73.テンプレ的に、国王と話す俺。
シンジ君、国王と話すの巻。
いきなり偉い人と話すのは、無駄に緊張するよね。
「邪魔するぞ」
突然、控室の扉が開かれた。全員が扉を見ると、そこには先ほど見たはずの偉丈夫が立っていた。
「へッ! 陛下ッ!?」
オリバーの驚く声に、全員慌てて椅子から降りて跪く。
「あーよいよい。この場は礼など気にするな。余がひとりで来ているのは分かるだろう。座るが良い」
「はッ!」
その言葉を聞いて、オリバーが上席を譲って椅子へ戻る。習うように、全員がひとつずつずれて座った。
ジョセフ王は、何事も無かったかのようにそのまま歩き、上座に座った。
「さて、余がここに来たのは他でもない。クロス騎士爵」
「ははッ」
シンジも、さすがに国王の前ではボケられない。……首飛んじゃうし。
「国王としてではなく、父として礼を言いに来た。ソフィアの事、救っていただき感謝する」
ジョセフ王は、そう言ってシンジに頭を下げてきた。
「え? え? 絵前には何やらさっぱり? でおじゃる?」
しんじはこんらんしている。
「余の娘を救ってくれたであろう」
「シンジさん、盗賊に襲われかけた姫の事です」
アンリが、こそっと教えてくれた。
「え? え? 姫って、伯爵様の姫でおじゃったのでは?」
しんじはまだおじゃっている。
「はい、伯爵様の姫でもあり、陛下の姫君でもあります」
「どゆこと?」
アンリは、そこで国王の方を見た。国王がひとつ肯くと、アンリが説明を始める。
「ソフィア姫は、正確には伯爵様の姪になります。陛下と伯爵様の姉君との間に生まれた姫です。ですが、今は伯爵様のもとに」
どうやら、深い事情がありそうだ。
「ほむ、それ以上は聞いちゃいけない話?」
「王家の掟に関わる話ですので、私からは」
「構わん。秘密ではない。話せ」
ジョセフ王から許しが出た。
「は、では。王家の姫と公式に認められるには、聖魔術が使えることが条件なのです。なぜその条件なのかまでは知りませんが。ソフィア姫は、聖魔術が使えなかったので、母親の実家である伯爵家の姫として育てられているわけです」
「ほむ、じゃあ、何でソフィア姫は命を狙われたの?」
「……どういうことだ?」
ジョセフ王が身を乗り出した。
「直接お答えしても?」
「構わん。ここは私的な場だ」
シンジが直答を遠慮すると、ジョセフ王は許可を出した。
「アンリさ、いえアンリ卿がいないときに、姫様が急に外出。そこを奇麗に狙った盗賊。しかも失敗とともに、3人だけが他の仲間を殺し逃亡。普通に考えて偽装した暗殺ですよね。当然お気付きだと思いますが」
「もちろん疑っておる。が、ソフィアを狙う動機が分からん。聖魔術も発現しておらず、王宮におらんのに、なぜ狙われる?」
「さて、そこまでは。ですが、暗殺が目的なら、それにより得をする人間がいるという事では?」
「それはそうだろう。が、得をする人間がいるとは思えんのだが」
普通に考えて、王族と認められていない姫を狙う意味が分からない。
「現状では、姫の外出の理由と、アンリ卿がちょうどその時いなくなった理由。そこから探るしかないと思いますが、当然やってらっしゃいますよね?」
「もちろんだ。現在調査中だ」
今度はオリバーが答えた。
「なら、今は警護を厚くしておくしかないでしょう」
「そうだな」
しばらく沈黙が続いた。
「何にせよ、余の娘を救ったのは事実だ。此度の叙爵は、それも大きな理由だ。クロス騎士爵よ、改めて礼を言う」
「もったいなきお言葉」
シンジは深く頭を下げた。
「まあ、この後は叙爵パーティだ。大いに楽しむと良い。余も準備をするとしよう」
そう言って、ジョセフ王は立ち上がって部屋を出て行く。全員が立って見送った。
ジョセフ王が出て行って扉が閉められると、再び全員が椅子に座る。
「いやー、キンチョーしたー」
シンジが机に突っ伏した。
「陛下は気軽に動くからな。慣れておいた方が良い」
オリバーが笑いながら言う。
「それでは、我々もパーティーに行くとするか」
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