第四話 友人-レイ
学校のチャイムが昼休みを知らせる。
「トウゴ、お前ピアス開けたんだって!?あの真面目そうランキング上位のお前が!?って軽く噂になってるぞ?」
友人が話しかけてくる。
「噂って…この学校ではアクセサリーが許可されてるんだぞ。あと、これはピアスではなくイヤリング。」
「皆んな、驚いてんだよ。そういうのに無縁そうなお前が付けてるって。」
「そうか。それはそうと、今から空き教室来れるか?話がある。」
「なんだ?告白か?」
「違う。」
―――
「それで?こんな人気のないところで何話すんだ?」
友人が不思議そうに聞いてくる。
「…出て良いぞ。こいつは大丈夫だ。」
教室中に光が満ちる。
「眩し!どうしたんだ一体…?」
友人が目を開けると…
「こんにちは!異世界から来ました、ヘルメースです!」
「えっと…トウゴ?これはどういう…」
「コイツはヘルメース。異世界から来た奴で、俺に勇者に成ってくれと頼んできた。」
「ヘルメース、こいつはレイ。小学校からの幼馴染で、良い奴だ。」
(こんなもんでいっか。)
「良い奴って、説明雑すぎだろ!」
「あら、お気に召しませんでしたか?」
「お気に召しませんでしたよ?てか、お前が勇者って、似合わねーw」
「…うるせぇw」
「でも勇者かぁ、良いなぁ。俺も成りてぇなぁ。」
「良かったらなります?勇者に。」
「えっ?」
俺とレイは同じ反応をしていた。
「あれ?言ってませんでした?」
(んだよそれ…)
「言ってねぇよ…」
「じゃあ、俺もなれるのか!勇者に。」
「えぇ、早速放課後に行きましょうか!」
(俺だけだって…―――)
―――
放課後の異世界。
昨日と同じく青い空の下に草原が広がっていた。
「おおー!ここが異世界か!テンション上がるなぁ〜!」
「異世界で油断してるとすぐやられるからな?」
「分かってるってw」
「レイさん、すみません。武器なんですけど木刀しかなくて…」
「全然大丈夫だよ!むしろ用意してくれてありがとう。」
「一応魔術はかけておきましたが…」
「へー?どんな魔術…軽ッ!?」
「レイさんが握ると腕の筋力が上がる魔術です!」
「へー?これ木刀が軽いんじゃなくて俺の筋力が上がったのか…面白い!」
「…ヘルメース。今回の魔獣はどこにいるんだ?」
「魔獣ですか?今回もあの森に行きましょうか。」
―――
昨日と同じ森。
急いでたから分からなかったが、全体的に暗く、薄気味悪いとこだった。
「おっしゃー!やってやるぜ。」
(これだけやる気があるなら、やっぱり最初からレイに頼んどけば良かったんじゃないか…)
「…とうごさん」
ヘルメースが俺にだけ聴こえる声で話しかけてきた。
「私にとっての勇者はとうごさん。あなただけですよ。」
「それはどういう…」
ヘルメースを見ると、イタズラにはにかんだ笑顔だった。
不思議とこれ以上聞く気にはなれなかった。
「あれか?」
レイの声で戻ってくる。
(そうだ、今は勇者の仕事中だった。)
―――
「今回のは猪のようですね。」
黒いイノシシが草むらを弄っている。
「生態系ってどうなってるんだ?」
レイが聞く。
「魔獣は魔法で出来ているのでそういうのは関係ないんですよね。」
(レイは色んなとこに気付くんだな。)
「私たちはもしもの時の為に草むらで見守ってますね。」
「あぁ、任せてくれ!」
レイが魔獣の前に仁王立ちする。
「さぁ魔獣!こい!」
「レイさん!戦うなら初めは奇襲を…」
「へっ?そうなの?」
すると、魔獣がレイ目掛け突進してきた。
「レイ!」
間一髪で避けるのに成功した。
「あぁ、もう。心配だな。」
戦う準備をすると。一つの音がが聞こえてきた。
「ヒュンッ!」
レイを見ると見事に魔獣を討伐できていた。
(ひとりで…)
「レイさん凄いですね!初仕事で一人で倒してしまうなんて!」
「へへ!この時のために小さい頃剣を振るう練習をしてたからな!今もだけど。」
自分の手を見る。動くことすらなかった自分の手を。
(やっぱり、レイの方が勇者に相応しいな。)
こうしてレイの初仕事は大成功で終えた。




