⑱ 京子の気がかり
カグヤが成雪を連れ帰った事をきっかけに、会はお開きとなり、メンバーは皆、三々五々と帰って行った。
まるでそれは、雪村のクローンのお披露目が、その日のメインイベントだったかのようだった…いや、実際、そうだったのだが…。
最後に亜空間レストランに残されたのは、サン・ジェルマンと、村田京子のカップルだった。
「私、気になることが一つ有るんだけど…。」
それまでずっと黙っていた、京子が彼に語りかける。
「あの雪村のクローン、ひょっとして、本人と同じ事が出来るのかしら?」
「正直に言えば…そのポテンシャルは、有るはずです。遺伝子操作で、見た目の差異は作ったものの、中身の劣化はさせておりませんから。」
「…ねえ、ソレって、危なくないの?」
「全く危険が無い…と、言えば、ウソになりますね。しかし、例のチカラは、彼が四次元人に憑依された事がきっかけで、発現したモノですから…。」
「そう…なら、イイけど。どうか成雪クンが、四次元人に目を付けられませんように。」
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一方その頃…惑星ニビルでは。
娘のカグヤが、また別の男性を連れて帰って来たので、彼女の両親は流石に心配になって来た。
「今度のは違うの、遊びじゃないのよ。本気の彼氏なの!」などと本人が力説するから、余計ヘンな感じになるのである。
伯爵によってクローン生成された、言わば人工ニンゲンの成雪は、現在ブランク状態…つまりは中身がカラッポであった。
なので当面のカグヤの仕事は、彼の脳ミソに、ドンドン知識を蓄えさせる事であった。
それは、将来の自分のパートナーを、自分の手で育て上げるという、男女の立場が逆転した、まるで"光源氏と紫の上"のような関係なのであった。
もちろん、惑星ニビルの科学力は地球より遥かにレベルが高いので、知識の注入は、専用のマシンを使用すれば、あっと言う間だった。
ただ、カグヤにはコダワリが有り、大切に思う事は、彼に手作業や口伝てで、伝えたいと考えていた。
例えば、こんな具合だ。
「アナタの名前は、真田成雪。」
「ボクの名前は、サナダナリユキ。」
「私は、カグヤ・イシュタル。アナタのパートナーよ。」
「アナタは、カグヤ・イシュタル。ボクのパートナー。」
「私とアナタは、これからも、ずっと一緒に居るのよ。」
「ボクとアナタは、ずっと一緒。」
「愛してるわ。」
「アイシテル。」




