ……お前でやっと最後だなレイミ。しっかしお前も大概のチートキャラだな。他のゲームの最強契約体を二人使ってやっとこさ倒せるなんて、他の奴なら絶対にクリアできんぞ。」
「ええ、私もこの実力の度合いは判断に苦しむ所ですが、それでも私を倒せたマスターと契約させて貰えて嬉しく思い、光栄の至りです。それで、これからどうなさるのですか?他のゲームの召喚体を反映できるゲームはもう無いのでしょう?」
「まあな、一応これで3種類のカード召喚ヴァーチャルゲームで目的を達成したし、どうしたもんかな?」
「まあ、その辺はマスターにお任せします。私たちは呼ばれたら何時でも出られるようにカードに成ってお待ちしてます。」
そういって、契約を終えたレイミがカードとなる。
俺のしているゲームの事が分かる発言をしていたこいつは所謂AI組み込み型のゲームの召喚体だ。
最近のゲームは俺の開発したAI技術を組み込んでいて、他のゲームに反映できるほど高性能に成ってきてる。
しかし、先ほどこのレイミが言ったように、もう俺が好きそうなキャラの召喚体が居るゲームは無い。
まあ、これが潮時なのかもしれないな。後はこの召喚体をホログラムを通して実体化できるデッキ装着キットに入れて愛でるだけだ。
まあ、これも俺の趣味だな。
俺は某東都大の大学院の電子工学科の研究所に通っているのだが、そこでやってる研究の合間にカードを愛でるのも趣味の一つだから50枚近くのカードがあれば、もう十分だしな。
っと、自己紹介をしようか?(誰にだ?)
俺の名は沖田啓太16歳。
沖田だからと新選組には一切関係のない家柄の為、俺はそれ程刀には興味が無い。
それ程と言うことで一応は剣術道場に通っている程度だ。
まあ、そこでも免許皆伝の実力なのは天才ゆえだろう。
そんな俺の住む沖田家にある日の朝、甲高い声が響きわたる。
「お兄ちゃーん?そろそろ起きてよー?皆準備出来てるよー?」
「おーう、後五分で起きるー」
俺はヘッドギアを外すのも億劫なのでふて寝する。
「早くしないと飛行機間に合わないよー?」
「分かってるよー。」
妹が急かすのにもマイペースで布団の主になる位朝は弱いのだ。
そんな俺とその家族は今日から夏休み一杯を使っての世界一周旅行だ。
これは俺の開発したAIプレートオウガックの売れ行きが予想外に良かったためだ。
このオウガックは極小の基盤でのあらゆる電化製品に対応したAIで、例えばネット環境の使える場所なら携帯やスマホの外付けに差し込む事で家庭の全ての家電製品の管理を一切の無駄なくしてくれる。しかもネットを通すからという理由でセキュリティーの安全にも気を配ってくれるものだ。
更に太陽光発電のシステムに関しても、特殊な傘を用いた全自動の開閉式の物を使って発電させ、雨の日にはそのまま傘を畳んで水力発電に、風の強い日などは、羽がせり上がって風力発電に切り替えてくれる物。
しかもAIの名の通りそれら全ての切り替えを自動でやってくれてその他使わない所の電力カット迄してくれる優れものだ。
基盤を別にしているから、万が一の交換の際も個人で付け替えが簡単にでき、電力の使用状況も携帯やスマホから簡単に確認できる。
流石に俺の家族の資金面からこのAIの基盤のシステムの開発しか出来ず、後の家庭への必要な自然エネルギーの媒体の接続、販売、説明などの人件費や色々な問題は大企業に任せるようになってしまったが、それも些細な問題だろう。
これから俺はもっと画期的な開発に着手する予定なのだから。
この家族旅行はその息抜きみたいな物だ。
まあ、この旅行中にも新たな開発をするべく旅行鞄には各種必要な材料を入れているのだが・・
俺がそうこう考えて居ると、待ちきれないのか妹が階段を上がってくる音が聞こえる。
「もうー、早くしてくれないと本当に間に合わないよー?」
バン!っという音がしそうなくらいの音と共にそんな声を響かせながら妹が入ってきた。
そして、次に俺が未だ布団の主に成っているのを見たことで妹は過激な行動に出た。
まだ、半袖にパンツ一丁の状態の俺の布団を強引に引っぺがしたのだ。
「えい♪」
すると当然朝に元気なご挨拶をしている息子が顔を覗かせる訳で・・・
それを目撃した妹は・・当然の如く・・
「きゃああああ!!」
という悲鳴のあと、お約束とばかりに俺の顔面に鉄拳をお見舞いして下に降りて行った。
そして、俺は殴られた拍子にこれまたお約束のベッドの角に頭をぶつけて気を失った。
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目が覚めたら森の中にいた。
しかもパンツ一丁に半袖の状態で隣には俺が事前に用意した太陽電池、タブレット型のパソコンの入った旅行鞄。
そして、ヴァーチャル召喚ゲームの他ゲーム併用型ゴールドカード達述べ凡そ50枚とカード実体化式デッキ装着キットとAIパッド(これを使えば外国でも会話に困ることは無い位の多数の国の言葉を収録した端末だ。)。
次世代携帯端末である俺の開発したAIフォン(ブレスレット型の本体と指輪式の端末で1セット。端末の方を主に使用。本体は編集用)。
そして、俺お手製のホログラム投影機。
伊達に電子工学科をこの歳で卒業したわけではない。これだけの物を開発できるから卒業を許されたのだ。
っと話がされたが、俺はどうやら知らない所に拉致されたようだ。 決して迷子になったわけではない。
気付いたらここにいたのだから違う筈だ。
さて、そんな事を考えてる間にガサ!っという何者かの足音が聞こえる。
これはどうするべきか? 取りあえず隠れるか...
そう思って旅行鞄から替えのズボンを取り出して履くと隣の木の裏に隠れて様子を見る。
するとと向こうから誰かがこちらへ歩いてきた。
俺はこんな所に誰だ?と思い、そいつの顔が見える位の距離に近づくと・・・
すっげー美人の女の子だった。
見える範囲だが色白で清楚な雰囲気が漂っている。
髪は青味がかった黒だが、目はよく見えないが漆黒だ。
そして、日本のアイドルグループのアイドルよりよっぽど可愛くて綺麗だった。しかも何故か耳が少し長い。
身長も俺が160センチの事を考えると170は有るかも知れない。
それに額に変な宝石を埋め込んでいるのが気になるし、背中も色っぽく開いてるのが少し違和感があるが、凄い俺好みだ。
しかし、あんなに背中を開ける必要があるのか?それにあんなに長い耳の人種っていたっけ?
しかも民族衣装か何か知らんが変な衣装だし。
言ってみれば肩に紐を掛けないワンピース?ってのがピッタリな衣装だ。
ココは地球じゃないのか?おかしいな?さっきから分からない事のオンパレードだ。
俺は何人か知らんが女の子に話を聞くべく声を掛けたが・・・
「失礼?ココが何処か分かりますか?」と言う俺の質問に
イキナリ現れた俺にビックリしたのも一瞬で、女の子は少し小首を傾げた後
「%&(%>?*、”(’%#$#$」と訳の分からん事を喋リ始めた。
俺が分からんとジェスチャーをすると、また女の子が首を傾げて。
「&”%$#、”%#(#)#」と手で行先を教えてくれた。
俺はその薦めに従って、荷物を担いでから女の子の後について歩いた。
そして、着いた先は辺鄙な田舎の村だった。
その小さな村に見た目凡そ100人からの村人があっちこっち行き交っている。
ここでまた不思議が有った。今度の村人は普通の衣装をした普通の村人だった。
まあ、髪が色んな色に溢れていること以外は、だが。
言ってみれば戦争時の日本人の衣装だ。
背の高さもまちまちだが、平均的に160に収まっている。
これで再度ここが日本の集落である可能性が浮上した。
だが、俺の家の近くにはこんな辺鄙な集落は存在しないのだが?
やはり何かおかしい。その俺の珍しそうな顔が面白かったのか、女の子が俺の肩をトントンと叩き先へ行って良いか確認して来る。
俺はそのジェスチャーに頷きながら
「おう、頼む。」
と通じているのか分からん日本語で話しかける。
その言葉が通じているかは定かではないが、女の子は微笑ながら
「&$%’(」と手で行先を示した。
俺はそれに従いまた歩き出す。
しかし、この村はどうなっているのだろうか。
見た感じ畑や田んぼなどの農業をする土地や、金属を打つ鍛冶屋などは見えるが、クルマも無ければ自転車も無い。
しかも上下水道が通ってないのか井戸からの水で生活しているようだ。
しかし俺の目で見ても山の麓近くに川が流れているし、農地を耕す馬も持っているようだ。
これから考えて、ここはもう日本の何処かと言う可能性は消えたかもしれない。
今の日本にこのような生活をしている集落があるという記憶は俺の中には存在しない。
言葉が分からなかった事からも中国や韓国の可能性も消えているし、女の子の耳が少し長かったからアフリカ大陸の何処かに来た可能性もあるが、それも定かではない。
そんな考えの元、一軒の他とは少し大きさの違う民家が見えた。
恐らくは村長かあるいはこの集落の代表の者が住む家なのだろう。
俺はずれていた荷物を担ぎ直すと、女の子の後について家に入った。
「&&%$&()’&%%」
家人が女の子を出迎えに来たが、また女の子と同じような人種の今度は男性だった。
「%&)(’)&)%’($(&」
また分からない言葉で会話が始まる。
やがて男性が隣の家に入ったて行き、可愛らしい中学生くらいの女の子を連れて戻ってくると、その女の子に
「#&$%))^-()」
と何やら事情を話し始めた。・・・それから約1分。
頷いた女の子の手がイキナリ輝きだして、俺の知る限りでは漫画やアニメに出てくる魔法陣と言った方がしっくりくる幾何学模様の円形の模様を浮かび上がらせたのち、その中から一つの正露丸によく似た丸薬が出てきて、それをこちらに持ってきて口に入れろと言うジェスチャーをしてくる。
俺はその指示通りに丸薬を口に含むと、体の奥で何かが弾ける感覚がした。
そして、その影響かどうかは分からんが、辺りの会話が聞こえるようになった。
「あ、そろそろ言葉も分かるようになったんじゃないの?あたしの魔法薬は特別製だからね?」
「ふふ、リンナちゃんの開発する魔法薬が特別製なのはみんなが知ってますよ?今更です。」
「ブー。なによー、自慢したいんだから自慢させてくれても良いじゃない。」
「ふふ、分かりましたよ。存分に自慢してください。ふふふ・・」
「うわー、カリンちゃんのその言い方なんかムカつくのよねー?」
ふーむ、なにか俺の知らない所で盛り上がってるな?
会話が出来るのなら俺も混ざらせて貰うとしようか。
そう言う事で俺は会話途中の二人に割って入ることにした。
「だいたいサー。・・・」
「すいませんが、ここは何処でしょうか?何故か家のベッドで寝ていたらあの森にいて、そこのお姉さんについて来たら俺の知ってる景色が無いのでビックリしているのですが?」
「え?そなんだ?」
「ええ、私もいきなり変な言葉で話しかけられて吃驚したんです。なのでリンナちゃんに【通訳丸】を作って貰おうと思って村長さんに呼んできて貰ったんです。」
ほうー、今の薬?は通訳丸と言うのか。
待てよ?なら薬って事でこの効果も時間が経てば消えるのか?
「ねえ、今のが何かの薬ならこの会話が出来るのは今だけ?」
「?ううん?・・・あ、そうかさっきの魔法薬を知らない人ならその勘違いも無理ないね。」
そういって「うんうん」と頷きながら俺に目を移し。
「お兄さんが何処から来たのか知らないけど、ここはトルカ村っていうアーシア国の北の外れにある長閑な村だよ?さっきの森の奥にある迷宮から流れてくる魔物以外は平和な村だね。まあ、流れて来るって言っても地上にいる魔物は一番強いのがブラン(子鬼)位、厄介なのがべトン(スライム)が居る程度だけどね?さっきの魔法薬はあたしがココに住んでからこの村の特産品になった魔法薬だよ。あたしの特殊魔法で効果は数年持続するから外国に行くことが多い商人はよく仕入れに来てるよ。」
俺はリンナと言う少女が自然に言ってるので危うく聞き逃すところだった。この子、魔物とか言ったぞ?
まさか、ヴァーチャルテレビゲームの世界じゃあるまいし、化け物みたいな動物が存在する訳ないだろう。
だが、今言った村の名前は兎も角。俺の記憶に遺跡と言う物が有るのは記憶に有っても迷宮と言うのはあまり記憶にない。
国にしてもそうだ。アーシア国ってのは初めて聞く国の名前だ。
俺は一応の確認と言う意味で俺の知ってる世界の常識をこの子達に聞いてもらう事にした。
他にも魔法薬とか魔法とか、ゲームでしかない物が色々と会話に出てくるが、其れよりはここが何処なのか知る必要がある。
「ねえ、この国、というかこの星は地球で合ってるの?」
「んん?地球ってなに?」
え?ここやっぱり地球じゃないのか?
「この星はミネルバっていう名前だよ?誰が付けたかは知らないけどね?まあ、あたしが生まれる前の事をとやかく言っても何にも成らないから必要ないけどね?・・他にも聞きたそうな顔してるね?この際だから迷子にはきちんと説明して上げるよ。・・・ほれ、お姉ちゃんにいってみな?」
このガキャー!さっきはお兄さんって言っといて、今度は自分がお姉さん気取りか!
まあ、分からん事が有るのは否定できんから聞かないと成らんのだが・・・
「じゃー、日本って名前の国は有る?」
「無いわね。少なくともこの大陸には存在しない。」
なるほど、これで地球の可能性が・・いや、まだだ。
地球で生活していたら必ず使う物。
「じゃあ、電気や水道を引いてる所は有る?」
「・・電気ってのが先ず疑問ね。雷属性の事かしら?それなら水と風の魔法をある程度使える者なら使えるよ?・・ってどうしたの?」
俺が頭を抱えていたらリンナに心配された。
うう、仕方ない。また後で外に行ってカリンに確かめてみよう。
それとは別にこの世界の事だ。
「んじゃー、この世界の事で、さっきの話に出てきた魔法薬ってのは何?」
「あれ?まさかそこからだったの?」
俺の質問に途端に驚きの表情になるリンナ。
しかし、何故か嬉しそうな表情になって説明しだした。
まさか、コイツさっきからの事と言い、説明キャラだったか?
「良い?さっき君に渡した魔法薬は、魔法と呼ばれる摩訶不思議な力によって製作者が独自の魔法を篭めて使った物なの。私が使える魔法は大まかには二種類。
一つが治療を専門にした回復系統の魔法。
もう一つがさっきの魔法薬で使った特殊魔法。
そこにいるカリンちゃんはその見た目に惑わされるけど、単体規模から大規模な物までの攻撃魔法が使えるわ。
まあ、カリンちゃんの場合は【魔道具作成】のスキル、言ってみれば技術ね?が使えないから他の村の人に武器として貸してあげる事が出来ないけどね?貸して上げられたらカリンちゃんの負担も随分と減るんだけどねー?」
フムフム、ココまで聞いただけでも俺は何処か知らない世界に神隠しで迷い込んできたようだ。
それなら魔物やら魔法やらも説明が付く。納得はいかないが・・
「なら、魔法は誰でも使えるの?」
「・・・これまた、これまたな質問ね。」
俺の質問にリンナが頭を抱えだした。一体どういう事だ?更に説明は続く。
「いい?この世界で魔法を使えない人は其れこそ何万と居るけど、自分が魔法を使えるかどうか知らない
人は殆ど居ないわよ?魔物が出てくるような場所に行けば簡単に手に入る感応石で簡単に調べられるんだから。・・まあ、後天的に使える様になる人も何人もいるけどね?」
むぅ~、そこまで当たり前の知識なのか。
これは是非とも俺にもあるかどうか確認したい。
なので、序とばかりに俺の魔法の才能を調べて貰う事にした。
「ねえ、その感応石ってのは今あるの?」
「いいえ?普通の町や都市には有るけど、こんな辺鄙な村に常時は置いてないわ?君が出てきた森には転がってるけどね?」
「なら、取ってきたら使い方を教えて?」
その言葉にリンナは呆れた表情になって・・
「取ってきたらって言っても、どんな石か分からないでしょうが・・・。あたしはあんな魔物がでる森には行けないから、如何しようかな~?」
といいながらカリンの方を流し目で見るリンナ。
なるほど、当たり前の様な石ならカリンでも分かるって事か。
そうして、俺がカリンに付いてきてくれるように頼もうとした所で、意外にもカリンの方から手伝いを申しでる発言をした。
「あ!なら、私が付いて行って上げますよ。序に属性と魔力の量を調べる位なら私にも分かりますから。・・その代り。」
そこで何故か言いよどむカリン。
「代わりに私の仕事を手伝ってくれませんか?」
「仕事って?」
場合にも依ると思うが、イキナリの申し出だ。
「ああ、簡単な事ですよ。リンナちゃんの開発したこの探知石を持って付いて来てくれればいいだけです。」
そう言いながら胸の中から拳大の石を取り出す。
何処に挟んでいたかは聞かないことにしよう。
「この石は両手で持たないと効果が無いのですが、この石を持っていると私が魔法を使えなくなるんです。なので単純に人手が欲しいんです。さっき貴方の近くに行ったのはこの石が案内してくれたお蔭です。」
「ふーん?んで?使い方と効果は?」
「この石を両手で持つだけです。すると魔力がある者が半径100メートルの位置に居る場合はその方向がビリビリした感じで解かります。・・あ、危険は有りませんから、安心してください。」
ふーん?
どういう理屈なんだ?
俺の疑問を察知したリンナが説明を開始した。
やはり説明好きのようだ。
「これはね?魔力を受け取る形に成ってるの。相手が何者であれ、この世界の生き物に限らず魔力が宿る物ならその相手を思い浮かべれば相手の方角も分かるけど、分からない物相手でも魔力のある者ならその方向を教えてくれる物よ?仕掛けは帰ってから話すけど、これも私の特殊魔法の効果をこの石に【魔道具作成】で付け加える事で出来た私の作品よ。・・・これ位の説明でいいかしらね?きみ・・そう言えば君の名前を未だ聞いて無かったけど、・・名前は?」
ホントに今更だな。
まあいいか、知られて困る物でもないし。
そう思い、俺は名乗ることにした。
「俺は沖田啓太だ。生憎と知らん事ばかりだからよろしく頼む。」
「・・名前が分かったのは良いけど、話し方も違和感が無くなったわね。その話し方が本来の話し方?」
俺の名前のあとの一言が地に戻った所で早速気付かれた。
「ああ、なるべく初対面の奴には丁寧な奴と思わせ、油断をさせるのが俺のやり方なんだが、失敗したな。」
「あら、あたし等にはそんな事しても無駄よ?何故なら見知らぬ者って時点で少しは警戒をしてるんだから。今も君がさっき言った事を鵜呑みにしてる訳じゃないしね?・・・カリンちゃんはどうか分かんないけど?」
「ああ、私は別に警戒も何もしてませんよ?私は種族柄魔力を色で判断し良い人か悪い人か大体は分かりますから。それを確認できないリンナちゃんは警戒をしてますけどね?」
「種族柄って?」
俺は気になる単語にすかさず食いついた。
「種族って、やっぱりその空いた背中に関係があるのか?」
「ええ、私は昔むかしにこの村に捨てられていたエルフなんです。その証拠に膨大な魔力と、この背中の魔羽を出す穴、魔力の色を見られる特別な眼、攻撃性のある魔法しか使えない点が上げられるそうです。」
「そうなの。んで、カリンちゃんは大きくなって拾ってくれた恩返しがしたいってこの村に住まわせて貰ってるらしいの。前の村長との約束だから、もうそんな義理は無いんだけど、カリンちゃんは律儀だから・・もう100年近くに成るそうよ?その所為で国からのスカウトも断ってるしね?」
は?どう見ても15.6にしか見えないが?
俺の顔で心情を察したリンナが苦笑しながら・・・
「カリンちゃんの種族は美形の長寿で有名なのよ。そして、さっきカリンちゃんが言ったように魔力が膨大だからこの村の守護者的な役割になってるわ。・・・そうだ、あんた等はさっさと石取って来なさいな。何時まで話をしてても前に進まないわよ?」
「・・っと、そうだった。・・んじゃ、案内頼む。」
「頼まれました!」
そう言う事で、俺たちは感応石を探しに再び森に向かうのだった。