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「カグヤと彼氏と日本史の謎」(セーラー服と雪女 第21巻)  作者: サナダムシオ


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⑰ 最愛の彼に入力を

「…いかがですかな?」

 少し得意気な顔のサン・ジェルマン。


「いかがですかな、じゃないわよ!」

 弓子は、引き続き怒っていた。

 私は聞いてないわよ?こんなの!


「そうですね。事前に弓子さんにも、賛同を得るべきでした。済みません、私のミスです。」

 伯爵は、直ちに過失を認め、速やかに謝った。


「謝られたからって…もう、どうしようもないじゃないの!」

 弓子の怒りは収まらない。


「済みませんでした。私のワガママのせいなんです。」

 そう言うカグヤの事情は、先程聞いたばかりだ。

「だからって…こんなの…ズルい。」

 弓子の声が段々小さくなる。


 今回の場合、花婿第二候補だった宮本武蔵を亡くし、途方に暮れていたカグヤの事を見かね、ついウッカリ、"私なら、その悩みを解決できそうだ"と口を滑らせたサン・ジェルマンがワルイ…のだろう。


 彼の、マッド・サイエンティストとしての、血が騒がなかったと言えば、ソレは嘘になる。

 彼自身、機会があれば、ソレを…人体のクローン生成を、いつかやってみたかったのだ。


「この雪村君2号には、敢えて本人との差異を設けてあります。それは、見ての通り、髪色とホクロ、そして寿命は、カグヤさんに合わせて、テロメア調整で300年に伸ばしてあります。」


 弓子の事は取り敢えず置いておいて、カグヤに説明する伯爵。


「ですからカグヤさんは、彼を惑星ニビルに連れ帰って、どうぞお二人でお幸せに。ただし、この惑星ガイア…つまり地球での活動は、今日この場が最後です。それなら、よろしいですね、弓子さん?」


 サン・ジェルマンにそう言われた弓子は、「…それなら。」と、渋々承知したのだった。


「あと、この雪村君2号は、基本的に、まだ中身が空っぽの、赤ん坊のようなモノです。ですから、あらゆる知識のインプットは、カグヤさんの肩にかかって居ます。彼が今後どんな人物になるのか、責任重大ですよ?」


「よく分かって居ます。ソレを承知で、無理を言って伯爵にお願いしたのですから…この度は、本当にありがとうございます。そして、弓子さん、驚かせてしまって、ごめんなさい。もう彼に会わせる事も無いから、安心してね。」


「分かったわ。きっと約束は守ってね?」

「大丈夫ですとも。」

 カグヤはそれを請け負った。


「さてカグヤさん。折角ですから、彼を連れて帰るにあたって、最後にみんなの前で、彼の名を決めて頂けますか?」


「はい。もう決めて来ました。真田雪村2号の今日からの名は…。」

 なぜだか皆、固唾を飲む。 


「…成雪・イシュタルとします。成り行きでワタシのところへやって来た、というダジャレなんですけどねっ。」

 そう言ってカグヤはテヘペロした。


 どうやら彼女は、歓喜の余り、ヘンなテンションになっているようだ。


 そこに居合わせた一堂も、ソレを見て、どんなリアクションが正しいのか、もはや分からなくなっていたのだった。


 ともあれその後、カグヤ・イシュタルは、"雪村2号改め成雪"を、無事、自分の故郷の惑星ニビルへ、連れて帰って行ったのである。


 そんな訳で、紆余曲折あったが、結局、最初の彼女の願いが、曲がり成りにも叶う事となったのだ。



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