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転生幼女吸血鬼異世界放浪記  作者: るうと280
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第四十一話:女の敵の末路


ノアがデイウォーカーという千年前の伝説の存在である可能性を知ったインキュバスは、正面からの対決を避けることを決意した。


(デイウォーカーに手を出すなど、自殺行為だ。だが、魔王様にノアの情報を届ける義務がある。ノアを直接狙うのは不可能だが、彼女の周囲を乱すことはできるはずだ)


インキュバスは、ノアに追随している勇者パーティにターゲットを変更した。特に、女性二人、如月さやかと南ゆかりを魅了し、ノアを間接的に攻撃させるつもりだった。


「何、所詮は人間の女。この俺にかかれば容易いことだ」


彼は、パーティの中で最も魔力が強く、精神的に隙がありそうな魔導士の南ゆかりを狙い頃だと判断した。彼女を魅了し、ノアに精神的な打撃を与えることで、戦闘不能に追い込むつもりだった。


インキュバスは、夜陰に紛れてゆかりが宿泊する部屋に魅了の魔力を纏いながら侵入した。


(さて、まずは甘い囁きで、この女の精神の扉を開かせてもらうとしようか……)


インキュバスがゆかりに近づいた、まさにその瞬間。


ゆかりのベッドサイドのテーブルと、部屋の隅に、ぞわぞわと動く、黒い小さな虫の群れが突如として姿を現した。これらは、ノアの眷属であるアルベルトが、勇者パーティの監視とノアへの裏切り防止のために配置した特殊な眷属だった。


インキュバスの魔力が、虫たちの出現トリガーとなったのだ。


「ひ、ひぃぃぃっ!!」


ゆかりは、甘い誘惑など吹き飛び、本能的な嫌悪感によって精神の安定を失った。アルベルトの眷属である虫たちは、特に女性の精神に最も強いショックを与えるよう設計されていたのだ。


「いやあああああ!G、ゴキブリぃぃぃぃぃ!」


ゆかりは、インキュバスの存在など全く視界に入らず、ただ虫の駆逐を願い、在らん限りの魔力を尽くした。彼女は、杖を無闇に振り回し、防御壁などお構いなしに、部屋の中へ火魔法、水魔法、そして風魔法を全力で無差別に放った。


ゆかりがパニックのまま放った流れ魔法が、魅了に集中していたインキュバスの側頭部に直撃した。


インキュバスは、人間を魅了することには長けていたが、人間の魔導士の無秩序な全力攻撃を受けるのは想定外だった。かなりの損傷を受け、彼はその場から血を吐きながら吹き飛ばされた。


「くそっ! ただの虫で、なぜこれほどの……!このままでは、魔王様に情報を……」


重傷を負ったインキュバスは、聖王国の厳重な警備の中では回復不可能と判断し、撤退を余儀なくされた。彼は、何とか王都から少し離れた森の中に逃げ込み、傷を癒し始めた。



しかし、インキュバスが逃げ込んだその森は、ノアにとっては狩場のようなものだった。


傷を癒していたインキュバスの背後に、冷たい、幼女の声が響いた。


「全く、女の敵の末路は決まってますのよ」


インキュバスは、その声に気づいた時には、既に遅かった。


「な、ノア・ノストラヴァ……!なぜここに……!」


ノアは、漆黒の闇魔法で森の影を濃くしながら、鉄扇を静かに広げた。


「わたくしの大切な物に手を出そうとする、下品で無能な魔族は、存在価値がありませんわ」


そして、ノアの背後の影から、二本の黒い手が伸び、インキュバスの体を一瞬で拘束した。


「ま、待て!魔王様に、貴様の・・・・」


インキュバスの叫びは、最後まで届かなかった。影の手は、容赦なくインキュバスの体をバラバラにし、彼の存在を完全に消滅させた。


ノアは、その場に残された魔族の痕跡を、黒い小さな虫に命じて残さず処理させた。


(勇者パーティを襲わせ、勇者パーティに討伐させる。というシナリオを考えていたのですが。無様なものですわね)


こうして、スルベニア王国の裏で暗躍していた上位魔族の陰謀は、ノアの圧倒的な力と、ロリコン王子との決闘から始まったドタバタ劇の中で、呆気なく終焉を迎えたのだった。

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