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転生幼女吸血鬼異世界放浪記  作者: るうと280
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第四十八話:夜の女王

魔国との境界。ノアの「手短に」という言葉に対し、悪魔将軍アスタロトは、モノクルの下で愉悦の笑みを浮かべた。


「くくく、その魔力、やはり素晴らしい……! 魔王様が惹かれるのも当然です。私もこのまま、貴女の絶対的な力の虜になってしまいそうですよ」


アスタロトは、ノアの圧倒的な魔力に魅了されながらも、魔王の最強の四天王としての責務を果たすべく、最も効率的かつ優雅な試練を用意していた。


「絶対なる夜の女王、貴女の力を示すのにふさわしい試練をご用意いたしました。手始めに、この魔国を護る門*を、で突破してみてください」


アスタロトが指差した先には、古代の魔族によって造られた、数千年の時を経た強固な結界門がそびえ立っていた。並みの魔王軍の将軍でも、突破するのはかなりの時間が必要であろうと思われる、防御力の要だった。


アスタロトは、優雅にノアから距離を取り、深々と一礼した。


「貴女の邪魔はいたしません。さあ、その力をお見せください!」


その言葉の端々には、ノアへの畏敬と、試練を通して魔王への進言を為すという献身的な思惑が透けて見えた。


ノアは、アスタロトの目的が、門を壊させることではなく、己の力を誇示させることだと理解した。


ノアは、馬車の窓からロザリアとミリアに視線を送った。アスタロトの存在感は、二人の少女にも強烈な重圧を与えていた。


「あなた達とは、ここでお別れします。」

ノアは、静かに、しかし絶対的な命令を下した。


ノアは、御者席にいるアルベルトに声をかけた。


「アルベルト、二人を任せます。彼女達を無事に故郷に送り届けなさい」


「御意」


「いいですか、二人とも永遠の別れではありません。ここは一旦引いてくださいね。」

「ノア様」

「お姉様」

二人にはわかっていた。これ以上自分達は足手纏いでしかないことを。


「お待ちしております。いつまでも」

「また、愛してくださいますか?」


「もちろんですよ、あなた達は永遠にわたくしの僕です」


アルベルトは、完璧な執事として、二人の少女を魔国から遠ざけた。


ノアは、魔王城の方向を見据えたまま、巨大な結界門に一瞥もくれなかった。


(センスのかけらも無い意匠ですわね。優雅さとは、無駄を省き、迅速に結果を出すことにありますわ)


ノアは、指先に、魔力を集中させた。それは、闇でも光でもない、この世界に存在する全ての魔力を支配し、圧縮した純粋な破壊の力だった。


「フッ」


ノアは、ただ指先を振った。


結界門に物理的な音やはでな閃光は一切なかった。


次の瞬間、数千年の時を経て、魔国を護り続けた結界門は、まるで砂の城のように、微細な塵となって崩れ落ちた。その場に立っていたのは、門の輪郭を保った魔力の柱だけだった。そして、微風が吹くと、それすらも消え失せ広大な通路が魔王城へと向かって開かれた。


悪魔将軍アスタロトは、モノクルがカチリと音を立てるのも忘れ、心底からの驚愕も表情を浮かべた。


「馬鹿な……。空間ごと分解しただと……?しかも、魔力の波動が一切ない。完璧な優雅さ……」


アスタロトは、その圧倒的な力の虜になり、思わず口走ってしまった。


「ああ、我が女王様……!」


ノアは、その新たな忠誠を背中に受けながら、鉄扇を静かに閉じた。


「さあ、道は開けましたわ。アスタロト。わたくしを、貴方の主の元に案内しなさい。ご挨拶しないといけませんわ」


ノアの絶対的な威圧感に、アスタロトは逆らう術を持たなかった。彼は、喜んでノアの水先案内人となるべく、優雅にノアは、アスタロトが用意した馬車に乗り込んだ。


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