80.テンプレ的に、フラグを阻止する俺。
シンジ君、金儲けを志すの巻。
モノづくり金儲けは基本。
そこで、意を決したようにハルクが幼女に尋ねてきた。
「創造神様、もしよろしければ、聖魔術の熟達レベルをご教示ください」
言いながら、ハルクは土下座する。
「ほう、何故じゃ?」
偉そうに幼女が答える。まあ、確かに偉いのだが。
「神殿は、聖魔術で民を支えていると自負しています。ですが、聖魔術の実力は人によりまちまちです。そこに、明確な基準があれば、神殿の人の配置も工夫できますし、高段者の位階を上げて配置し直すことも出来ます。また、段を上げるきっかけにもなると思われます。ですので、どうか、どうか……」
非常に真っ当な具申である。はっぱ踏み踏みを喜ぶ姿からは想像もできないくらいだ、とシンジは思った。
「ふむ。なるほどな」
「いいんじゃない? 医療は大事だよ?」
シンジも思ったことを言う。幼女は口を挟んだくらいで怒ることはないと思ってのことだ。
「シンジもそう言うなら良かろう。では、先ほどの一覧を聖魔術に絞って記すとしよう。それッ!」
幼女が再び天井に手をかざし、また光を生む。同じように収縮し、石板が生み出される。
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4級 初心者。自分のささくれなどを治せる
3級 初級経験者。自分のちょっとした切り傷などを治せる
2級 経験者。自分の出血レベルの切り傷などを治せる
1級 初級者の壁。他人の出血レベルの切り傷などを治せる。ここから治療師が名乗れる
初段 中級者。一定の負傷を治せる。簡単な病気も治せる
二段 中級者の壁。内臓の簡単な負傷を治せる
三段 上級者。切断箇所をくっつけて治すことが出来る
四段 上級者の上位。手足をくっつけて治すことが出来る
五段 才能の壁。知識があれば瀕死者を治すことが出来る
六段 名人と呼ばれる。知識があれば脳損傷を治すことが出来る
七段 人類到達可能最高点。知識があれば遺伝子治療が可能
八段 伝説の存在。人外。死後短時間なら蘇らせる
九段 亜神認定。肉体の一部が残っていれば死者復活が可能
十段 神と同等。肉体ごと死者復活が可能
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「これ、五段以上は知識があればってなってるね? あと、病気関係がほとんど書いていないね」
「もちろんそうじゃ。人体の仕組みや病気の原因を分かっておらねば、怪我も病気も根本からは治せまい?」
非常に納得いく話ではある。
「あれ? 待って待ってちょっと待って? 俺、聖魔術八段になってなかったっけ?」
シンジは、蘇生魔術が使えるらしい。
「当然じゃろう。お主は元々大雑把にでも人体の仕組みを知っておったし、『ちゅうとりある』で嫌という程学んだであろう? それだけの知識があれば、段数も上がろうというものよ」
確かにシンジは、チュートリアル中に何度も自分の怪我を治している。手足がちぎれるくらい、慣れっこになってしまっているのだ。慣れたくはなかったし、死んでもニューゲームだったのだが。
「おお、それでは使徒様に教えを乞うのは?」
「俺医者じゃないし、専門知識とかは伝えられないよ? せいぜい保健と衛生の基本とかレベルだし、第一俺の知識を簡単に伝えるのはまずくないの? テンプレ反動的に」
シンジが幼女に確認すると、幼女は形の良い眉をひそめた。
「ううむ……。まあ、細菌やウイルスの概念とか、衛生管理程度なら大丈夫だと思うが」
ふと、シンジは以前の会話を思い出した。
「そー言えばさ、石鹸って知識断絶しているんだったよね。その辺のチートとお金儲け許されるなら教えても良いよ。と言うか、ぜひ認めてほしいわけですが何か?」
お金は大事である。シンジの生活や領地開拓費用的に。
「おお、そうじゃったのう。衛生グッズテンプレが達成できるのか。それならば許可しよう」
幼女がパチッと手を鳴らした。
シンジは、内心しめしめと思う。アメニティ&美容グッズテンプレまで拡大解釈可能だからだ。
「おおッ! 使徒様は、失われた『石鹸』などの知識もお持ちですかッ!? それならば、神殿で製造を請け負いますぞッ!!」
ハルクとフレディが喜ぶ。
「ちなみに、今はどんな風に洗濯や洗い物しているの?」
「主に、生活魔術やソープベリーという木の実でやっていますな」
生活魔術は便利である。
「じゃあ、後で相談しましょう。そうしましょう」
シンジとハルクたちは肯き合う。とても良い笑顔で。
「では、ハルクとフレディは戻るが良い。儂は、もう少しシンジと話すことがある」
「「ははッ!!」」
ハルクとフレディが膝を付き畏まった姿のまま、姿を消した。奥の間に戻ったのだろう。それを確認して、幼女がシンジに向き直る。
「さてシンジ。ひとつ言うておかねばならん事がある」
「……イヤな予感しかないけど、一応聞きましょう。何?」
「イヤ何、大したことではない。ここまで派手なテンプレをかましたので、それなりの反動が起こる事を伝えたいと思っただけじゃ」
「ふーん、そう。って、待って待ってちょっと待ってッ!? これって俺が起こしたんじゃないよねッ!? そっちで何とかしてよッ!!」
幼女はため息をついた。
「むろん、ある程度は儂が遥か昔に施したとある呪により軽減されておる。じゃが、完ぺきではない。よって、何かが出てくると思われる。それに対処してくれれば良い」
「何が出るかな? 何が出るかな?」
「神はサイコロを振らんッ!!」
「そっちかいッ!!?」
サイコロ任せではなかったらしい。
「まあ、どちらにしても15日後にギルドカード改変を行ったら、お主らが知る『魔の森』辺りで異変が起こるであろう。それはステータスボードで知らせることにしよう」
「嬉しくないけど分かった。でも、どんなのが出るの?」
シンジの質問に、幼女は顎に手を当てて考える。
「ふむ……まあ、下級竜かフェンリル、ベヒモスあたりじゃないか? お主なら倒せるじゃろ」
「まあ、その辺なら今の俺でも行けるかな? かな?」
「ま、最悪でも」
「待ったッ! フラグが立つから言わないでッ!!」
シンジが幼女のセリフを止めた。
「ちッ」
「舌打ちしやがったこの幼女ッ!!?」
フラグを立てようとしたらしい。油断も隙も無い。
「ま、良いわい。せいぜい楽しませてくれ」
「やっぱり番組扱いかッ!!?」
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