品がいいのは外見だけ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
歪んだ恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
何一つ配慮のない言葉が女の口からダバダバ出ます。
無機質な部屋の中、手首を壁に拘束され、身動きが取れない状態だった。冷たい煉瓦の感触が、シャツを通じて伝わって来る。このままでは自決さえも出来やしない。
彼奴はどうしているだろうか? まぁ、捕まったところで、日々下僕兼玩具扱いしている奴なんて気にも止めないか。新しい遊び道具を探すだけ。
黙って目を閉ざす。という事は、あの女から受けていた屈辱以上の事をされて捨てられるのか。
「ねぇ」
聞き慣れた女の声が聞こえる。外見だけは完成された、よく通る声。幻聴かも知れない。もしくは走馬灯か。まぁ死に際に聞こえるって言うしな。
しかし唐突に唇に感じた温さ、柔らかさがそれは現実だと警告する。
「君は何時から私を無視出来る程偉くなったの? 此処で遊ばれたいなら、そう言いなさい。私は何処でも構わないのだから」
夜にするように優しく腹筋辺りをまさぐりながら、頬を軽く平手打ちされる。驚いて目を開くと、体育座りした女がそこにいた。
彫刻のように完成された無機質で美しい顔。白金の髪はこんな冷たい牢獄の中で星の如く輝く。
「なんで……?」
「貴方の愛しいご主人様だから」
そう言って、得意げな顔をしながら拘束された俺の姿をじろじろと舐め回した。それから何かを閃いた様にポケットから端末を取り出して、此方に向ける。
「記念に撮っておこう」
カシャリ……と無慈悲な音が、あられもない俺の姿を端末に閉じ込める。
拘束を解かれた後、女はこの屋敷の主のように威風堂々とその場を後にする。辺りに散らばる無惨に転がる死体達は、女が全て始末したものだろう。どうりであの牢獄の中で、呑気に俺をいじれる訳だ。
女は高貴なハイヒールで肉塊を踏み付けて前を歩く。それから何か気が付いた様に振り向いた。
「君、何かされてないよねぇ? 男娼みたいな事」
「される前にお前が来たからな」
「そう。それは良かった。されてたら、この子達も新しい実験台にするつもりだったから」
殺すよりも怖いことを平然と言い放つ。外見の華美に反し、中身は醜悪な本性をよく表していた。
「難儀だね。私も君も。生まれた時から傾国で、私は強いから蹂躙する側だったけれど、貴方は弱いからされる側だった。何時、何処の馬の骨かも分からない奴に、手垢で穢されるか分かったもんじゃないよ。まぁ奪われたら奪い返すし、奪い返したら、それ以上の事して依存させるだけだけど」
そう言って傾国の美女はせせら笑う。帰ったら徒じゃ置かないとは分かりきった事だった。
屋敷に着く。重厚な扉が閉まった。途端、女はくるりと振り向いて、上半身を押し付けてくる。巧妙に腰周りをだけを浮かせ、その隙間から手を差し込んだ。手つきが卑しいのは、出会った時から変わらない。
「君、怖い思いをしたでしょう? だから何時も以上にずっと良くなれるよ」
「ちったぁ休ませろよ、アバズレ」
「部屋に返したら一人遊びするでしょ?」
互いが互いに傾国故に、馬の骨から手を出される人生な二人の話。
対照的なのは、強いか弱いかの違い。
蹂躙する側か、される側かの違い。
お互いがお互いに傾国故に、惹かれあってはいますが、性格がねじ曲がっているので、愛も歪んでます。
今まで受けた仕打ちから当たりが強い彼と、選り取りみどり故に、愛情表現が分からず、奪うことしか出来ない彼女の話。
独占欲強い子が好きなんですよ。まぁ、訳は分かりますが。
一目惚れから独占欲剥き出しにする話も書きたいです。
彼女、口調“だけ”は優しいですよ。
平気で詰るし、鬼畜上等です。
そうして堕ちゆく姿を見て楽しむタイプの性癖異常です。