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81.テンプレ的に、総本神殿の偉い人と話す俺。

シンジ君、気合を入れられるの巻。(チガ)

テンプレファンタジー世界の良いところは、科学技術を魔術で補えるところですよね。(ヲイ)

 幼女の下(天界)から下界に戻ったシンジは、片膝ついて畏まるハルクとフレディを見た。


 「ハルクさん、フレディさん、どうしたの?」


 「「は、使徒様、お戻りをお待ちしておりました」」


 シンジは顔をしかめる。


 「やめてそーゆーの。俺は一介の冒険者……騎士爵に過ぎないんだから」


 「は、もちろん心得ておりまする。神殿の中でだけの話ですので」


 変わらないハルクとフレディの態度に、シンジはため息をつくと、幼女のところ(天界)で話した内容を確認する。 


 「で、石鹸の話だけど、本当に記録って残ってないの?」


 ハルクとフレディは顔を見合わせる。


 「200年も昔にいたバカな国王のせいで、すべての記録が失われています。何度も再現を試みているようですが、未だに成功したという話は出ていません」


 そんな昔の話だったのかとシンジは驚いた。それほど頻繁に転移者が来ている訳ではなさそうだ。


 「作り方は知っているし、必要な材料も分かるけど、やっぱり神殿に依頼した方が権力的に安全だよね。以前の発明者は、どうしてそうしなかったのかな?」


 「さて、それは我々にもわかりません。が、発明したと伝えられるのは貴族でしたし、領地を栄えさせるために、自分たちで造っていたのだと思いますが」


 その時に愚王を倒した公爵の子孫が、今の王族らしい。芝居にもなっているとの事だ。


 「ですので、発明者の権利を守る王令が設定されたのです。今では、他の国々までそれを真似した制度があるのですが」


 それでも、後ろ盾に大貴族や王族がいないと、権利を奪われることがあると言う。


 「ほむ、世知辛いねえ。まあ、石鹸は医療に付き物だから、俺も神殿に任せようと思っているんだし。後ろ盾は強力なのが良いし」


 さすがに大神殿から利益をかすめ取ろうとする貴族はいないだろう。幼女を敵に回したくないだろうし。


 「ええ。もし使徒様の利益をかすめ取ろうとする貴族がいたら……」


 ハルクが右腕を肩の高さまで振り上げて折り曲げた。斧の様に。


 「えー、うん、ま、いっか。どちらにしても、まずはギルドカードの件が無事に終わってからだよね」


 「あ、左様でございますな。それでは、こちらへどうぞ」


 ハルクは、幼女の像の裏側へとシンジを案内した。ちょうど幼女の像が座る椅子の真後ろに、テーブルのようになった部分があり、そこには鏡のようなものが嵌まった台が置かれている。


 「これ、化粧台?」


 そう、コンパクトな化粧台のように見える。それが幼女の背中側に設置されているのは、違和感ありまくりであった。


 「いえ、使徒様。こちらは、総本神殿へと繋がる神具です。創造神テプレーナ様より、神殿が拝領しているものになります」


 何でも、奥の神の間がある神殿にしか設置できないものらしい。


 ハルクが鏡の前に座ると、懐から鍵のようなものを取り出し、鏡の上にある鍵穴に差し込んだ。どうやら、起動キーになっているようだ。


 シンジの目には、その瞬間に幼女の像から膨大な魔力が流れ込んだのが見えた。『鑑定』が働いたらしい。


 しばらく待つと、鏡からノイズのような音が聞こえた。


 「こちら総本神殿神の間。オーバー」


 「アマ無線かよッ!!?」


 どうやら、これも幼女の入れ知恵らしい。


 「ウィンサー王国のハルクです。総大祭司教長様にお繋ぎを。重大な神託がありました。オーバー」


 「少々お待ちください。オーバー」


 しばらく沈黙が続いた。


 「ねえねえフレディさん、もしかして、神殿のチョー偉い人呼んでんの?」


 「ええ、使徒様。これから神殿の総責任者であるアントニー総大祭司教長様とお繋ぎします」


 「俺がいていいの?」


 「使徒様もご紹介しますので」


 「えー」


 嫌がるシンジをなだめるフレディ。そうこうしているうちに、鏡から再びノイズ音が聞こえた。


 「アントニーだ。重大な神託と聞いたが?」


 鏡には、妙に顔の長い、いかつい男の顔が映し出された。どうやら、最初だけ無線で、後はテレビ電話らしい。


 「総大祭司教長様、ハルクです。先ほど使徒様と、フレディ大祭司長とともに天界に行ってまいりました」


 「フレディというのは、新たに枢機卿に任命された者だったな。使徒様もそこに居られるのか?」


 その質問に、ハルクはシンジの方を向いた。


 「使徒様、総大祭司教長様にご紹介します。こちらにお座りください」


 シンジは、席を空けるハルクの横に座る。


 「初めましてー。私、シンジ=クロスという、一介の冒険者にございますー」


 シンジがへへー、と頭を下げる。


 「ダァーーーッ!!」


 突然、アントニーが拳を高く上げて吠えた。


 「ちょ、ちょ、ハルクさんッ!? この偉い人、どうしちゃったのッ?!」


 「総大祭司教長様は、闘魂を燃やすために雄叫びを挙げる癖がありまして」


 「レスラーかいッ!!?」


 どうも、神殿にはその筋の人たちが集まっている気がする。これも幼女の陰謀だろうとシンジは納得する。頭に響く《儂は無実じゃー》という声はアーアーキコエナイ。


 「使徒様にお目見えするとは、感動だッ!」


 アントニーが滂沱の涙を流している。


 「ぜひ直接お目にかかりたいですぞッ!!」


 「あー、まーそのうちね……」


 「その際には、気合のビンタを入れていただきたいッ!!」


 「逆でしょそれッ!?」


 「それで、重大な神託というのは?」


 いきなり平静に戻るアントニー。シンジはずるっとコケるが、横からハルクが答える。


 「15日後にギルドカードに大きな改変が行われます。技術・魔術・武術の欄が設けられ、そこに熟達度が載せられます。段位表記というそうです。『真理の石板』を預かりました。先に内容だけ送ります。原版は、総本神殿に輸送しますので、保管いただきたい。内容については、全国家・ギルド組織への通達を命じられました」


 「承知した。早急に内容をまとめて送るように」


 「ははッ!」


 ハルクの説明は簡素でありながらも十分な内容で、聞いているシンジも思わず感心してしまった。


 「では、通信を終わる。オーバーアウト」


 「最後は無線に戻るんかいッ!?」


 シンジのツッコミは、鏡に戻った画面に空しく吸い込まれた。

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