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えっ?魔王と勇者の中身を一時的に入れ替えてみるって?それ本当に大丈夫?

魔王様は元々ソウルシフトという、他人と人格を取り換えるスキルを持っている。

今までは特に使い道がなく、面白半分で年に数回警備兵の誰かを入れ替える程度の使われ方だったが、特に有害なものではなかった。

そのスキルが勇者ご一行にばれた時の話。しかもみんな酔っているときに……。


今回の登場人物:女魔王(本名:アデレード)

秘書(本名:イザベラ)

女勇者(本名:ジュリアナ)

女魔法使い(本名:エレノア)

男僧侶(本名:華)

女戦士(本名:セリーナ)


それは、ある平和な日の夕方の、定時後の飲み屋での話。普段なら取るに足らない一言から始まった

「魔王様って、変わった魔術使えないんですか?」

そう、この勇者ご一行の、魔術担当であるエレノアという長寿種が放った一言である。

そして、この取るに足らない会話に、とんでもない返しをしたのが私、アデレードである。

「魂を入れ替える魔術はあるけど、自分では試したことないんだよね」

そして、酔いが回って正常な判断力の無くなった私の秘書イザベラと、こちらもだいぶへべれけな、勇者ご一行の僧侶である華さんがこれに乗っかってきた。

「面白そうじゃないですか魔王様。10年以上一緒に仕事してましたけど、初めて知りましたよ私」

「害は無いのですよね……では誰かで試してみては如何でしょうか。ここには魔術のプロも居ますので大丈夫です」

そう言って、華さんはその華奢な体で小柄なエレノアをこっちに引っ張ってきた。

「え、私がその実験台になるんですか?嫌ですよ……私はこの体が気に入っているので」

「あー、安心してほしい。エレノアは何かあった時のための要員だから。何かあったらよろしくってこと」

「もっと責任重大じゃないですか……で、誰と誰を入れ替えるんですか?」

エレノアが周囲を見渡すと、女戦士と僧侶、あとは勇者と私、あとはイザベラが目に入ったようだ。

「じゃあ、イザベラさんと華さんでやってみますか?どうです?」

「却下。イザベラさんが使い物にならなくなったらエライことになるから。」

「華さんとセリーナ入れ替えれば良いじゃないか。最小限の仕事は回るぞ」

「セリーナさん、そこいらの上級魔物ですら止められないくらいに力が強いので、華さん入りのセリーナさんが暴走してエライことになるか、セリーナさんが入った華さんが壊れるかのどちらかになりそうで」

「その通りだ。私も男の体には興味があるし、男の体で大暴れしてみたいと思ったこともあるが、今回は遠慮しておく」

意外とセリーナさんが常識人であることに驚いたが、セリーナさん入れた華さんがバラバラになるのも予想できるのでこの判断は正しい。

さて、残っているのは勇者と私だが、こんな面白そうな状況を黙ってみているはずがないエレノアさん。早速勇者にこの話をけしかけた。

「後は、勇者君が残っているけど、誰かと入れ替わってみたくない?」

ジュリアナの返答は、意外とあっさりとしたものだった。

「では、魔王様と入れ替わってみたいです」

私としては特に驚きはなかったし、魔力や耐久性などの能力面での差も許容範囲ではあるかと思って、受けることにした。

「では、やってみようか。ジュリアナ。」

「わかりました。お願いします。魔王様」

「じゃあ、そこに座って」

私は居酒屋特有の座敷の奥の方を指さして、勇者に座るように促す。魔術の成功率を稼ぐにために、できるだけ距離を近づけ、私とジュリアナの接続が切れないようにするのが目的である。

「はい、座りました……次は何をしたらよいでしょうか」

私は、勇者の隣に腰かけたと同時に、勇者を座敷の床に押し倒した。

「え……魔王様、一体何をするつもりで……」

そのまま、勇者が話す隙も与えずに、勇者の額と私の額をくっつける。身長差が大きく、この方法が最も早かったのである。

「そのままじっとしていて」

私はそう言い終わると、勇者の両手に自分の両手を確実に絡ませて、確実な接続を取った。

「魔王様、目は開けないとだめですか……」

「閉じておいて。何かあった時に惨状を見ないで済む」

そのまま、勇者の魂と自分の魂を入れ替える。入れ替え自体は長くても10分程度だが、大柄な魔王が小柄な勇者に覆いかぶさる形なので、下側に居る勇者は怖いだろう……。そのためかはわからないが、勇者の額も手も熱いのを感じる。特に額は汗でびっしょり濡れていて、すごい緊張を感じられる。

そのまま魔術を続けて、5分ほど経った頃だろうか……突然自分の体が軽くなり、同時に魔力が消えていくのを感じた……これが、成功した時にしか得られないあの感覚である。

女勇者となった自分は、女魔王を退かしながら這い出て、自分の状態を確認する。下を見ると白くて小さい手、細くて華奢な体が良く見える。

「終わった……みたいだ。誰か鏡を貸してくれ」

私がそう言うと、華さんが小さい手で、私に小さな鏡を渡してくれた。最後に顔を確認するために、

鏡をのぞき込むと、そこには、小柄で、サラサラの長髪で、可愛らしい人の女の子が映っていた。

「ジュリアナ、成功したみたいだぞ。見てみろ……?」

鏡を持ったまま、ジュリアナの方を向くと、ジュリアナは自分の手をじっと見たまま、動かなくなってしまっていた。

「おいジュリアナ、大丈夫か?どこか調子悪いとかあった?」

軽く不安になって声をかける。確かに体の適合性が低いと、無視できない異常が発生したりすることはあるが、私の方はパワー不足が目立つだけで、特に問題は無い様だが、勇者にはなにかあったのかもしれない……そう思い慌てて駆け寄って様子を確認する。

「ジュリアナ、本当に大丈夫か?どこか痛いとか、感覚がないとか、悪いところは無いか」

私の様子で、不穏でただならぬ雰囲気になったのか、周りで見ていた華さんとエレノアさんも近付いてきた。

「ねえ、ジュリアナ大丈夫?ダメなら私と魔王……じゃなかったあなたに戻してもらうから」

「大丈夫ですかジュリアナさん。これ、飲んでください」

そう言って、彼は外見が魔王様になったジュリアナに水を差しだすが、彼女は一切動かなかった。

色々な事態を考え、女勇者の見た目をした、私アデレードが、エルフの魔法使いエレノアと色々話していると、女魔王の姿をしたジュリアナが突然立ち上がり、テーブルに置いていた水差しを一気飲みした。

「ジュリアナ、大丈夫だったのか。よかった」

私がそう言いながら近づくと、ジュリアナは魔王の姿で話始めた。

「あーびっくりした。最初、目を開いたら、なんかすごい爪の付いた手が目の前にあるし、頭の後ろには謎の物体がついてて、何か感じるし、体の中にはなんか変なものが貯まっていてどうすればいいのかもわからなかった。」

そこまで聞いた私アデレード(女勇者の姿)は、ジュリアナ(女魔王の姿)を窓際まで連れてきて、窓の反射に映る状態を見てもらうことにした。

「えっと……これが今の私」

「そう。さっきまでの私でもある」

「私の体、入ってみてどう?」

「まだわからない。」

「時期に慣れるよ。私も最初やった時は困惑した」

「アデレードは、私の体に入ってどう思った?」

「小さく、美しいと思った。うっかり壊してしまいそうで怖い」

「魔王様の体は頑丈?」

「ええ、頑丈よ。力も強いから、周りの者を傷付けないようにね」

私が魔王様の体の注意点を言うと、ジュリアナ(女魔王の姿)は、後ろを振り返って、私をお姫様抱っこし始めた。

「ちょっと、何やってるの。降ろして」

「やだ。いつもやっているんだから、たまにはやられる側も経験して」

アデレード(女勇者の姿)はもがいて降りようとするが、がっちり嵌っているのか、姿勢の問題か、抜け出すことはできなかった。

しかし、こうやって抱かれた状態になって初めて知ることだが、この状態だと、天井と抱いている人の顔しか見えないということである。これは恋人同士でないと恥ずかしいかもしれない。

「アデレード様、ジュリアナ殿の胸の中はどんな感じでしょうか」

茶化すように、エレノアから質問が飛んでくる

「ああ、この小柄な体だと結構快適。元の体に戻ったらやってあげるよ」

私が女勇者の姿で返事をすると、エレノアは

「そうですか……じゃあ次に勇者殿と魔王様がスワップしたときにしますね」

下で目が合う華さんに手を振りつつ、自分の体に入った勇者にいたずらをしてみる

「ねえジュリアナ、この体でキスしてみない?」

私がそう言うと、ジュリアナ(女魔王の姿)はおどいて、恥ずかしそうにしながら黙ってしまった。

こんなことでもないと自分の顔が驚いて、顔色が変わるところは見れないので新鮮である。何なら体全体が熱くなることも、触れている部分から感じられるから面白い。

「冗談よ。もしあなたが興味があるならって思っただけ」

私がそれを言い終わらないうちに、私は近くにあった適当な椅子に座らせられ、ジュリアナは一言も発することなしに、私の両手に指を絡め、そしてキスをした。

「私の答えはこれよ。こんなに力の差があるときしかできないから、嬉しかった。」

それを見た、イザベラ、セリーナさんは驚きつつも冷静な目で見ていて、何ならセリーナさんはこれを見ながらもテキーラを煽っていた。

華さんには目を隠し、エレノアさんはもっとやれーと煽っていた。

実際のキスの長さは30秒ほどだったと思うが、何故か30分にも感じたキスが終わると、私は全身の力が抜けて、椅子に座っていらなくなり、床にへたり込んでしまった。

それを見たジュリアナは(魔王様)、私の頭をなでながら怖い一言を発した

「続きがやりたいわね。自分の顔した魔王様を何度でも抱けるなら」

私は、最後の力を振り絞り、ジュリアナ(魔王様)の手を握り、そのまま残り少ない魔力で逆ソウルシフトの術式を唱えた。

「え、ちょっと、何まだ終わっていないのに……」

本来は3分ほどで戻るはずだが、今回は何故か1分かからず元に戻ることができた。

元に戻ったことを確認するために、手元を見てみると、ちゃんと長い爪も強そうな手足もあり、湧き出てくるパワーと魔力も感じられる……良かった、これで元に戻れたようだ。

で、暴走していた勇者の方を見ると、こっちは疲労で完全に伸びてしまっていた……一応近づいて息をしているかどうかを確認すると、呼吸はしているし心臓も動いているようだった。

「では、今日はここら辺で終わりにしますか」

エレノアさんがそう言うと、会計をすまし、各自の家の方に帰って行った。

「あ、魔王様、勇者様よろしくお願いいたしますね」

エレノアさんは、私にそう言って勇者を押し付けて行ってしまった……私がこれを連れて帰るのか。

アデレード様「あ、勇者になったのだから、そのままあの場から逃げ出せば、ジュリアナが代わりをしないといけないからしばらく仕事から逃げられたのに、失敗した」


おまけだが、魔王様はシェードリンクという、他人に自分のスキルと魔力の使用クオータを付与するスキルも持っている。小柄で軽快な勇者が強力な魔法を放つという、どう考えてもレギュレーション違反なレベルであり。基本的には使うとエライことになるのですがそれはまた別の機会で

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