56.テンプレ的に、素材買取所でまたやらかす俺つー。
シンジ君、賄賂で乗り切ろうとするの巻。(ヲイ)
そして、創造神の祝福を受けしアレが再登場!
何とか立ち直ったオリバーは、シンジと交渉を始める。
「どう考えても、1日10匹は無理だぞ? お前の持ってきたオークって進化種ばっかりだからなぁ」
薄くなってきた髪を左手で掻きながら、オリバーが言ってきた。
「うーん、じゃあ、ゆっくりでいいよ? お金もそんなに困っているわけじゃないし」
「腐っちまうだろーが」
「それも無問題♪ このマジックバッグ、容量を減らして時間経過を極限まで削ったバージョンだから」
シンジは、ほれほれ、という感じで、同じデザインのマジックバッグを10個ほど取り出した。
「それがホントなら、このバッグだけでひと財産なんだがなあ……」
「バラシが済んだら、そのままこのバッグに保管してもらえれば鮮度は問題ないでしょ。高値販売キボンヌ♪」
シンジは、無理やりオリバーにバッグを預けた。
「あ、そーだ。ナイトだったら、所員の人ひとりずつ1匹ずつあげるから、家族で食べてちょ。メーワク料だと思って。支部長とジュリアさんも1匹ずつね。もちろん売っても良いよ。ちょっとはやる気出るでしょ♪」
「「「「マジかッ!!」」」」
「マジマジおーマジ。ついでに晩酌用のお酒もあげよう♪」
「お、マジか! エールか!?」
酒という言葉にオリバーが反応した。
「強いのと弱いの、どっちが良い?」
「そりゃおめー、強い方が良いよな?」
オリバーが、所員たちに確認するように言うと、全員がうんうんと首を縦に振った。
「おけ、んじゃ、ウイスキーかブランデーか、どっちが良い?」
全員が首を傾げた。
「どちらも聞いたこと無いな。どう違うんだ?」
「原料が違うね。ブドウから作るか、麦から作るか」
「麦? 麦から酒が出来るのか? ブドウはワインだよな? そう言えば、ドワーフは麦から火酒を作ると聞いたことがあるが、まさか火酒なのかッ!?」
ドワーフが作る『火酒』。素晴らしく定番な響きである。
「いや、火酒って言うのを知らないから、何とも言えないなあ。もうひとつはブドウから作っているけど、ワインじゃないよ」
オリバーが首を傾げる。
「ブドウから作るのにワインじゃない? 聞いたこと無いな」
「ほむ、まあいいや。知っている原料からの方が良いよね。ブランデーの方をあげるよ。ウイスキーは、機会があったらまたね」
シンジは気前が良かった。別のマジックバッグから取り出すように見せかけて、6本を瓶ごと取り出した。
「これ、20年モノで美味しーよ。めっちゃ自信作。味わって飲んでね」
その瓶はカットクリスタルのような丸い美しい瓶に入っていて、黒いラベルが貼られていた。
「字が書いてあるが、読めないな。これはどこの文字だ?」
「ん? これは、お酒の名前だよ」
「なんて書いてあるんだ?」
「あー、うん。『カミーュ』って書いてあるんだ。飲んだら、パーっと星が動くような感じ?」
創造神認定の良いお酒である。
「何だか良く分からんが……まあいい。うまい酒なら大歓迎だ。すぐに飲んでみたいところだが、仕事中だしな」
「真面目だねえ、そんな顔なのに」
「顔は関係ねーだろッ!! 失礼すぎるぞお前ッ!!?」」
「じょーだんじょーだん、お詫びに違う種類のお酒もあげるから許してちょ」
シンジは、今度は丸く、ガーベラを象ったような瓶の中央に、金色のラベルが貼られた琥珀色の酒を取り出してオリバーに渡す。
「何だこのラベルの上の絵は? 馬に裸の女性が槍を構えてる? 不思議な図案だな」
「ああ、この娘ね。レミーという名前が付けられたんだ。かわいらしく『レミーたん』って呼んであげて」
激しく違う気がするが、創造神に強要されたので仕方ない。シンジは長いものには巻かれる主義なのだ。そして、意外とこのデザインはシンジ自身気に入っていたりするからタチが悪い。
「これも美味いのか?」
「うんそーだよ。少なくとも、神様が讃えるくらいには」
「良く分からん例えだな」
困ったことに、完全なる事実である。
「ま、最初はみんなの分と、支部長とジュリアさんの分をやっちゃって。俺の分は後でも良いから」
「おう、それなら今日中に何とかするぞ」
オリバーが先ほどの醜態を忘れたかのように、上機嫌で請け負った。
「んじゃ、それは良いとして、さっきドワーフの火酒って言ってたけど、どんなのなの?」
「いや、俺も話に聞いただけだからな。実際に飲んだことは無いし、ドワーフも絶対に他人には飲ませないと聞いたことがあるぞ」
「ほむ、それは興味あるねえ。かと言って、ドワーフどこにいるのかな?」
シンジは、まだこの世界でドワーフに会ったことが無かった。存在は知っている。が、チュートリアルでも会っていない。まあ、チュートリアルでは定番のエルフもホビットも獣人も会っていないのだが。感動が薄れるとかの理由で会わせなかったのだろう。要するに幼女の陰謀だ。
「ドワーフなら、この街の鍛冶屋ギルドの元締めと弟子がドワーフだぞ」
それは会うべきだろう。会わねばならぬ。テンプレのために。
「ほむ、鍛冶屋という事は、剣とか鎧とか売っているのかな? かな?」
「ああ、おやっさんの剣は、この街の最高級品だろう。だが高いぞ」
それはそうだろう。職人の仕事は、評価されてしかるべしだ。
「一度会いに行きたいな。紹介状がないと厳しいかな?」
「アンリ卿やアイリス殿なら、問題なく紹介できると思うぞ」
それは良いことを聞いた。ぜひ紹介してもらおう。
「情報ありがと。とりあえず、マジックバッグは置いていくから、テキトーに暇見つけてバラしておいてちょ♪ お金はギルド口座に振り込んでおいて」
「おう、頼まれた。肉はどうする? 全部売るか?」
「んー、アーチャーとナイトは10匹ずつ、メイジは5匹分だけ取っておいて。後は売っちゃって良いよ。あ、睾丸も売っちゃって」
「一気に売ると、相場が崩れるぞ」
ノアやアイリスの分もあるから、相場が壊れるのは良くないだろう。
「さっき言った通り保管できるんだから、相場崩さない程度に少しずつ売りに出してくれればいいよ。普通のオークを狩って来る冒険者の迷惑になってもいけないし。良い感じにしてちょ♪」
「ああ、そうさせてもらうわ」
「んじゃ、また来るね。お酒の感想聞かせてね♪」
話がまとまったので、シンジは素材買取所を後にした。
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