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94.テンプレ的に、修行大会を宣言する俺。

シンジ君、修行大会を宣言するの巻。

修行。それは、テンプレにおける神の言葉。(ヲイ)

 手続きと打ち上げが終わったシンジは、その足で男爵邸に向かった。


 今回の護衛任務では、任務以外のところで色々な経験を積んだシンジだった。特に、魔力循環が一般的に知られておらず、それを他人に教えるという経験を積めたことは、シンジの脳裏にひとつの可能性を閃かせたのだ。


 もしかしたら、アンリとアイリスは、まだ強くなるかもしれない。


 その可能性の一端を、実験的な教育によるアンダーソンの成長度合いに見たのだ。もちろんシンジとしては、実験のつもりはなかったのだが。


 もちろん、現状であれだけの剣が使えるふたりだ。無意識に魔力循環をしている可能性は高い。ただ、意識して技術的にマスターすれば、より高度な魔術や体術が使えるようになる可能性がある。


  創造神(ようじょ)は言っていた。今回のカード改変でのテンプレ達成により、反動が起こると。


 その対処に、アンリとアイリスを巻き込めれば、危険も成果も分担出来だろう。皆ハッピーだ。


 もちろん、本当にフェンリルや竜が出てきたら、今のふたりでは荷が重い。


 だから、短期間で魔力循環をマスターさせて、戦力を向上させる必要がある。


 それに創造神(ようじょ)は言っている。テンプレとは、『友情』と『勝利』、そして『修行』であると。


 子供は『努力』がキライだが、『修行』はスキなのだ。主に龍の珠のせいで。


 子供ではないが、アンリとアイリスにはガッツリ修行をしてもらおう。


 「おひさー」


 予想通り、兄妹は庭で剣の稽古をしていた。


 「シンジさん、戻られたんですね」 


 「うん、昼頃ねー」


 真っ先にアイリスが気づいて話しかけてくる。ちょっとワンコっぽい。 


 「おふたりはいつ戻ったの?」


 「4日前ですね」


 さすがに寄り道なしで帰っただけあり、大分到着は早かったようだ。


 「あ、アイリスさん。ご領地(ラックブック)寄ったけど、凄いことになっていたよ。お楽しみにね」


 「え? え? 何があったんですかッ!?」


 「ひ・み・つ♡」


 原因となった人間が言って良い言葉ではない。


 すっごく気になるんですけどーと騒ぐアイリスを置いて、シンジはアンリに話しかけた。


 「アンリさん、修行好き?」


 「え? あ、いや、修行が好きと言うよりは、ある意味強くなりたいからですね。騎士隊の総隊長としては、手を抜けないというか」


 「真面目か」


 とても優等生的な答えである。実にアンリらしいというか、イケメンで真面目で強くて総隊長とか、モテるために生まれてきたような男である。ケッ!


 「ですから、毎日剣を振っているわけですが。なかなか強くなるのを実感するのは難しいですね。もちろん騎士隊の場合、定期的に魔の森で魔物を狩りますので、その分魔力を受けることも増えますから、強くなりやすいのですが」


 魔物を倒せば、その分魔力が自分に宿り、扱える量も増える。魔物が強ければ、その分受け取る魔力が増える。もちろんアイリスの時の様に『風』と感じるほどの魔力を受けることは希だが。


 「ねえアンリさん。『力が欲しいか?』」


 「は?」


 シンジが、急に声色を変える。器用な奴だ。もちろんアンリには、何のことなの(テンプレ)か分からないが。


 「んーとね、『魔力循環』って言葉、知ってる?」


 アンリが首を横に振る。やはり知らないらしい。


 「じゃあ、魔物と相対した時、身体強化は使ってる?」


 「ええ、それはもちろん」


 ヒトの素の力では、魔物に対抗出来るわけがない。当然と言えば当然だろう。


 「ちょっとやってみて?」


 アンリは言われるままに、剣を握り直して気合を入れて力を込めた。すると、オーラの様に魔力が体を覆う。


 「なるほど、うん、無意識には練っている(・・・・・)みたいだね」


 シンジがうんうんと肯くが、アンリにはさっぱりわからない。


 「アイリスさんもやってみて」


 同じようにアイリスも剣を構えてオーラを出した。アンリには届かないが、なかなかのオーラ量と言える。


 「うん、ふたりとも、ちょっとコツを掴めば出来そうだね」


 ふたりが首を傾げた。


 「じゃあ、テンプレ名物修行大会逝ってみようか?」


 シンジがニヤリと笑うと、ふたりの身体は何かを感じ取ったのか、プルリと震えた。

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