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転生幼女吸血鬼異世界放浪記  作者: るうと280
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第六話:海洋都市トリトンと再会

⚓ 海洋都市トリトン


ノア・ノストラヴァの馬車が目指したのは、海洋国家ポセイダル連合王国の中でも有数の大都市、海洋都市トリトンだった。


強固な城壁に守られたこの都市は、海へと大きく開かれており、港には巨大な帆船や、漁師たちの小さな漁船がひしめき合っていた。潮の香りと共に、人々の活気ある声が響き、活気に満ちている。


その都市の城門を、一際目を引く真っ黒な馬車が潜ろうとしていた。


馬車には蝙蝠を模した特徴的な意匠が施され、御者席には銀髪の完璧な執事服を纏ったアルベルトが座っている。窓は厚いカーテンで覆われており、内部を窺い知ることは誰にもできない。


---


城門の衛兵は、見慣れぬ黒い馬車に警戒し、入場の手続きで多少揉めていた。ノアは馬車の中で、そのやり取りを静かに聞いていた。


その時、外の喧騒が一気に高まる。


「道を空けろ!領主様のご一行だ!」


立派な鎧に身を包んだ騎士たちの一団が、外から城門へと近づいてきたのだ。騎士たちの後ろには、数台の馬車が続く。


その中に、ノアが先日街道でゴブリンから助けた、装飾の立派な馬があるのをアルベルトは確認した。


騎士団の一人が、門番とのやり取りを終えたノアの馬車に近づき、アルベルトと何やら短い会話を交わしたようだ。


騎士は、ノアの馬車の存在を衛兵に明確に伝えた。


「そこの馬車は、領主令嬢のお客様だ! 速やかにお通ししろ!」


衛兵たちは驚きつつも、すぐさま門を開けた。


貴族の機転


騎士は、ノアの馬車が門を通過する寸前、馬車の窓に素早く近づき、声を潜めて告げた。


「あの、お嬢様が、先日は命を救っていただいたにも関わらず、お礼も申し上げられず、大変失礼いたしました。お嬢様が、城でぜひお礼を申し上げたいと申しております。我々が先導いたしますので、このまま城の方へお越しください」


ノアは馬車のカーテンの隙間から、その騎士の顔を見た。真面目そうで、誠意が感じられる表情だ。先日助けた令嬢、あるいはその家族が、ノアの素性を突き止め、感謝を伝えるために機転を利かせたのだろう。


ノアは、静かに返答した。


「承知しましたわ。アルベルト、この方達について行きなさい」


「はい、お嬢様」


アルベルトは深く一礼し、手綱を握り直した。


---


黒い馬車は、騎士団に先導される形となり、人通りの多いトリトンの市街地を抜け、都市の中央にある領主の城へと向かった。


(領主令嬢の客、ですか。わたくしを客として城に招くとは、なかなか機転の利く貴族ですわね)


ノアは、胸元でミスリル製の鉄扇を小さく開閉させた。城という場所は、情報を集めるのに最も適した場所の一つである。彼女の流浪の旅の目的は、この世界の情勢を知ること。


「せいぜい、わたくしを楽しませてちょうだい」


幼女は、まるで全てを見通しているかのように、静かに微笑んだ。トリトンでの優雅な滞在が、始まろうとしていた。


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