第十三話:異世界人を蹂躙する神祖の怒り
闇からの侵入者
聖王国国境付近の街、市長の館。
異世界のバカ連中が酒と獣人女性に溺れて享楽に耽っていた、その賑やかな広間に、漆黒の旋風が巻き起こった。
ノア・ノストラヴァは、窓ガラスを割ることも、ドアを破壊することもなく、闇魔法を使って静かに、侵入を果たした。
「誰だ、テメェ!」
異変に気づき、最も早く反応したバカその1が、剣を抜き放つより早く、ノアは動いた。
ーーカッ!ーー
幼女が鉄扇を一閃した、ただそれだけだった。神祖の力を乗せた闇魔法は、まるで透明な糸のように、広間にいたヤンキーたちの身体を駆け巡る。
プツ、プツ、と音もなく、バカ達の腱が切り裂かれ、その後の喉を潰された。彼らは武器を落とし、声帯を潰されたことで、悲鳴をあげることすらできず、その場に崩れ落ちた。
ノアは、倒れ伏す元クラスメイトたちを見下ろし、冷たい声で宣言した。
「ここから生きて帰れるとは思わないことですわ。」
リーダーであるケンイチだけは、神祖の直撃を避け、回復ポーションを飲んで、大剣を杖代わりにして立ち上がった。その顔は怒りに歪んでいる。
「てめえ、このクソガキが!きっちりお仕置きしてやんよ。その可愛い顔を歪めてやんよ!」
下品な言葉を吐きながら、ケンイチは異世界で得た力を全て込めて、ノアに大剣を振り下ろした。
しかし、ノアの身体能力と真祖の力には、到底及ばない。ノアは優雅にくるりと周りその大剣を避けると、勢いのままケンイチの腹部に軽く蹴りを入れた。
ケンイチは、壁に向かって飛ばされた。
壁にめり込んだケンイチは苦痛に顔を歪めた。その蹴りは、彼に内臓破裂の重傷を与える威力があったが、ノアはあえて筋力だけを破壊し、苦痛を与えつつも、彼がすぐに死なないように調整したのだ。
「あら、これぐらいで倒れては困りますよ。まだ、始まったばかりですのに、少しはわたくしも楽しませてくださいね」
ノアは鉄扇で口元を隠し、冷徹に微笑んだ。
「あなたには、特別な苦しみを差し上げますわ。お楽しみあそばせ」
ノアは、闇魔法をケンイチの意識に直接流し込んだ。それは、ノアがクリムゾン・ナイトメアから見せられた幻覚、元々闇魔法は精神に作用する魔法だ。同然ノアも幻覚の魔法は使える。そして、ケンイチは死んではまた殺される地獄の苦しみを、延々と体験させるのだった。ケンイチの瞳は虚ろになり、彼は激しい幻覚の苦痛に苛まれながら、その場にうずくまった。
ノアは、動けなくなった元クラスメイトたちを見渡し、隣に控えるアルベルトに声をかけた。
「アルベルト。あなたにも褒美を。この者たちを、好きにしていいわよ」
「御意、お嬢様。これほどの獲物、光栄の至りです」
アルベルトは、深く、喜びの滲んだ一礼をした。
次の瞬間、アルベルトの魔法により、無数の黒い虫の眷属が、動けなくなったヤンキーたちに取り憑き始めた。彼らは、生きながらにして、徐々に体を喰われるという、想像を絶する恐怖と、激痛を味わうことになる。
ノアの心に湧き上がったのは、下品な暴虐を行った、かつての同胞に対する静かな怒りの発露だった。
「これこそ、下劣な獣に相応しい末路ですわ」
ノアは、その場に横たわる獣人の女性たちを解放し、アルベルトに後始末を任せて、静かに館を後にした。
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後日。遅れて到着した。ロジャー率いるトリトン海軍によって、市長の館は制圧された。ケンイチは、まだ命はあったものの、ノアの呪いと、アルベルトの眷属による精神的・肉体的な攻撃により、既に正気を失っていた。
彼は、そのままトリトン海軍によって拘束され、牢の中で、幻覚に食われながら短い生涯を終えたのだった。
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「あら、そういえば、何にも感じませんでしたわ、罪悪感も何も、鬼畜とはいえ同級生を殺したのですが」
ノアは人を殺したことを自覚したのですが、特に罪の意識とかを感じなかったこと、それに高揚感もありませんでした。
「ま、いいですわ、下手に良心とかあっても邪魔なだけですし」
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