① 宮本伊織
さて、物語の進行の都合上、放置していたメンバーについて、ここから触れて行こうと思う。
それは、サン・ジェルマンチームの補欠(?)カグヤ・イシュタルの、その後についてである。
惑星ニビルからやって来た、元輝夜姫の彼女は、ひょんなことから、地球の宮本武蔵と恋仲になり、たった一夜の情熱的な行ないのせいで、子どもを授かる事になった。(詳しくは第18巻を参照)
子どもの名は宮本伊織。彼は鳥族の進化形の、カグヤの遺伝子を半分受け継いだため、成長スピードが、地球人の3倍の速さだった。
そのため、あっという間に身長160cm程になり、そろそろ武蔵様にお披露目しなくちゃ、と母親のカグヤは、ある日思ったのだ。
そこで、かねてからの約束通り、猫族の王子ミケーネを呼び出した。
ミケーネはすぐに、時空転位装置付きの宇宙船に乗って、カグヤの元にやって来た。
そしてカグヤは、実家の両親に別れを告げ、息子の伊織と共に宇宙船に乗り込み、一路、惑星ガイア…つまり地球に向かったのだった。
時に西暦1626年7月17日金曜日。
時刻は午前9時00分の事である。
ミケーネの宇宙船は、現在で言うところの、明石市の海辺に降りた。
たまたまそこに居合わせた、村の人々がザワザワ言う中、船を出るカグヤと伊織。
「これ、光学迷彩無しで、大丈夫なの?」
今更心配になって、ミケーネに尋ねるカグヤ。
「ああ、どうせまた、"虚ろ船"として、記録されるだけですよ。大丈夫。大したモンダイじゃありません。」
ミケーネは余裕の笑みだ。
「じゃあね。ミケーネ君、ありがとう。」
「また、お迎えが必要な時に、呼び出してね。それじゃあ、また!」
ミケーネが手を振って船内に戻ると、彼の船はすぐに、空の彼方へ消えて行った。
多分、帰るついでに、1991年の真田由理子のところにでも、寄るつもりなのであろう。
カグヤは伊織を連れて、ただちに宮本武蔵の居る、明石藩の中心部に向けて、移動を開始した。
この惑星のこの国、この時代については、事前に学習済みである。
よって、二人の服装や振る舞いには、何らモンダイ無いはずだったが、久しぶりの地球という事もあり、少しギクシャクした感じで、歩いていた。
「あと少ししたら、いよいよ父上にお会い出来るのですね?」
緊張感を感じながら、それ以上に、ワクワクしている伊織。
「そうよ。もうすぐだから。お会い出来たあかつきには、しっかり挨拶をするのよ。」
カグヤは彼に念を押して、そう言ったのだった。




