表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生幼女吸血鬼異世界放浪記  作者: るうと280
50/51

第四十九話、魔王


悪魔将軍アスタロトの案内により、ノアたちは魔王城の最深部、「深淵の玉座」へとたどり着いた。


そこには、静寂のみが存在した。


重厚な扉が開かれた瞬間、ノアはかつて経験したことのない圧倒的な魔力の質量を感じた。それは、酸素さえも重く感じるほどの濃密な闇。


玉座に座る男、魔王ダンテ。

彼は、ノアと同じく幼い外見を保ちながらも、その瞳には宇宙の始まりと終わりを内包したような、底知れない知性が宿っていた。


ダンテが口を開く。その声は、空気を直接震わせる響きを持っていた。


「待っていたぞ、神祖ノア。貴様の存在を感じてから、我が数千年の退屈は霧散した」


ノアは、鉄扇を畳み、その赤と金のオッドアイで真っ向から魔王を見据えた。


(……驚きましたわね。この魔力、わたくしの真祖としての出力を上回っていますわ。まさか、この世界にこれほどの『底』が見えない者がいようとは)


ノアは、初めて遭遇した「対等、あるいはそれ以上」の存在に対し、恐怖ではなく、ゾクリとするような愉悦を感じていた。

(わたくしも人のことを言えませんわね。この場面に快楽を感じてしまうとは)


ダンテは玉座から立ち上がり、一歩、踏み出した。その一歩で、城全体の空間が歪む。


「ノア、貴様を我が伴侶に迎える。貴様の魔力、貴様の魂……それこそが、我が渇望していた唯一の均衡だ」


ノアは、優雅に、しかし冷徹に微笑んだ。


「お断りいたしますわ。わたくしは、誰かの隣に座るためにここへ来たのではありません。わたくしは、わたくしが望むままに世界を優雅に歩む。貴方のコレクションに加わるつもりはございませんの」


「……ならば、力ずくでわからせるまでよ。貴様が、真の支配者が誰であるかをな」


次の瞬間、会話は途絶え、世界が裂けた。


ダンテが指先を向けると、そこから「無」の波動が放たれた。触れるものすべてを消滅させるのではなく、「存在そのものを否定する」概念攻撃。


ノアは即座に反応した。


「甘いですわ!」


ノアは漆黒の魔力を盾にせず、逆に「因果を固定する」神祖の権能を発動した。ダンテの「無」が、ノアの「在る」という絶対意志に衝突し、二人の間で次元の火花が散る。


ドォォォォォンッ!!


魔王城の天井が消し飛び、空が紫黒色に染まった。

アスタロトやアルベルトですら、二人の衝突による魔力の余波に耐えきれず、跪く。


ノアは光速を超えた移動でダンテの背後を取り、ミスリル製の鉄扇を鋭い刃へと変えて振り下ろす。しかし、ダンテの周囲には「絶対不可侵」の領域が展開されており、鉄扇は空中で止まった。


「ふふ、これですわ!*こうでなくては、お相手をする甲斐がありませんわ!」


ノアの瞳が、高揚感でさらに輝きを増す。

対するダンテも、冷徹な仮面を脱ぎ捨て、狂おしいほどの歓喜の笑みを浮かべた。


「素晴らしい! 我が魔力を押し返す人間なりなど、初めてだ! さあ、もっと見せろ、ノア! 貴様の真なる深淵を!」


二人の魔力が激突するたびに、魔王城の周囲の地形が書き換えられ、大地は結晶化していく。それはもはや魔法の域を超えた、神々の権能のぶつけ合いであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ