1話 自己紹介
どうも皆様こんにちは。本作で主人公を務めさせていただくステラ・アルゲントゥムルプス・カルタです。本作ではウンタラカンタラ……、え?早く話が読みたいって?それもそうですね。それでは、本編をどうぞ。
「今日の仕事はこれにするか。」
ギルドのクエストボードから2枚の依頼用紙を剥がす。
「すみません。この依頼を受けたいんですが…。」
「はーい!」
受付カウンターの奥に向かって声を掛けると一人の受付嬢が出てきた。
「あ、ステラちゃん!今日も手紙を受け取りに行くの?」
「うん。それと一緒に最近悪さしているゴブリンを討伐してくる。」
「わかったわ。気をつけていってらっしゃい。」
「うん。行ってきます。」
どうも皆様こんにちは。配達師のステラ・アルゲントゥムルプス・カルタです。多分、配達師とはなんぞや?とか、なんでそんなに名前が長いん?とか、いろいろあると思いますが、順に説明していくので少々お待ちください。
それでは皆様、説明会を始めさせていただきます。まず、配達師とはなんぞや?というところから始めていきます。
1.配達師とは。
配達師の仕事は病気や事故、怪我などで死んでしまった者から手紙を預かり、遺族へと渡すことです。手紙なんて誰でも受け取れるじゃん、と、思うかもしれませんが、手紙というのは死後、本人や遺族に伝えたい事を聞き、書いたものなので、死者の言葉が聞ける配達師のみができることなのです。言わば死者と生者の橋渡し役ですね。そんな配達師、もとろん職業の一種なのですが、他の職業と比べ、とにかく数が少ないです。これには3つ、理由があります。
1.適正者が少ない。
この世界では15になると皆、成人の儀を受けます。成人の儀では自身のスキルと適正職業を教えてもらうのですが、配達師の適正者はとにかく少なくて、一万に1人いるかどうかぐらいなのです。
2.特化した能力がない。
剣士や魔法使い、治癒師に商人など適正職業ごとに何かしらの特化した能力がありますが、配達師の特化した能力と言えば死者と喋れるぐらいなので、冒険者をやるにしてもパーティーを組めないし、商人になっても商人の職業適正がある者より劣ります。なので、職業適正があってもなくても、あまり差が出ないギルドの受付員や農民として働く方も多いです。
3.自身に得がない。
配達師の仕事は先程話したとおりなのですが、遺族などの依頼者によって金額にだいぶ差があるのです。この世界の硬貨は銅貨1枚が100円、銀貨1枚が1000円、金貨1枚が1万円、白銀貨1枚が10万円、白金貨が100万円といった値段なのですが、手紙の配達で報酬額は通常銅貨1枚〜金貨2枚ほどです。死者は亡くなったところから離れることができないので、魔物の生息地で亡くなった際はパーティーを組むのが難しい配達師は大概の方がソロで行くことになります。自身の命をかけ、頑張って配達をしたのに報酬との差が酷く、赤字続きで配達師を辞める方もいるそうです。
結論、適正者が少ないのに扱いが不遇すぎて数が少ないというわけです。
それでは次は私の名前についてです。
2.何故こんなに名前が長いのか?
まず、皆さんは私の名前を覚えていますか?覚えていますよね?まぁ、本っ当に一部の人は覚えてないかもしれませんのでもう一度言います。2度目はありませんよ?私の名前は、ステラ・アルゲントゥムルプス・カルタです。覚えましたね?それでは一つ一つ部分を分けて説明していきます。
1.ステラ
一番最初の部分、ステラは私の名前です。皆様で言う下の名前です。
2.アルゲントゥムルプス
2番目の部分はその人のスキルを表す名前です。と言ってもあまり人様に知られていいものではないので、正確なスキル名ではなく、スキル名の一部、またはスキルの、特徴なんかにする方が多いですね。
3.カルタ
これはお気づきの方もいらっしゃると思いますが、最後の部分はその人の職業を表す名前です。私の場合は配達師、先ほどの受付嬢なら受付員、他にも農民、剣士、魔法使いなど、その人の現在の職業を表しています。ちなみに、職業を変えた場合はその職業名に名前を変えますよ。
まとめると、ステラ・アルゲントゥムルプス・カルタ、という名前は、下の名前・スキル名・職業名、を表しています。
皆様、説明会の内容は覚えられましたか?覚えられたようですので、これにて説明会を終わります。それでは、本編をどうぞ。
「お、ステラちゃん。今日も手紙を受け取りに?」
「うん。」
「そうか。いくらスキルがあるとは言え、気を付けてな。」
「ありがとう。」
いつもの門衛さんと挨拶を交わして門の外まで出ると夕日に染まった見渡す限りの草原と森、そして、気持ち良い風が吹いていた。
「出ておいで、銀狼・ルル。」
何もいない目の前にそう話しかけると、自分の腕についていた銀のブレスレット、"従魔の庭"から3mはあるであろう銀色の毛並みをした狼が出てきた。いわゆるフェンリルというやつだ。
「今日も背中に乗せてくれる?」
そう聞くとこくんと一つ頷き、しゃがんでくれた。
「ありがとう。」
背中にまたがり、ルルに指示を出す。
「今日もあそこの森までお願いね。」
ルルはまた、こくんと一つ頷き、速すぎず、遅すぎないスピードで走り出した。
今晩は。どうも、古瑠璃です。手紙を紡ぐ配達師、第一話ですが、ほとんどか説明で終わってしまいました…。次回も説明はあると思いますが、今回よりは少ないはずです。
次回もよろしくお願いします。