第二十話:Sクラスの幼女と勇者の不調
適性試験の結果が発表された。学園都市アルカディアのクラスは、能力や才能に応じてSからDまでのランクに分けられる。最上位のSクラスは、文字通り規格外の才能を持つ者だけが集う、特別なクラスだ。
ノア・ノストラヴァは、実戦試験での圧倒的な剣技と、魔力測定における深淵のような数値を叩き出し、当然のようにSクラスに配属された。
そして、意外にもロザリア・ポルックスも、ノアと共にSクラスを勝ち取っていた。彼女は、貴族令嬢として表向きの教養だけでなく、魔法の系統試験で類まれな才能を発揮したらしい。
「わたくし、まさかお姉様と同じSクラスになれるなんて!夢のようです!」
ロザリアは、ノアの腕に抱きつき、喜びを爆発させた。
ロザリアの足元では、最近育て始めた、サボテンのボテン君が一緒に飛び跳ねていた。
ノアは、涼しげに答える。
「貴女はわたくしの大切な所有物ですもの。この程度の能力は、当然でしょう。これからも、わたくしのパートナーとして、ふさわしい才覚を磨きなさい」
一方、カエデ少年は、実戦能力は高かったものの、魔法の基礎知識が皆無であったため、Aクラスに配属された。
その頃、勇者パーティのリーダーである神崎 傑は、Aクラスに留まるという、予想外の結果に苛立ちを覚えていた。
「どういうことだ!俺がAクラスだと!?俺は勇者だぞ!」
本来、彼は最強のジョブを持つはずで、圧倒的な成績でSクラス入りが確定しているはずだった。しかし、彼の試験成績は、なぜか冴えなかった。
実は、神崎傑は学園都市に来てから、どうにも調子が良くなかった。
以前まで、彼はスルベニア王国の王女から絶えず精神的な魔力による洗脳を受けており、それが彼の勇者としての力を強引に引き出し、魔王討伐という大義へと向かわせていた。
しかし、王女は王都に留まり、学園都市への同行はなかった。
強力な洗脳の魔力が途切れたことにより、神崎の心に綻びが生じ始めていたのだ。
(なぜ、俺は魔王を倒したいんだ?王女のため?いや……)
強烈な「勇者としての使命感」が、徐々に「自分自身の目的」へと引き戻されつつあった。この心の揺らぎが、試験でのパフォーマンス低下に直結したのである。
一方、剣聖・如月さやかもAクラスに配属されていた。彼女は、神崎の不調を知って気遣いつつも、心の中ではまノアの剣技の残像を追い続けていた。
(Aクラス…蓮のクラスメイトだったのに、こんなところで差がつくなんて……)
さやかは、ノアという名の幼女が、蓮ではな*と自分に言い聞かせながらも、その姿を追い求めるだろうと悟っていた。
勇者パーティの面々、そしてノア・ノストラヴァは、それぞれ別のクラスに分かれ、学園都市アルカディアでの**新たな学園生活**をスタートさせた。
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