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58.テンプレ的に、依頼主に会う俺。

シンジ君、手品師に会うの巻。(チガ)

良いですよねえ、手品。(マテ)

 翌日、シンジは早朝に冒険者ギルドへやって来た。依頼人との顔合わせのためだ。


 朝の冒険者ギルドは、依頼を探す冒険者たちで掲示板の前も受付もごった返していた。


 もちろん暴力沙汰は禁止である。朝の忙しいときにケンカなどしたら、支部長(マスター)直々に血の制裁が待っている。


 あまりのむさ苦しい光景に、シンジは酒場エリアの隅に避難しながら、ボーブと依頼人を待った。ミルク片手に。


 「冒険者が酒場でミルクを持って絡まれないとか、テンプレが分からん奴らだなあ」


 皆が少しでも良い依頼を探そうと、血眼になっているのだから、朝にやる方が悪いとも言う。


 「お、いたいた。シンジ、待たせたか?」


 その声にシンジが振り返ると、そこにはボーブとひとりの男性が立っていた。


 恰幅の良い腹に身長は160cmくらいと、ボーブより頭ひとつ分くらい低い。まあ、この国の人々が基本的に大きいのだが。


 ニコニコと笑みを浮かべながらも一重の細く鋭い目で、手入れされてまとめられたドジョウ髭。見るからに中華なオッサンである。


 が、そんな印象を感じても、シンジは一切表情に出さない。


 「今来たところですよー」


 この辺は、本来デートの時に使いたいテンプレだったのだが。デートの時に……。


 「何でいきなり暗い顔になるんだ?」


 「何でもないよー。で、そちら様が依頼主の方?」


 「初めまして。私チャン言うアルね」


 「まんまゼンジー語かいッ!?」


 シンジの言葉に、チャンが驚いた顔をする。


 「アイヤー! 始祖様の事を知っているアルか!」


 「始祖様?」


 「そうアル。手妻(てづま)で人を惹きつけて商売をする技を開始した、一族の偉大な創始者ネ。善師(ゼンジ)ペキン様言うアル。商売人なのにとても慈悲深いので、善師のふたつ名が付いたネ。この話し方は、善師様が広めたアルね。知ってたアルか?」


 「マジかッ!!」


 まさかシンジもそう来るとは思ってなかった。


 「そうアル。その弟子だった御先祖様が、火を噴く芸を身に着けて、この大陸まで来て商売を始めたアルね。チャン=チャンコ言うネ。偉大なご先祖様アル」


 「オイ幼女ふざけんなッ! 絶対お前の仕業だろッ!!?」 


 シンジは、思わず叫んでしまった。


 なぜか頭の中で『しらんしー』とか響く声が聞こえた気がした。




 ◇




 「では明後日、一の鐘でギルド前に集合ですね」


 シンジが確認すると、ボーブが答えた。


 「ああ、だがシンジ、お前野営道具とか持っているか? 食事はチャンさんも出してくれるが、念のため自分でも持っていないとダメだぞ」


 「そうアルね。今日は、ボーブさんに聞いて準備するヨロシ」


 チャンもそう言ってきた。どうやら、ギルドの言う通り新人を育てる気満々のようだ。


 「んじゃ悪いけど、どんなものが必要か確認したいから、ボーブさん付き合ってね」


 「ん、わかった」


 そこで、商品の準備をするというチャンとは別れ、ボーブと一緒に、ギルド近くの店へ寄る。


 「ここが冒険者御用達の店だな。大概はここで揃うぞ。まとめて買うと、少しは割引があるぞ」


 店に入ると、広い店内は結構ごちゃっとしていて、シンジに昔良く行ったペンギンな店を思い出させた。


 「いろいろあるねえ」


 「さっきのチャンさんの店だな。いろいろなところへ行って商談をして、商品をかき集めて来るからな」


 なるほど、仕入れが強いらしい。


 「ん? 護衛では国内を廻るんだよね?」 


 「新人が同行するときはな。俺みたいなベテランを揃えて国外へ出ることも多い」


 今回は国内なので、新人を連れて行けるという事か。


 「ただなあ、お前を新人と一緒に指定良いもんかどうかなあ……」


 「俺、一応冒険者登録数日のピッチピチの新人だけど?」


 「普通は登録数日でゴールドにはならねえし、護衛依頼も受けねえんだよッ!」


 そんなことを話しながら、依頼に必要なものを選んでいく。


 「テントはどうする? 持ってるか?」


 「あるよ」


 「野営の調理道具や調味料は?」


 「あるよ」


 「火つけ道具や水筒とかは?」


 「魔術あるし、道具もあるよ」


 「……ってことは、マジックバッグも持っているって事だな」


 「いぐざくとりぃ。そのとおりでございます」


 「……お前、ほとんど持っているじゃねーか」


 そんなことを言われても、チュートリアルで揃えざるを得なかったのだ。無ければ作った訳だし。これも幼女が悪い。


 「じゃあ、後は食い物か。干し肉や固パンは?」


 「そっちは大丈夫。って言いたいところだけど、現地調達はするの?」


 「所有者のいない場所で、依頼人の許可があればな」


 「だったら大丈夫だねぇ。こう見えても料理は得意だから。あ、そーだ。オーク肉持って行って良い?」


 せっかくだから、オリバーに頼んで少し解体してもらおうとシンジは思った。


 「おいおい、生肉持っていったら腐るだろ?」


 「だーいじょーぶ。まーかせて」


 「……まあ、お前が言うなら大丈夫なんだろ。そこは任せる」


 「ん、任されましたー」


 シンジはにっこりと笑ってうなずいた。

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