57.テンプレ的に、テンプレ依頼を受注する俺。
シンジ君、テンプレ依頼を受注しようとする、の巻。
……シンジに護衛させるとか、正気か?(ヲイ)
受付に戻ったシンジは、真っすぐジュリアのいうカウンターに向かった。
「ジュリアさんジュリアさん、ちゃんと素材買取所に出してきたよ。例のアレ」
「問題ありませんでした?」
ジュリアが心配そうに聞いてきた。
「だーいじょーぶ、無問題! まあ、ちょっとだけオリバーさんがorzになったけど、問題ないない♪」
「おーあーる? 何ですかそれ?」
「気にしたら負け負け。んでね、ちょっとしたプレゼントをジュリアさんと支部長に用意したから、受け取っておいてね」
「え? ありがとうございます?」
ジュリアは訳が分からず、疑問形で礼を言ってきた。
「まあそれは、帰りにでも確認してちょ。それとは別に、相談があるんだけど」
「相談? シンジさんが相談ですか? ……何でしょうか?」
身構えるジュリアに、シンジは自分の冒険者カードを取り出した。
「俺って、護衛のランクだけが突出して低いんだよね。だから、護衛の依頼で良いの無いかなーと」
ホッとしたのか、微笑むジュリアが説明する。
「護衛の依頼を受ける場合、どうしても冒険者自身の信用度が重要となります。その信用度は、依頼達成度や他の項目のランクによって変わります。シンジさんは、冒険者になってまだ数日ですし、カードを取得して、初めての採取依頼が……アレでしたし。気にすることはないと思いますが」
護衛依頼は、当然信用できる冒険者にしか回ってこないし、ギルドも回さない。
盗賊は少ないが、全くいない訳ではないし、それ以上に魔物はどこにでもいる。もちろん、街道と森の中では魔物のレベルは段違いなのだが。
油断をすれば、中堅以上の冒険者であっても、低レベルの魔物に殺されるのだ。
だから、護衛依頼を受けるには、討伐レベルがブロンズランク以上が推奨されるし、採取レベルが高いことは注意力が高い証明でもある。このふたつのランクが高いことが、そのまま信用に繋がると言っても良い。
「シンジさんの場合、討伐ランクも採取ランクも、護衛依頼を受けられる基準は満たしています。ただ、まだ護衛の依頼を一度も受けたことがありませんので、誰かの護衛依頼に同乗して、経験を積んだ方が良いと思います」
ジュリアの説明に、なるほどとうなずくシンジ。
「じゃあさ、そういう都合のいい依頼はないかな?」
「あは、まさかそんな都合のいい依頼は……ありますけど」
「そうだよねー。……って、あるんかいッ!?」
思わず乗り突っ込むシンジ。
◇
「というわけで、今回シンジさんと一緒に依頼を受けることになった、ボーブさんです」
「謀ったなジュリアッ!!」
ボーブが、ジュリアに連れられた先にシンジがいるのを見て、ジュリアに叫んだ。
「君は良い友人であったが、君の父上がいけないのだよ。フフフ」
「お前は俺の親父を知らんだろうがッ!!」
ボーブの魂の叫びである。
「シンジさん、突然何を言っているんですか?」
「いや、ボーブさんの叫びを聞いたんで、つい」
これは条件反射のようなものだ。そういう仕様だと思ってもらいたい。
「……で、ジュリアよ。お前本当に俺と組ませてコイツに護衛を受けさせるつもりか?」
ボーブがイヤそうに聞いてきた。
「ええ、シンジさんの知っている冒険者で、実力もわかっていて、しかもベテランの冒険者となると、ボーブさんしかいませんので」
何気に酷いジュリアの言い草に、ボーブががっくり項垂れた。
「ボーブさん、これは運命なんだよ♪」
ボーブが膝から崩れ落ちた。
◇
「で、どんな依頼なのかな? かな?」
ワクワクするシンジと、対照的に青ざめたボーブ。実にコントラストがはっきりしているペアである。
「ボーブさんは受けたことがあると思いますが、行商人のチャンさんからの依頼です」
「ああ、チャン殿の依頼か。まあ、国境を跨ぐわけじゃないし、妥当か」
「ん? どゆこと?」
シンジが疑問に思うと、ジュリアが解説を加える。
「チャン様は、中堅の商会を経営する商人ですが、大事な商品の仕入れを行うときは、必ず自分の目で確かめに行くのです。いろいろな経験を積まれていますし、護衛もお眼鏡に叶ったベテランの人しか使いません」
「ほむ、慎重な商人なんだね」
「ええ。ウチのギルドにとっては、大事なお得意様でもあります」
話を聞けば、ベテランが新人の教育を行うことを推奨していて、許可したベテランの場合は、護衛任務に疎い新人を敢えて同行させ、商人の観点から護衛の心得を一緒に教育してくれるという。
「ほほう、で、ボーブさんはその許可のあるベテランさんだと」
「そうです。シンジさんは、多少の魔物なら問題ないでしょうし、チャン様に危険が迫るようなミスはしないと思いますので」
「その点は依頼主を絶対守るよー」
「そこはシンジさんを信用していますので」
どうやら、護衛の新人であっても、実績は買ってくれるようだ。
「それにチャン様なら、多少シンジさんがやらかしても、ボーブさんと一緒に何とかしてくれるだろうと思いまして」
「それは、俺がやらかすこと前提?」
「……そこはシンジさんを信用していますので」
「その点の信用は要らないかなあ」
「お前、胸に手を当ててよーく考えてみろ」
ボーブから激しいツッコミが入る。でも、気にしないシンジだった。
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