59.テンプレ的に、護衛任務の相談をする俺。
シンジ君、集合場所で盛り上がるの巻。
今は黒子無いですけどね。(ヲイ)
長期休みすいません。何とか乗り切りました。
シンジが早朝、冒険者ギルドの前に行くと、ちょうどボーブが向こうからやってくるところだった。
ボーブの後ろには、小柄で目つきの鋭い、すばしっこそうな男と、フードがマントと一体のようなものを着た、長身で細身の色男。さらに金属の棒を背中に背負ったような、詰襟を着て丸眼鏡をかけた、背の高い男が歩いている。この男は、どこか服装が神殿の物に近い。神職かもしれない。
全員ボーブと何やら話しながら来ているので、仲間なのかもしれない。
「お、シンジ来ているな、感心感心」
「新人だと遅れる奴もいるからね」
「キキッ、ボーブが言うよりマトモそうじゃねーかよぅ」
「……」
(濃い連中だなあ)
シンジがそう思ってしまうのも無理もない、個性あふれる面々である。
「シンジ、紹介しておくな。俺のパーティメンバー『暁の鐘』の3人だ」
「キキッ、おいらスナーブだぜぃ」
「僕はマリックだよ」
「……アンダーソン」
「では改めて。シンジと言います。皆さん、初めまして」
シンジは軽く一礼する。
「で、だ。見て分かるだろうが、スナーブは斥候、マリックは魔術、アンダーソンは侍祭で聖魔術が使える」
「ほむ、侍祭と言うからには、神殿関係者ですか?」
アンダーソンが声を出さず、うなずいた。
「……修行、魔術」
「ほむほむ、侍祭として回復魔術の修行も兼ねていると」
「……侍祭、冒険」
「なるなる、侍祭は神殿の外で冒険者として活動することも修行なんですね」
シンジとアンダーソンの会話を聞いて、他のメンバーが目を剥いている。
「ん? 皆さんどったの?」
「いや、シンジ、お前良く分かるな。俺らでも慣れるのに時間が掛かったのに」
ボーブが感心した声を漏らした。
「まあ、神殿絡みだしねえ。神殿長にはいろいろ教えてもらったし」
シンジが答えになっていない答えを言う。実際のところは、こういう無口キャラは慣れていただけだ。……ラノベで。
「まあいいか。アンダーソンの言動を理解してくれるなら、護衛の仕事も勘違いが無くなるだろうしな」
ボーブがひとり納得したようにうなずいている。
「で、だ。チャンさんが来る前に、色々と確認しておくぞ。シンジ、お前野営とか、調理とか出来るのか?」
「ぶっちゃけ大得意」
当然だが、シンジはチュートリアルで経験済みである。それどころか、自分で調味料から作り、発酵食品まで手を広げている。当然そのストックは、シンジのマジックボックスやアイテムボックスに山となっている。……半分は税金として徴収されていたが。
「なら、調理はシンジ君に任して大丈夫なのかい?」
マリックが、イケメン面をキラキラさせながらシンジに聞いてきた。歯まで光っている。……芸能人だろうか?
「だーいじょーぶ。まーかせて」
シンジとしては、チュートリアルで培った技術が使えるのは嬉しい。俄然やる気になってくる。
「ちょっと待て。シンジ、お前の任せては怖すぎる。本当に大丈夫だろうな? ……いや、そんな顔をするなッ! お前の腕を疑っているわけじゃないぞッ!? ただ、やりすぎ注意という事だッ!」
シンジの顔がコワかったらしい。ボーブが途中で焦りながら訂正した。
「ん、大丈夫。別に野営中に本格宮廷料理とか出す気はないから」
「『きゅうていりょうり』とやらが何かは分からんが、まあ、やり過ぎないならそれで良い」
どうやら、シンジの役割は料理と準備になるようだ。
「まあ、基本は保存食なんだがな。もちろん移動中に依頼主の許可があれば、狩りをする事も出来るが」
「しつもーん。『暁の鐘』だけの時は、保存食ばっかりなのかな?」
「一応、マリックとスナーブが簡単な料理が出来るぞ。焼くのと、スープくらいだがな」
なるほど、マリックが先ほどキラキラしかったのは、料理をしなくて済むからか、とシンジは納得した。
「チャンさんが料理する場合もあるが、あの人はそんなにな。お兄さんは凄腕の料理人と聞いているが」
ほう、それは一度食べてみたいとシンジは思った。シンジは、この100年ですっかり食にこだわるようになってしまったのだ。もちろん、前世も影響しているのだろうが。
すると、街中を2台の荷馬車がこちらに向かって来る。
「チャンさんが来たみたいだな」
2台の馬車は、シンジたちの横で停まった。中から2人ほど出てきたのが分かる。
「みんな、揃っているアルか」
ひとりはチャンだった。その横に、女の子がひとり立つ。背はチャンと同じくらい。肩までの黒髪は斬り揃えられ、朝日に照らされて輝いて見える。二重で大きな黒い目が涼し気で、右目のすぐ下には印象的な黒子がある。
「次女のリンシャンアルね。一緒に行くアル。よろしくアルね」
そう言って手を振ってきた。
「お、今回はお嬢も一緒か。珍しいな」
『暁の鐘』とこの少女は顔見知りらしい。
「おう、お嬢、紹介するぜ。こいつが今回同行するシンジだ」
「シンジと言います。よろしく」
シンジは礼儀正しく頭を下げる。初対面が大事だからだ。その割には、チャンには初対面で突っ込んでしまったが。……まあ、あれはしょうがないだろう。ペキンだし。
(ん? 何か引っかかるな?)
シンジはふと疑問に思った。
(リンシャン、リンシャン……チャン=リンシャン。って、ひろ子様かよッ!! お父さんを大勢で殺しに来ちゃうじゃんッ!! チャンさんピンチなのッ!!?」
そんな訳はない。偶然の産物だ。
「おいシンジ、なに物騒な話をいきなり」
「……ああごめんごめん。気にしないで」
「面白い人アルね。この辺では珍しい黒髪アルし、同郷アルか?」
ひろk……じゃなくて、リンシャンがシンジの顔を覗き込んだ。
(顔まで似ている気がする……)
「い、いや、近い場所かもしれないけど、ちょっと違うんじゃないかな。名前の感じも違うし。たぶんきっとめいびー」
ちょっとのけ反りながら、シンジが答える。
「ま、いいアル。リンと呼んでネ。年が近い同士、仲良くするアル」
そう言って、握手を求めてくるリンシャン。シンジの場合、プラス100歳なのだが。
「じゃ、そろそろ出発するアル!」
チャンの号令のもと、一同は出立するのだった。シンジの心に、若干の不安を残しつつ。
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