第八話:異世界の闇と暴走する特権
海洋都市トリトンの遥か東、スルベニア王国。
勇者パーティの五人、神崎傑(勇者)、如月さやか(剣聖)、南ゆかり(聖女)、佐々木翠(魔法士)、大神健(拳闘士)たちは、王国の騎士団の監督の下、訓練の一環として、魔物の巣窟である**ダンジョン**に挑んでいた。
「くそっ、やっぱり剣だけじゃ駄目だ。もっと魔法の練習をしねぇと!」
神崎のリーダーシップと、さやかの鋭い薙刀、そしてゆかりと翠のサポートにより、パーティは着実に力をつけ、チームとしてまとまりを見せ始めていた。他の戦闘向きではないクラスメイトたちも、ダンジョンの外で、各々のスキルを使って献身的に彼らを支えていた。彼らは皆、**魔王討伐**という大義を信じている。
しかし、全ての召喚者が同じ行動を取っていたわけではない。
クラスメイトの中でも一際異端だった**ヤンキー連中**──男三人、女二人の計五人──は、勇者パーティとは別行動に出ていた。
彼らもまた召喚者であり、それぞれ大剣使いやハンターなどの戦闘系の職業を与えられていた。魔法を使える者もおり、その力は侮れない。
彼らが目指したのは、王国領内にある獣人族の小さな砦だった。
「ようし、てめぇら!騎士団にやり込められた借りを、ここで返してやるぜ!」
彼らの力は異世界でチート級に跳ね上がっており、その力と暴力性は元の世界以上に増幅されていた。
ヤンキーたちはあっという間に砦を落とし、勢いそのままに近隣の村を蹂躙し始めた。
「さっさと金目のものを出せや!」
「抵抗すんなよ、おら!」
男たちは力の劣る獣人の娘たちを犯し、女たちは金品や宝石を略奪した。彼らは、異世界で得た力を笠に着て、自分たちが王侯貴族のように振る舞うことに、快楽を見出していた。
その報告がスルベニア国王にもたらされたとき、勇者パーティの五人は激しく抗議の声を上げた。
「なんてことを!彼らは犯罪者です!すぐに捕まえて罰するべきです!」(神崎)
「蓮がこんなことしたら、私が絶対に止めたのに……」(さやか)
しかし、国王の決定は冷酷だった。
「静まれ、勇者たちよ!彼らは、我が王国にとって最も厄介な蛮族を排除した**功労者**である!彼らの行為は、国家の決定として是とされる!」
勇者たちの抗議は完全に退けられ、むしろ国王は、ヤンキーたちの行為を「軍事的な成果」として公然と讃える始末だった。
この出来事は、勇者たちに深い衝撃を与えた。この世界は、彼らが想像していたような「正義と悪の物語」ではない。
そして、神崎の隣に常にいる王女は、この国の闇を知りつつも、その優しさと美貌をもって、徐々に勇者たちを洗脳していく。
「勇者様。この世界では、小さな犠牲は必要悪なのです。大切なのは、魔王を倒すという大局。あなたは、もっと王としての視点を持たねばなりません」
王女の甘い言葉は、神崎の正義感を蝕み、王国の都合の良い英雄へと変貌させていくのだった。
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