3. 始まりの街(プロローグ)➂
「ただいまー」
「んぁ、お帰り兄さん」
自宅へ帰った俺を妹が壁越しに出迎えてくれた。多分テレビを見ているのだろう。
俺はそのまま二階にある自分の部屋へそのまま進んだ。
俺は成績が悪いから二年のうちに勉強を始めないと大学へ行けなくなってしまう。
俺の能力では成績が良くないと就職になかなけつけないのだ。逆に高かったら能力低い者こそ研究員や外交官で引っ張りだこなのだが。
世の中は実に世知辛い。
〔カリカリカリ、カリ、カァ...〕〔バタン〕
「ふあぁ~ぁ」
机に座って時折スマホを見ながら勉強してたらいつの間にか寝落ちしていた。
「今何時だ?...、?!もう12:00近くじゃないか」
机に置いてある時計で時間を確認しては飛ぶように起き上がった。
「二時間近く寝てるじゃないか...、コンビニでエナドリでも買ってあと二時間は頑張るか...」
うちの近くには運よくコンビニがありよく夜な夜な勉強をする俺にとってはとても助かってた。
まぁ近くと行っても坂道を少し下り横断歩道を渡った先なのだが逆にその微妙な距離が勉強の合間の良いリフレッシュになっていいのだ。
「愛衣、少しコンビニ寄るけどなんかいるらもの...ってもう寝てるか」
妹の部屋を通りざまに聞こうと思っていたがもうどうやら夢の中のようだ。
特別仲良いとも仲が悪いとも言えない兄弟仲だがやっぱり兄として妹は可愛い。
少し隙間が開いてる戸から見た妹の寝顔なんかもう天使だ!
そっと、扉を閉めて親が寝てるであろう部屋を素通りしそのままコンビニへ向かった。
「いらっしゃいませー」
今日も俺の好きなツナマヨおにぎりは売り切れらしい...
少し顔見知りの店員の方を見たら手招きをしてくれた。
「翔真くん、君用に一つ取って置いたよ」
規則的にやっていいのか悪いのかはさておいてとても助かる!
「ありがとうございます、田口さん」
勉強頑張ってねと言われながら俺はおにぎりとエナドリを買って店を出た。
夜の道俺は意外とこれが好きなのだ。
落ち着いていて人が居ない。時々車が通るが気になるほどではない。
ただ、暗闇はいつも大事なものを隠す...
これは、俺の人生が大きく変わった瞬間だった。
いや、状況的に一回終わったというのが適切だろうか?
そう、この日は俺が死んだ日なのであった...
〔キキキー〕
そのブレイキの音は突然聞こえてきた。
何だろうと思って左を見たらそこには真っ直ぐにこっちに迫って来るトラックが一台あった。
『翔真くん?!?!』コンビニから飛び出て来たのであろう田口さんの声が聞こえて来た...
そして、全ては暗闇に包まれた。
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