第三十話:ロリコン王子の奮闘
鉄扇 vs. 剣
生徒会長の挑戦に対し、ノアは静かに受けて立つ姿勢を見せた。
「優雅ではありませんわね。ですが、貴族の嗜みとして、その挑戦、受けて差し上げますわ」
ノアは、その決闘において、ミスリル製の鉄扇のみで応じることを決めた。
(魔力はおろか、身体強化すら用いる必要はありませんわ。うっかり魔力を込めてしまえば、彼の命を殺してしまいかねない)
ノアにとって、生徒会長は、あくまで学園のモブキャラクターであり、無駄な殺生は避けたかった。
生徒会長は、ノアの態度を侮りと受け取ったが、その瞳にはノアへの狂信的な情熱が宿っていた。彼は、名高い王族の剣術をもってノアに挑んだ。
しかし、ノアは、その驚異的な反射神経と洗練された剣技だけで、王子の攻撃を全て受け流す。
(ふむ……)
ノアは、鉄扇を軽く振って王子の剣を逸らし、多少の驚きを覚えた。
「それなりに、わたくしの鉄扇の動きについてきていますわね。やはり、アース帝国の王族。モブにしては、才能はあるようですわね」
生徒会長の動きは、ノアの神速の一撃を避けることはできずとも、その残像を捉え、次の一手に備えるだけの洞察力と身体能力を持っていた。
(剣士としては、一流の中に入りますかしら?)
しかし、ノアにとって、そのレベルは所詮、「少し優秀なモブ」でしかなかった。
ノアは、鉄扇を脇腹に軽く当てるだけの動作で、生徒会長を容赦なく吹き飛ばした。
ガシャーン!
生徒会長は、訓練場の一角にある闘技場の壁に設置されたオブジェと化し、砂埃と共に崩れ落ちた。
それでも、生徒会長の執念は凄まじかった。彼は砂埃の中から、折れた剣を杖代わりに立ち上がると、ノアに向かって**ロリコンの魂**を叫んだ。
「まだだ!まだ終わらんぞ、ノア嬢!ロリは嗜好!ロリは正義!全てのロリは、我が手に!」
その挫けないロリ根性は、見上げたものだった。
ノアは、そのしぶとさに感心しつつも、心底残念に思った。
「本当に残念ですわ。愚かな性癖さえなければ、大陸を牽引する優秀な指導者になれたでしょうに」
ノアは、改めて生徒会長の潜在的な力を評価した。もし彼が勇者として召喚されていれば、神崎以上の成果を上げたかもしれない。
ノアは、ため息と共に、最後の言葉を彼に投げかけた。
「貴方が王太子でなくて、よかったですわね」
アース帝国の次期皇帝候補がこの程度の人物であれば、大陸の秩序は崩壊しない。
「これで。世界の幼女に平和が訪れますわね」
ノアは、生徒会長が完全に動けなくなったことを確認し、鉄扇を納めた。ロリコン王子の挑戦は、ノアの優雅な学園生活を乱すことなく、終焉を迎えたのだった。




