魔王様。勇者のご実家にお邪魔するために長距離移動する_2レグ目
勇者のご実家にお邪魔しようとしている魔王様と勇者ご一行。
1回目の乗り換えの地、ラディアントクレストまで到着し、宿の確保と夕飯までは完了した。
今回は、その続きで、ラディアントクレストで買い物と食事をして、勇者ご実家の近くまで移動する馬車で移動し始める話になります
いつもよりも大分早く、温かい外光に起こされる。そして、隣を見るとスタイルが非常によく、顔も美形なエルフの女魔法使いが寝ていた。そういえば、昨日は魔法使いと一緒に寝たのだっけ……、いやあれは一昨日か?
「おはようございます、魔王様。今日は早いのですね」
「おはよう。エレノア、今日もよろしくね」
「はい……?」
ふと時計を見ると、まだ7時を過ぎたあたりであった。今日は特に急ぐ必要もないが、起きて早めの朝食を頂くというのも悪くないだろう。
「エレノア、朝ご飯どうする?用がなければ行くけど一緒に行く?」
「では、着替えたら一緒に行きましょう。アデレード様。」
そう言うと、エレノアはベッドのシーツから抜け出し、着替え始めた。流石に見てはいけない気がして、私は窓の外を見ることにしたが
「アデレード様、私たちは女の子同士じゃないですか、何も見て問題のあるものはありませんよ」
「それも、そうだな。では私も着替えることにする」
頭のナイトキャップを脱いで、カバンの中から着替えをだし、それを順次着ていく。
あ、そういえばここ、冬であるとは言っても、標高にして4000ftくらい下がった地である。この状態で出ても凍死することはなく、寒ーいで済む程度。いつものように分厚いコートを着て行ったら暑くて仕方ないな。コートはとりあえず置いていくか。
「こっちはおわったぞ、エレノアは終わった?」
「ちょっと後ろのジッパーが閉まらなくて、手伝ってくれます?」
着替えている魔法使いの後ろに回り、ジッパーを上げてあげる。静かに近づき、後ろで束ねられた髪をどけ、少し下にあるジッパーに手を掛ける。あれ、エレノアのうなじって結構きれいだし、なんていうか雰囲気がいい……じゃなくて、ジッパーを上げた。
「上がったよ」
「ありがとうございます。魔王様。」
良い感じに外で朝食にいける程度の着替えを済ませた妙に魔力の高い我々は、下の食堂に向かう。同じフロアに、後の4人が泊まっているが、起こそうかと扉の前で立ち止まると。エレノアに止められた。
「あー戦士の方だけど、寝起きが非常に悪いからそのままで」
可哀そうに、イザベラの方は起きるのが異様に早いので五月蠅かっただろうな
そのまま1階のレストランまで行くと、勇者と秘書が揃っていた。というか既に半分ほど食べ終わっていた。
特に何も考えずに、勇者と秘書のテーブルの向かいに座った我々は、勇者の真の力を見ることになる。
「イザベラ、ジュリアナおはよう。」
「おはようございます。アデレード様、エレノア様」
「おはようございます。魔王様。エレノア様」
「ところで、一つ聞いて良い?勇者の前に並んでるその皿は……?」
「これですか?この宿の朝ごはんがとても美味しくて、3枚ほど頂いちゃいました。魔王様なら10枚は行けるのでは?」
既に、テーブルの上には空の皿が4枚乗っている。そして今から我々の分が運ばれてくるのですが……
「お待たせしました。本日の朝食になります。」
そういってお給仕さんが運んできたのは、ごく普通の朝食プレートだ。分厚いベーコンにソーセージ、スクランブルエッグに野菜、後は、丸いパンとカットフルーツとスープがついている。
見た目は純白のプレートに、茶色い肉と黄色い卵、隅に緑の葉っぱがあるだけのものだが……
「では、頂きましょう」
恐る恐る、良く焼けたベーコンを口に運ぶ……美味しい。厚みを持った燻製肉が口に飛び込んでくるのが第一印象で、少し嚙み切ると、表面がカリカリ、中に肉感が残っていて、スモークする際の煙の味まで口の中に漂ってくる……これはすごい。
ソーセージについては、単独で食べることを想定されているような、スパイスが強く効いたもので、朝食との相性は良くないが、夜の部では期待できそうな味をしている。
付け合わせの野菜には何も味がついていないが、恐らく味の濃いベーコンとソーセージのバランスを取るための物だろう。
スクランブルエッグについては、妙に濃い味のする卵と、バターをふんだんに入れて作ったことが良くわかるものとなっている。パンはパンで、モチモチ・サクサクの食感が非常に癖になる一品。
そんな感じで、年に1回あるか無いかの美味しい朝食を満喫している向かいでは、勇者はコーヒーを飲みながら、朝の時間を妙に優雅に過ごしている。まるで魔王を倒した伝説の初代勇者みたいな雰囲気で。
ちなみに隣の女エルフも妙に静かなので見てみると、こちらと同じような感じで、もっと蕩けた表情をして朝食を頂いていた。これではここで会話をするのは無理だな。
丁度食べ終わるころに、食後のコーヒーが運ばれてきた。こちらの味については……悪くはないが、普通。魔王城の1階の喫茶店の方がはるかに美味しいと思う。山からの湧き水直結の水が一番違うのではないかとは思っているが。
「ねえ、今日の行程だけど、観光とか買い物とかしてから出る?」
「うーん、私は久しぶりにまとまった買い物に行きたい。特に魔道具とか」
「イザベラとジュリアナはどう?」
「私たちも買い物行きますよ。可愛いお洋服とか、スイーツとか頂いてきます」
「で、魔王様はどうされるのですか?」
「次の町に行く馬車を探して、その馬車の予約を確保しておく。結構時間かかるから、昼過ぎ位に再度集合して、夜通し走ってもらう予定。」
「では、夜の準備と食料は必要ですか?」
「自分たちの夜の準備はしてくれ。食料は……昼にホテルに集合したら一緒に調達しにいこう」
「「「了解です」」」
解散というと、各自部屋に戻って準備をし始めた。私も今日の夜の準備を行う。
まずは、移動手段の確保が先である。試しに宿のフロントで聞いてみるか……丁度そこに歴の長そうな人も居るし。
「すみません、急ぎで馬車を抑えたいのだが、良い人は知らないかい?」
「うーん、色々得意分野が違うので、何をしたいか教えてくれれば紹介しますよ」
「150miを丸一日かけて走ってくれて、6人移動できる馬車を今日出せる業者ならだれでも」
「そんな人居たかな……あ、できる人一人知ってる。お客さん、少し高いので覚悟してくださいね、
あ、でもアデレード様なら問題ないですね。お金持ってますし」
「ありがとう。助かったよ。この街に来るのが久しぶりすぎてね」
「そうでしたね、前回いらしたのは5年前でした?あとこれ、今日の宿泊と飲食の明細です」
「そうそう。まだあの時は一人でやってたから……何でこんなに飲食……あの2人か。」
お金を払いつつ、フロントのお姉さんから連絡先のメモをもらったので、その場所に行ってみる。なんでも町の中心から少し外れた場所にあるようで、少し歩かないといけないようだ。私は少しでも周囲の注意を引かないように、角が目立たないような髪型にして、ホテルから出た。
実際にここに居ると書いてあった場所に行ってみると、そこには謎の薬屋があった。周りには住宅しかなく、おおよそ商店のようなものはここしかない。奇妙に思ったが、私はドアを開けて中に入ってみた。
「すみません、ここで馬車のチャーターができると伺ったのですが」
私がそう言うと、棚で作業していた人が一度こっちを見た後に、すごい勢いで奥に何かを叫んでいた。
それが終わると、こっちに向いて、普通の顔で普通の接客に戻った。ついでなので、いくらか薬を調合してもらおうか。
「馬車の件とは別に、スタミナ回復とか体力回復、魔力の流量上限アップに効くものお願いできませんか?量としてはそれぞれ10回分くらいで」
「それだけでいいの?」
「ああ、戦いに行く訳じゃないから。お代はこれで足りる?」
「これが釣りね。14時ごろにできるからそれくらいに取りに着て」
そんな会話をしていると、店の表の入り口から人が入ってきた。
「姉ちゃんが馬車が必要だって?」
どうもこの美青年が本日のコーチマンらしい。
「その通りだ。明日の夜までにセントラルスパイア 、いや最終目的地はブライアベリー まで行きたい」
「それは高くつくぞ。何人乗せるんだ?」
「6人と荷物がトランク12個分、加えて細かいものがいくらか」
「ざっと小金貨2枚ぶんかな」
「これでいいか?」
そういって、金貨を渡す
「ああ、十分だ。14時に集合で問題ないか?」
「出発は14:30くらいにしてほしい。薬を取りに来てからいくから。」
「了解した」
「では、お願いします」
店から出てみると、店の前にかなり大型の馬車が置かれていた。恐らくこれが来ると思うが、座席だけで12人、貨物室には5千lbs以上の荷物が詰めそうな空間が広がっていた。これが最初の倍の費用の理由か……まあ我々荷物が多いので、荷台が大きいのは良いことである。
さて、馬車の確保が上手くいったため、今の時間は11時過ぎ。昼食には早いが、今からカフェに入るのも微妙な時間。1時間くらいなら買い物行けるな……久しぶりに、お出かけ用の衣装でも買いに行こうかしら。
目的も予定にも無い買い物だったため、どこに行こうかと考えながら、街の中心に向かって歩いていく。といってもこの街は、街の中心に大きな川が流れており、その両脇に多数の商店が並んでいるような作りをしているため、私が今歩いているのは、この商店の並びの外れの方に居ることになる。
特に当てもなく、川沿いの道を歩いていると、裏路地に妙に興味を惹くお店が。言葉で言い表せないが、私は裏路地の方に引き寄せられ、気づいたらその店の扉を開けていた。
「こんにちは、物を見せてもらいたくて、いいですか?」
店の中に入ると、朝に会った耳の付いた秘書が、勇者によって着せ替え人形になっていた。私の姿に気づくと、勇者がこっちに近付いてきて、そして腕をつかんで私を店の奥に引き込んだ。
「ちょっと、ジュリアナどうしたの?」
「とうとう魔王様もイメージチェンジするんですね……どんな奴にします?やっぱりかわいい感じですか?それとも大人な落ち着いたやつで行きます?それとも強さを前面に押し出した強そうなやつに……」
「ちょっとジュリアナは落ち着こうか?すみません、店員さん」
勇者の衣装のイメージ攻撃から逃れ、店員をよぶ。
「今日はどういったものがご所望でしょうか?」
「私用で出かけるのにあった、アウター一式を仕立ててほしくて」
私がそう告げると、店員は今の私を上から下まで見たうえで
「お客様のような体型だと、どうしても男性用が多いのですよね。今回は大人の女性として、ある程度落ち着いていながらも可愛い部分を出すような形で提案させていただきたいと考えています」
「すごくいいですね。試しにそこの鏡に映せますか?」
私が依頼すると、店員さんは鏡に魔術をかけ、鏡に映る私の衣装を入れ替えてしまった。思った以上に大人の女性っぽい感じで、今までの魔王丸出しな感じから、女下級官僚といった見た目になった。ある程度落ち着いていて、でもどこかに可愛さが残してある、そんな見た目である。
「どうでしょうか、魔王様?」
「すごく気に入った。これで仕立ててほしい」
「ありがとうございます。」
仕立てる依頼をしたところ、着替えを片付けたイザベラから驚きの声が上がった
「え、魔王様、これ即決ですか?」
「即決だよ。見た目が柔らかくなって良いでしょう?」
「そうですね、今までの魔王様ってかなり近寄りがたい雰囲気だったので」
「ところで、イザベラと勇者は何か買ったの?」
「私が勇者に、女の子っぽい服を買ってあげました」
「見てみたいけど、そろそろ時間だから明日着いたら見せてほしい」
「わかりました」
衣服の注文を済ませ、私とイザベラとジュリアナは店を後にし、宿に戻った。
12少し前に着いた宿のロビーには、既にエレノアとセリーナ、後は寝起きと思わしき華さんが居た。
会って最初に口を開いたのは、華さんだった。
「ご、ごめんなさい。皆さんが今日の準備をしている中、寝坊してしまい」
「良いって、午前中はみんな各々の個人的な買い物していただけだから。今日の準備はご飯食べたあとにする予定だから、気にしないでって」
「ありがとうございます。」
「では、お昼ごはん、行きましょうか。行きたいお店の案がある人~?」
「川の北側の通りに、美味しい日本食屋さんがあるので、そこ行ってみたいです」
「じゃあ、ここでいい?」
「「「「異議なし」」」」
「では、荷物は一旦ここで預けて、ご飯行きましょう」
「「「「「はーい」」」」」
宿から歩いて10分ほどの、宿とは反対側の、川の向かい側に食欲が盛り上がるお店はあった。外観は普通の町の食堂といった感じで、特に興味をそそるような見た目はしていないが、エレノアはこの店の何に惹かれたのだろう・・・・・・そんな疑問と期待を頭に乗せつつ、店の中に入る
「いらっしゃいませ。お客様は・・・・・・」
「6人です。予約してませんが空きはありますか?」
「問題ありません、こちらへどうぞ」
店内に案内されると、いくつかあるテーブル席ではなく、畳敷きの座敷に案内された。
「こちらがお品書きになります。決まりましたら・・・」
「「「「「トンカツ定食。」」」」」
「えっと、そちらの背の高い方は?」
「私もトンカツ定食で」
入ってすぐに、選択権も無く注文するものが決まってしまった。そんなに美味しいのか、これ?
「ねえ、エレノア、何でみんなトンカツ定食頼んでいるの?」
「え、魔王様知らないんですか?ここに来たらこれと言われているくらい有名ですよ」
「ありがとう。知らなかった」
昔だれか言っていたな……でもあれも5年前に来た時の話だったはず
「そういえば、エレノア、今日は何買ったの?」
「ん~魔王様見ちゃいます?」
そういって、彼女は2ペアの装飾品を出してきた
「これがね~付けた人同士で魔力の融通をする魔道具で~」
彼女が説明し始めたところ、頼んでいた料理が運ばれてきた。これが例のトンカツ定食か……あれ、前に見たことある気がする。確か私はその時は頼まなかった……でも今回は試してみる。
味の方は、トンカツ自体が脂身が多めでかなり重くのだが、肉と衣が薄くて、口の中に簡単に入っていく作りになっている。トンカツそのものに味はたいしてついていないので、ソースか辛子か何かで味をつけるのが良いみたい。ちなみに私は大根おろし+ポン酢で頂きました。非常に美味しかったです。
周りを見渡すと、みんなは私よりも早く食べ終わったようだ。
私はお会計をしながら、出る前までにしないといけない行動を伝えた。
「では、今から今日の夜の買い物に行きます」
「「「「「おー」」」」」
丁度昼食が終わり、外にでたら、13時ごろになっていた。軽く今日の夜の準備の買い物をしたら丁度良い時間になるだろう。
我々は市場に向かった。少し遅い時間だが、未だに多く行商が屋台を開けており、商品もまだたくさん準備されていた。
「魔王様。今日の夜の準備って何が必要なの?」
「水と、今日の夕飯と明日の朝の食材と、必要なら勇者のご実家への差し入れに丁度良い何かかな?」
「私、冒険の経験が少なくて何が良いのか知らなくて……」
「私はいつも瓶詰とか缶詰、後は塩漬け肉辺りとパンを買っていきますけど、それでいいですかね」
「ああ、瓶詰は野菜の瓶詰もあると嬉しい。数は多くても良い」
そんなことをイザベラと華さんと話しつつ、買い物を進めていく。最後に瓶詰の水を1ケースほど買って終わりである。流石にこれをもって往復するのは辛いので、私は待っていることにする。
「私がこの広場で待っているから、イザベラと華は宿に荷物取りに行ってきな。ついでに私のも取りに行ってほしい」
「「わかりました」」
さてと、荷物を適当な魔術で空中に浮かせつつ、誰もいないうちに高そうなウイスキーとブランデーと缶詰の魚をいくつか購入。これもとりあえず空に浮かせておく。元の位置に戻って、あの4人を待っていると、自分の目の前に小銭が落ちてきた。困ったことに、空に荷物を浮かせておくのは大道芸か何かだと思われているようで、おひねりが落ちてきているようだった。あんまりにも申し訳ないので、後で教会に寄って寄付してこよう……。
そんな感じで時間をつぶしていたら、例の2人が戻ってきたようだ。両手いっぱいに荷物を抱えていて申し訳ない感じがあるが、ちゃんと3人分あるようだ。
「魔王様、荷物取ってきました」
「結構重かったんですが、何入れてるのですか?」
「普通の着替えと、化粧セットと、後は仕事の資料の一部と持ち出し用の普通サイズの斧」
「斧必要でした?」
「今日は必要になるかもしれないな」
そんな会話をしていると、勇者と魔法使いと戦士という強そうな3人も買い物が終わったようである。
「アデレード様、買い物終わりました」
「ジュリアナは何買ってきた?」
「指示通り、今日の夜必要になるものです」
「えっと……」
そこにあったのは、短剣が3本、銃弾が200発、カッチカチのパンが1斤とカッチカチの干し肉も1/2lb、酒が1ガロン……一体何をしに行くのだろうか。
「ああ、問題ない。とりあえず移動しようか」
「どこに行くんです?」
「ここの近くの薬屋。そこで馬車が待っているから」
朝一に会った薬屋に全員で行き、もう一度馬車と依頼していた薬を受け取る
「済まないが、少し外で待っててくれないか?この薬屋が小さくて全員は入れない」
「「「わかりました。待ってます」」」
そういって、私は中に入った。
「すみません、午前中に薬を依頼したものです。できてますか?」
そう言うと、店のカウンターの下から、小柄なお姉さんが顔を出した
「午前中の背の高い……少し待っててくださいね……確かこの辺に……あった」
依頼していた薬を受け取り、代金を渡す。
「ありがとうございました。」
「ついでに、馬車の件もあるから、呼んでくれると助かる」
「わかりました。呼んできます。」
そう言うと、彼女は奥に入ってしまった。私はカウンターの上にある薬の入った紙袋を掴んで、店の外に出る。
「もう戻られたのですね、魔王様」
「これ受け取るだけだったから。」
「中身は何ですか?」
「傷薬とか体力回復とか、そんな効能の薬かな」
「やっぱり、魔王様でも夜の街の間の移動は緊張しています?」
「そこまでではないよ、ジュリアナは速さに長けたアタッカーだし、エレノアは強力な後方支援ができるし、華のヒールだったりバフは使い勝手が良い。準備さえしていれば負けることは絶対にないから信頼はしているよ」
「そうなんですね……魔王様から私たちを信頼しているという言葉が聞けたこと、うれしいです」
そうこうしていると、乗る予定の馬車が来たようである
「あなたが、アデレードさん?」
「そうだ、午前中に話をした通り行先と荷物と人で頼む」
「了解した。ではみんなを乗せてくれ」
「この人の言うとおりに、荷物と一緒に乗り込んでくれ。荷物は後ろに置き場があるから、荷物はそっち、座席は前」
「「「「了解しました」」」」
順番に乗り込む勇者ご一行。意外と荷物が多いが、今回の馬車なら問題なさそうだ。私の浮かしていた荷物も、後ろからいれて、ロープでタイダウンして積載完了といった感じである。
そして、我々が乗ると同時に、馬車は動き出した。時間は予定通り14:30分。ここから夜通し走って、勇者の地元であるブライアベリーまで約26時間、馬車で移動し続けるのだ。
なお馬車の中だが、見た目は小屋に車輪がついているような作りをしていて、快適性には期待できなさそうだが、貨客混載にしては座席は広く快適で、ベッドにも転換ができる構造となっている。
しばらくはラディアントクレストの街の中を走り、街を出たら20時ごろまで走り続けるそうだ。
朝食の下りはかなり冗長だった……多分勇者がプレート3枚積んだところを見た魔王様の気分はこんな感じ。
ちなみに、グルメ話で引っ張るつもりは無かった。
次回は絶対に勇者実家に到着させます。(この章で到着させようとしたら1万字越えそうになったので分けた)




