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リア充爆発

作者: 空川 億里

 全世界でリア充が爆発していた。理由は鴫原しぎはら博士が開発したリア充爆発ウィルスの影響だ。

 鴫原は日本の名門大学を卒業した一流の科学者だが女性にもてず、40歳になっても独身で恋人はいない。

 世界中のカップルや夫婦に対し嫉妬と憎悪の火を燃やす鴫原は、やはり女性にもてず35歳になっても独身で彼女のいない助手の牧田まきたと共に、リア充爆発ウィルスを開発した。

 そして、それを密かに世界中にばらまいたのだ。

 全世界のリア充が爆発した頃鴫原はあらかじめ開発していたリア充爆発ウィルスに感染しないためのワクチンの開発を発表した。

 それによってリア充爆発ウィルスは無力化したのだ。鴫原は特許料で荒稼ぎしたうえ、ヒーローとしてもてはやされた。

 鴫原に突然モテ期が到来し、ある女性とデートする事になったのだ。

 当然2人共ワクチンを接種していた。このワクチンは副作用が全くなく、打てば絶対感染しない優れものだ。

 デートを予定していた日曜鴫原と相手の女性は待ち合わせの場所で落ち合った。

 そして予約していたレストランに向かう途中、2人共突如爆発したのだ。


「いい気味だ」

 爆発して遺体となった鴫原達を離れた所から見ながら、牧田は思わず口にした。

 ワクチンの特許を取った鴫原は巨万の富を手にしたが、開発に協力した牧田には大した金は入らず、脚光を浴びたのも鴫原博士だけである。

 鴫原には大勢女性が寄ってきたが、牧田は今も非モテである。

 怒りと憎悪と嫉妬に狂った彼は、密かにワクチンの効かない変異株を作り、鴫原に感染させたのだ。


 鴫原達の死体を見て満足した牧田は帰宅しようとした。

 が、そこへ、体格の良い背広姿の男達が現れた。

「牧田さんですね。あなたをリア充爆発ウィルス開発の容疑で逮捕します」

 男達のうちの1人が、警察手帳を牧田に見せた。

「証拠は上がってます。すでに鴫原博士とあなたが働く研究所は調査しました」

 牧田はすっかり縮み上がった。

「が、場合によっては助けてやらなくもないです」

 刑事が話した。

「どうすれば、助けてくれるんですか」

「政府のためにウィルス兵器の研究をしてください。それが交換条件です」


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― 新着の感想 ―
[一言] 世界観が面白いですね!
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