第二十八話:幼女の所有物とプロポーズ騒動
学園都市アルカディアでの生活も、一ヶ月が過ぎ、生徒たちはそれぞれの日常に慣れてきた頃だった。
ノアはSクラスの座学を終え、ロザリアと共に昼食を嗜んでいた。しかし、ノアの隣に座るロザリアは、どうにも落ち着きがない。いつもノアに甘えるように寄り添っている彼女が、今日はどこかよそよそしい、それにどこか浮ついているようだ。
ノアは、その異変に気づき、静かに声をかけた。
「ロザリア。どうなさいましたの?貴女らしくありませんわね。わたくしとの昼食が、退屈になったとでも?」
ノアの言葉に、ロザリアは慌てて首を横に振った。
「滅相もございません、お姉様!そんなことは決して!ただ……その、わたくしに複数の男性からお付き合いの申し出がありまして……」
ロザリアは頬を赤らめ、視線を泳がせた。彼女は、トリトン領主の令嬢としての美貌と、Sクラスの所属するだけの魔法の才覚、そしてノアという圧倒的な後ろ盾を持つことで、学園内での人気は非常に高まっていた。
それにトリトンは、今は経済的に潤っている、つながりを持てばそれだけにメリットはある。ちなみにトリトン領主はロザリアの兄(現在、王都で経済官僚の仕事をしているらしい)が継ぐことが決まっている。
ノアは、その話を聞き、表情一つ変えなかったが、その心境は複雑だった。
(お付き合い?……つまり、わたくしの所有物に、横取りをしようとする者がいる、ということでしょうか)
ノアにとって、ロザリアは単なる友人ではない。「極上の血の供給源」であり、「秘密の共有者」であり、そしてノアが庇護を与え、支配している「大切な所有物」だ。
ノアは、カップを静かにソーサーに戻すと、ロザリアの手を取り、優雅に、しかし有無を言わさぬ冷徹な口調で言った。
「プロポーズ、ですか? ずいぶんと大胆な真似をする方がいるものですわね」
(これはわたくしに対する、挑戦ですわね。宜しいでしょう、受けて足しますわよ)
ロザリアは、ノアの言葉に戸惑った。
「あの、プロポーズではなくて、お付き合い、ですわ。まだ早いでしょうか?」
「ロザリア、わかってないようですわね、貴族にとってお付き合いとは、すなわち婚約ですわよ。」
ノアは、ロザリアの手を握る力を、わずかに強めた。
「ロザリア。貴女は、わたくしと共にいることで、この学園での地位と安全を保障されているのです。そして、わたくしに血という極上の喜びを提供してくれていますわ」
ノアは、ロザリアの瞳をじっと見つめ、所有欲と嫉妬を混ぜ合わせたような、冷たい輝きを宿した。
「貴女が、わたくし以外の者に、その時間や身体、そして血を捧げることなど、我慢なりませんわ。断じて許しません。あなたはわたくしの物なのですわ。」
ノアの言葉は、支配者の命令だった。ロザリアは、ノアの強い独占欲を感じ取り、恐怖よりも先に、深い満足感を覚えた。
「お、お姉様……!わたくし、お姉様以外の誰にも捧げませんわ!」
「よろしい。貴女は、わたくしの物ですから」
ノアは、ロザリアの顔を両手で包み込み、優しく、そして決定的な命令を与えた。
「彼らには、丁重にお断りなさい。そして、もし彼らが騒ぎ立てるようでしたら、わたくしが相手を致しますわ。学園の雑音を、わたくしが一掃して差し上げますわ」
ロザリアは、ノアの愛情と庇護を同時に感じ、頬を赤らめながら頷いた。
「はい、お姉様。わたくしは、永遠に、お姉様だけのものですわ!」
こうして、ノアの所有欲により、ロザリアへの恋の申し出は全て水泡に帰した。そしてノアは、改めてロザリアという貴重な存在の重要性を認識したのだった。
感想とかもらえたら、嬉しいかもです。誹謗中傷も受け付けています。




