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「カグヤと彼氏と日本史の謎」(セーラー服と雪女 第21巻)  作者: サナダムシオ


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13/24

⑬ 漁師宅にて

 カグヤがその青年について行くと、やがて海辺の、小さな小屋にたどり着いた。


 どうやら彼は、村から少し離れて暮らしているようだった。まあ、この際、個人の事情は突っ込まないでおこう。カグヤはそう思った。


「小ぢんまりして、可愛らしいお住いね。」

 カグヤは取り敢えず御世辞を言ってみる。


 確かに小さな家だったが、部屋の設えや、調度品から察するに、恐らく最近まで、彼の両親と暮らしていたらしい感じがした。


「今日はもう、夜も遅いから、泊まっていくといい。」

 彼は、カグヤが期待した通りのセリフを口にした。


 ソレは、絶対ナニかしてやろうという、下心見え見えの提案だったが、彼女は、あえてそれに同意したのだった。


「ご親切にありがとうございます。お言葉に甘えて、今夜は、馬小屋の軒でも、貸して頂けたらと思います。」

 

 イヤイヤここで一緒に寝るんだよと、彼が布団と枕を並べて、カグヤを誘う。

 全く、恐れを知らぬにも、程が有るという話である。


(イイ度胸してるじゃないの?私の夜のお相手が務まるのは、宇宙広しと言えども、宮本武蔵様だけなのよ!)カグヤはそう思ったが、黙って布団に入った。


 翌朝、案の定、漁師の青年は、立たち上がる事が些か困難に感じるくらい、疲労困ぱいの様相を見せていた。それでもまだ、過労死しなかっただけ、良く健闘したと言えよう。


 そんな訳で、カグヤは安々と、彼から黒いリングを取り返す事に成功したのだが、興が乗ったので、なんとこの青年を、惑星ニビルに招待しようと考えたのだ。


 彼女は、リングですぐにミケーネの船を呼び出し、漁師の青年の手を引き、昨夜の海岸に向かった。


 するとそこにはもう、彼のオレンジ色の円盤が到着していた。例によってミケーネは、光学迷彩を使用していない。それが良くなかった。

 

「アレが船なんだけど…。」

 と、カグヤが指差すところでは、早朝にも関わらず、近所の悪ガキどもが、4〜5人で船を囲んで、棒切れを使って、ツンツンしていたのだ。


 それはまるで、巨大な亀をイジメているように見える、独特の光景だった。


「こらーっ!」

 せめてものカッコつけなのか、青年が怒鳴って、子どもたちを追い散らした。


「やあ、どうもありがとう。」

 巨大な亀が喋った…ように見えた。

 実際には、船内のミケーネが、スピーカーを使っただけだったのだが…。


 二人で宇宙船に乗り込むと、すぐにカグヤのリクエストで、惑星ニビルへ出発した。


 青年には、さぞ"器用に色々なボタンを操作する猫"という印象を持たれたであろう。 色々と後々説明が面倒になりそうなので、ミケーネは船内で黙っていた。



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