70.テンプレ的に、アンリにいろいろ嵌められた俺。
シンジ君、アンリに嵌められるの巻。
決してカタカナにしてはいけない。(ヲイ)
「シンジさん、お疲れ様でした」
精神疲労困憊のシンジを、アンリが出迎える。シンジは、磨かれた上で礼服を着せられ、崩れるようにソファに座った。
「メイドさん怖い……」
シンジの目が虚ろである。
「あー、王都伯爵邸の湯殿付きメイド、凄いですからねー……」
「いや、あれってそういう問題じゃないよね」
そういうアンリの目も虚ろである。どうやら、アンリも磨かれた口らしい。
「で? 俺も叙爵されるのね。王宮にはいつ行くの?」
先ほど出迎えのメイドが、王宮という言葉を発していた。という事は、シンジも連れられて行くという事だ。
「あ、分かりました? シンジさん、嫌がって逃げるかと」
「いやあ、あの嫡男様の提案がいいなーと思ったんだよねー」
「兄上の? ああ、確かに」
そう、爵位は貰っておいて、冒険者として満足したら村開発をイチからやろうとか、開拓テンプレの醍醐味だろう。
そんなチャンスはめったに来ないだろう。ならば乗るしかない。このビッグウェーブに。
「ただ、俺は叙爵の時の礼とかまでは知らないよ? 大丈夫かな? かな?」
「ああ、それなら、順番的にアイリスの方が先になるので、同じようにすれば大丈夫ですよ」
なるほど、それならば安心だ。
「じゃあ、シンジさんの準備も出来たし、早速行きましょうか」
「あいよー」
◇
連れられてきた王宮。さすがに王の座するところだ。非常に煌びやかである。
「では、シンジさんはあちらに。係の者が先導しますので」
「ん? ここからひとり?」
シンジ的には、非常にアウェー感が強いので、勘弁してもらいたいところだ。
「ああ、叙爵者の控室に行けば、アイリスもいるはずですので、大丈夫ですよ」
「りょーかい」
係員に連れられて行くと、大き目の扉が待ち構えていた。扉の前には衛兵が立っている。係員がシンジの到着を告げると、衛兵が扉を開いた。シンジはそのまま先導されると、中は豪華な待合室、といった風情である。
端にはメイドがふたり控えており、中央の大きなテーブルには、アイリスが優雅にお茶を飲んでいる。
ふと、アイリスがこちらに視線を向けた。
「あ、シンジさん、到着されたんですね」
アイリスがカップを置き、こちらに話しかけてきた。シンジも誘導されて、向かい側に座る。
「アイリスさん、おひさー」
シンジがぱたぱたと手を振って挨拶する。
「アイリスさん、ドレスアーマーなのね。騎士甲冑じゃないんだ」
よく見ると、アイリスはドレスの上に部分甲冑を着けたような、煌びやかな姿だ。
「そうですね。騎士を兼務する女騎士爵の正装は、ドレス型のアーマーなんです」
アイリスに良く似合っている。ただ、男装の麗人風ではないが。
「でもシンジさん、王宮なのに調子が変わりませんね」
「いやあ、めちゃめちゃキンチョーしているよー。たぶんきっとめいびー」
緊張している人間の言ではない。
「で、ちょっと聞きたいんだけど。叙爵式って、どんな感じなの? 剣とか肩に当てちゃったり?」
「え? それは騎士の叙任の時ですね。爵位授与は、マントを与えられます。騎士爵は、黒のマントですね」
なるほど。それで肩に大きなボタンがあるわけか。シンジは納得した。
実際には、肩のボタンと首元のチェーンで留める。
「ほむ。じゃあ、アイリスさんの真似すればいいのね」
「え? 私は女騎士爵ですから、ちょっと違いますけど?」
「うそーん。……アンリさんに嵌められた」
シンジの顔が少し青くなり、頬にちょっと汗がつたう。
「え? あ、兄上は男性だから、確かに細かくは知らないかもしれませんね……」
どうやらアンリがやらかしたらしい。
「私は両方分かりますから練習します? 短時間しかありませんけど」
「よろしくお願いしますう……」
シンジは、深々と頭を下げた。後でアンリさんはお仕置きだべぇとか考えつつ。
俺もアンリにはめら……げふんごふん。
えっと、よろしければ、★とブックマークをお願いいたします。(マテ)




