表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/135

61.テンプレ的に、再び村にたどり着く俺。

シンジ君、村へたどり着くの巻。

ラックブック村……。(ヲイ)

 「な、なにアルかッ! この壁は……ッ!?」


 ラックブック村に続く街道を進むと、突如目の前に現れた、ずーっと連なる土で出来た壁。


 当然、前回チャンが来た時には、こんなものはなかった。


 「すごいアルね! 村の防備、完璧じゃないアルか?」


 リンシャンも興奮気味だ。


 「なるほど、これか」


 ボーブも、話は聞いていたのだが、実際に見ると感心したようで、しきりに肯いている。他の3人もだ。


 前回シンジが街道に沿って開けた壁の穴には、粗末ながらも木の門が取り付けられていた。


 「うーん、この木の門だと、ちょっと防備上心配だねえ」


 シンジが、正直な感想を述べると、全員がうんうんと肯いた。まあ、堅牢な土壁部分と比較したら、そう思ってしまうのも仕方ないのであるが。


 馬車が門のところまで近づくと、土壁の近くは完全に空堀になっており、門に連なるところだけが道となって奥に続いている。シンジが修復したままの状態だ。


 門の上には、木製の物見台が見える。そこには、初老の村人がひとり、座ってこちらを見ている。


 「商隊の人かぁー!? 全員馬車から降りて、こちらを向いてくれーぇ!!」


 村人が声を張り上げた。村の防衛のため、そういうルールが出来たのだろう。いかに盗賊が少ない世界だと言っても、当然の用心だ。魔の森に近いためか、今までそんなことに気を遣う余裕すらなかったのかもしれない。


 「分かったアル。全員馬車から降りるアルね」


 チャンの判断で、護衛も含めた全員が、馬車の前に立った。


 「これで全員アル! 問題ないアルか!?」


 チャンが初老の男に問いかけると、男は声を返してきた。


 「おお、チャンさんかぁッ! ちょっと待ってくれ! 今開門」


 男の声が途切れた。そこで、シンジと男の目が合う。


 「シンジ様ッ!? シンジ様じゃないですかッ!!」


 「「「「「「シンジ様ぁ!?」」」」」」


 商隊全員の声が揃った。


 「シンジ様ッ! すぐ開門しますッ!!」


 初老の男が、慌てて門の裏に降りたのか、すぐに姿が見えなくなった。 


 「……シンジさん、村人から『様』付けされるとか、アナタ何やらかしたアル?」


 チェンが信じられないものを見るようにシンジを見た。


 「あー、この村だったのか。シンジがやらかしたのは……」


 ボーブが、右手で顔を覆ってつぶやいた声が静かに響く。


 「えー? 俺のせい? 殺ったのはアイリスさんだよ?」


 シンジの主張は、ただ風に流されるだけだった。




 ◇




 開かれた門を潜り、荷馬車はコトコト進む。


 「村の中は変わっていないアルな」


 ぼそりとチェンがつぶやいた。あの魔物暴走(スタンピード)からそれほど日数が経っているわけではない。当然だろう。

 

 畑仕事をしていた村の衆が、通り抜ける馬車を見て片づけを始めた。買い物の準備をするのだろうか。シンジは何となく、行商が村に来る時のちょっとはしゃぐような空気を感じた。


 畑を抜けると、村の中心部が見えてきた。あの教会と村長の家が並ぶ、広場になっているあたりだ。


 「村長さんに挨拶するアル」


 馬車を止めると、チャンはすたすたとリンシャンを連れ、村長の家に向かう。シンジが一緒に行かなくて良いのかとボーブを見ると、ここは待っていてよいと、顎で合図された。


 いつの間にか、シンジとボーブは無言で会話できる仲になっていたようだ。


 「なぁおいシンジ、お前さっきぃ、様付けで呼ばれていたよなぁ? ボーブは何か知っているみたいだったけぉ、何やったんだぁ?」


 スナーブから質問が飛んできた。相変わらず特徴的なしゃべり方だ。


 「いやあ、言っても良いものかどうか。ボーブさん、どうなんですかね?」


 「まあ、ウチの連中なら、口止めしておけば大丈夫だろ。ギルマスも俺から伝わることは分かっているだろうし」


 ボーブからOKが出たので、シンジは簡単に説明することにする。


 「実は、かくかくしかじかで」


 「何だよぉ、かくかくしかじかって?」


 「えー、これで理解できるはずなんだけどなあ」


 そういうものではない。


 「まあ、簡単に言うと、俺とアイリス=ランチェスト騎士が、オークの魔物暴走(スタンピード)を止めて、アイリスさんがロードにとどめを刺したって話ですよー」


 「ほー、オークロードね。そりゃぁすげぇや。……は?」


 3人が動きを止めた。


 「そりゃ、そうなるよな。俺だって止まったものな」


 うんうんわかるわかると、ボーブが肯いている。


 「まあ、シンジの討伐ランクはいきなりシルバーだ。これで察してくれや」


 ボーブが仲間たちの肩に手を置いて、慰めるようにポンポンと叩いた。


 「ねー、みんなこっち来るアルよー」


 そこへ、村長宅から顔を出したリンシャンから呼び出しがかかったので、全員で村長宅に向かうのだった。

よろしければ、★とブックマークをお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ