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なろラジ6参加作品

観覧車のてっぺんで腕組みしてたら、先客がいた!

(爽快だ……!)


 これを一度、やってみたかった。



 地上を見下ろし、頬撫でる風を心地良く受け流す。

 

 俺は今、観覧車の天辺(てっぺん)に立っている。


 ゴンドラの中ではなく、外だ。


 仁王立ちで腕を組み、気分はさながら、どこかの強者。


 厨二病と笑う(なか)れ。

 機会があって可能なら、誰だって一度は憧れるポーズだと思うのだ。


(マントとかあればなぁ。おっと)


 観覧車がゆっくりと下降を始める。

 隣のゴンドラに飛び移らねば、天辺(てっぺん)ではなくなってしまう。


「えっ」


 間抜けにも声が出た。 

 隣のゴンドラの屋根に、先客がいる。


 ぼんやりと座ってる女の子。年は俺と同じ大学生、かな?


 自分で言うのもなんだけど、普通の人間は観覧車の外には乗れない。


「えっと……、幽霊の方、でしょうか?」


 飛び移ってから、控えめに声掛けると。


「はあ?」


 怪訝そうに睨まれた。

 うっ、すみません。突然話しかけて。


「身体に(つな)がるこの(ヒモ)が見えない? 貴方(あなた)と同じよ、()()()()()()()()()


「お、おぅ……」

 それ言わないで。


 縦縞模様(ストライプ)のパジャマにスリッパという()で立ちを指摘され、(にわ)かに赤面する。


 対する彼女は水色の……。

「もしかして、手術着」

「そう。いま執刀されてるところ」

「それ、抜け出して来てて大丈夫なの?」

「だって! 自分の身体にメスが入ってるとこなんて、見てられないじゃない。怖いもの!」

「あわわ、そうだよね。ごめんね、繊細なことなのに」


貴方(あなた)は事故か何か? 早く戻った方がいいんじゃない?」


「まあ、そうなんだけど」


 ストン、とその場に腰を落とす。


「あ、隣座って良かった?」

「座ってから聞く?」


 彼女が笑った。

 微笑んで細められた目が、絶妙にセクシー。



 知らない相手。肉体からの解放。

 そんな状況だからだろうか。思わず零れた。


「俺が戻ったところで喜んでくれる人がいるのかな、とかさ」

「いきなり重いわね?」


「……振られたんだ。つい先日」

「それはまた……あっ」

「おお」


 二人一緒に、下降し始めたゴンドラから隣に移る。


「っぷ。ふふふふ! 貴方(あなた)、全然大丈夫だと思う。だってすごく負けず嫌いみたいだし」

「ええっ? いやでも、観覧車は天辺(てっぺん)だろ」

「そうね。私も天辺(てっぺん)が好き」



「良かったら、生身でまた会いましょう。私、手術頑張るから」

 彼女が力強く言った。


「うん」





 それが、半年前の馴初(なれそ)めで。


「今日は、観覧車本来の使い方をしようと思ってる」

「というと?」

「密室で告白」

 ゴンドラの中で、俺と彼女は互いの体温を確かめ合う。



 生きてて良かった! 二人とも!




 お読みいただき有難うございました!


 なろうラジオ大賞、参加10作目になります。

 クリスマスにインフルエンザに沈み…っ。気がつけばもう年末です。

 年末とは思えないほど何も出来てないまま、明日が大晦日とか信じられない(*ノ□ノ);

 ら、来年、来年の年末はしっかりお正月準備する。気が早いけど。

 今年はもう体力の回復に努めながら流されることにします。

 

 ところでゴンドラとドラゴンって字面似てますよね♪ 相変わらずの1000文字、いろいろ書き足りませんでしたが、楽しんでいただけましたら幸いです。

 では良いお年をお迎えください。

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― 新着の感想 ―
タイトルもアイデアもお話も、素晴らしい! 「ええ!?」→「え!」→「な、なるほど」→「良かった~!」となりました(爆)。 とっても面白かったです!
あけましておめでとうございます 今回のお話も凄く面白かったです タイトルとシチュエーションが斬新だし シメの言葉も素敵でした
そしてこの二人のイチャイチャを、別の生霊が覗いてるんですね?( ˘ω˘ )
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